クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.80
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本棚登録 : 2625
レビュー : 157
  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122050150

作品紹介・あらすじ

今だけがあって、それだけを考えていられたら良いのに。未来だって、せいぜい明日か明後日くらいしかなければ良いのに-「僕」は病院を抜け出し「彼女」の車で地上を逃げる。二度と空には、戦闘機には戻れないと予感しながら。永遠の時を生きる子供たちを描く、現代の寓話「スカイ・クロラ」シリーズ。

感想・レビュー・書評

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  • 前作の流れから、主人公の「僕」はクリタだと思って読んだ。そして最後でカンナミが登場して意味が分からなくなった。実は主人公の「僕」はクサナギ(記憶が曖昧になって幻覚を見たり、精神障害が出ている)だと思って読み返すと全てがすっきりする。この本のエピローグから次のスカイクロラまでは病室にいるクサナギ(人格崩壊が起きて自分の事をカンナミだと思っている)の夢だと思う。スカイクロラの最初の方でカンナミがクサナギのミニスカート姿を見てなぜか懐かしく思う所や、クサナギの妹がカンナミと会う場面、スカイクロラのエピローグの最初の文章などスカイクロラと短編を再読してみて所どころにヒントがあり自分なりの解釈が出来た。

  • 『クレィドゥ・ザ・スカイ』読了。
    シリーズ最大の難解読な本にして最終章に当たると思う。「僕」が誰なのか分からないまま読み進めていたんだけど「僕」にとっては過去や未来はどうでもよくて。現在、空を飛べさえすればそれでいいという「僕」。
    そのスタンスに憧れてしまって泣きそうになった。
    大人になると社会性に属すという責任感が伴うけど。彼らキルドレはそんなことはどうでもよくて今を生きているんだよなぁ…それに凄く憧れる。自分が子どもの頃は過去や未来のことばかり考えて今のことを考えてなかった。今もそうだ。煩わしくない世界で生きたかった。せめて、子どもの頃は自由でいたかったなぁ…って思ったな。
    高校生の頃、読んだ時は話の内容の意味が全く分からなかったけど。大人になった今分かってよかったのかも…
    2019.9.28

  • 「僕」が誰か自力ではわからなかった…。
    ので、短編集を読む前に考察サイトを検索して、納得してもう一度読んだ。

    でも「僕」が誰でも「僕」は構わないんだろう。
    空さえ飛べれば。踊ることができれば。

  • 「スカイ・クロラ」シリーズの一冊。物語内の時系列では、第4巻に当たります。過去と現在、夢と現実が交錯して、シリーズ全体が迷宮のような構成に仕立てられています。

    栗太仁朗の記憶の断片を持つと思しき元パイロットの少年は、病院から抜け出して、フーコや相良亜緒衣を頼って組織の追跡をかわそうとします。そんな彼を、なぜか草薙水素の影が追いかけてきます。

    亜緒衣は、過去を持たないキルドレの少年が、やがて記憶を取り戻すはずだという確信を抱いていました。なぜなら彼女は、ひそかに少年に対して、キルドレから普通の人間に戻るための薬の実験をおこなっていたからです。そんな彼女の思いをよそに、少年はただ飛びたいという願いだけを心に抱き続けます。

    そして、そんな彼の生き方は、キルドレを利用する社会を批判するYA新聞の杣中だけでなく、戦いに生きるほかないキルドレに同情的な亜緒衣にも、けっして理解できないものでした。ただ草薙だけが、かつての自分自身の心を受け継いだ少年を理解しており、理解しているがゆえに、もはや自分自身でなくなった彼に死を与えることと、かつての自分自身である彼によって現在の彼女に死を与えることの狭間で揺れ動いていました。

    やがて少年は、組織から逃げるために散華に乗り、パイロットとしての腕前が以前と変わらないことを証明して、ふたたびパイロットに戻ることになります。そんな彼の生き方は、すでに亜緒衣から遠く離れてしまっており、亜緒衣は彼の選択を見届けて、みずから死への道につきます。

    『スカイ・クロラ』を読んだときには、物語の静謐な雰囲気に惹かれましたが、この巻で物語の全体像が示されたことで、改めてこのシリーズが好きになりました。途中、成長することを拒否するキルドレの生き方と、地上に暮らす大人たちの生き方を対比させるピーター・パン賛美の物語になってしまうのではないかと懸念したこともありましたが、キルドレであることをやめた草薙の視点を組み込むことで、そうした安直な図式に回収されることなく、空に生きるキルドレの生き方のピンと張り詰めたような美しさを保つことに成功しているように思います。

  • ナ・バ・テアに仕掛けられた作者の罠、語り手をミスリードさせる手法が、まさかここまでの伏線だったとは・・・・
    正直、混乱して、いまだに何が正解なのかはわからない。
    ただ1つ言えることは、私が漠然と感じていたとおり、これは草薙水素の物語だということ。
    地上での酩酊感と、空での爽快感、この2つが交互にやってくることにより、読者はますます話にのめり込んでいく。

    この作者は凄いな、とあらためて思った。

  • 再読。本作はスカイ・クロラシリーズの五作目。昔読んだ時はあまり考察などをせずただひたすらにこの世界観だけを読んでいたような気がする。今はこの作品の語り部が誰なのかとかスカイ・クロラシリーズ全体の事を考えてしまうけれど。どれが良いとか悪いとかじゃないけど昔に比べて自分自身が素直じゃなくなったとは感じた。色々と考察はできるんだろうけれどそれよりもこの世界観に存分に浸って酔ってほしい一作。

  • 『スカイ・クロラ』シリーズ5巻目。次巻が外伝的な短編集なので実質的には最終巻。
    
    じつは、前巻『フラッタ・リンツ・ライフ』とまちがえてこちらを先に借りてしまったので、ほぼ続けて読みました。
    前巻の大戦から約半年後から始まるので時系列的にはストーリーも覚えていてちょうどよかったものの、前巻を引きずっているので「僕」は当然、クリタなのだと思って読み始めました。
    
    今回の語り手「僕」が誰かなのかは最後まで書かれていない。これが本作の最大の謎になります。
    
    前作の続きだとすれば、ここは当然クリタジンロウ。それが途中からカンナミユーヒチらしき人物へと変わります。
    第2巻『ダウン・ツ・ヘヴン』で一人称「僕」が使われていて語り手が誰であるのか途中まで明示されないのはミスリーディングを誘うためでしたが、ここでは『スカイ・クロラ』で暗示されている「クリタの転生がカンナミ」を展開し、ひいてはキルドレ自体の謎に迫る構成なのかとワクワクしましたが、最終的にはそれもまたくつがえされます。
    
    『クレィドゥ・ザ・スカイ』の「僕」が誰であるのか、これについては検索するといくつも検証が見つかるほど。コードネームが出てくるので答えははっきりしているんですが、そうすると『スカイ・クロラ』のクサナギとカンナミとは何者なのか。最終巻にしてふりだしに戻る的な展開にあぜんとしつつ読み終わりました。
    
    いずれにせよ「僕」が覚えている数少ない名前の中に「ササクラ」があることに笹倉ファンとしてはときめきます。
    
    以下、引用。
    
    今までに見たことがない美しい
    翼がきっと一瞬だけ現れる。
    これまでに思ったこともない美しい
    ループを描くだろう。
    
    その一番美しいものこそ、
    お前の敵だ。
    
    「コリン、いまこの機会に知っておいた方がいいわ。わたしみたいに年をとらないうちにね。世界は悪いところ、いやなところなのよ」
    『草の竪琴』トルーマン・カポーティ
    
    なんと、地上の不自由なこと。
    どこへも逃げられない。
    もうこれ以上堕ちられない。
    
    「いえ、飛行機でもないわ。私たちが撃ち落とす相手は、天使よ」
    
    僕自身もそうだ。僕の名前を呼ばなくても、僕は生きていける。特に、空に上がってしまえば、誰も僕の名を呼ばない。名前なんて必要ない。
    

  • 【感想】
    1〜4巻はすぐに主人公が誰か分かるが、今回はしばらく読まないと分からなかった。初めは栗田で途中から函南のように思えたが、最初から最後まで草薙が主人公だった。記憶障害で幻覚を見ていたのである。

    【あらすじ】
    病院から抜け出して、フーコと逃げる栗田。それから相良に会うため電車に乗る。駅の電話ボックスで草薙に銃で撃たれる。それは夢だったようだ。(栗田→函南)
    再び電車に乗って山の方へ行くと、相良が車で迎えに来た。相良の家で休憩する函南。取材記者の杣中が訪れる。相良と杣中の話で、草薙が死んだという。1ヶ月前に相良を病院で見かけたという杣中。(相良が入院中の函南に注射を打った描写がある。その病院を函南は抜け出した?)
    翌日、目を覚ますと相良の知り合いの医者のところへ行くことになった。病院から逃げ出した函南は変装して出かける。ハヤセという医者にいくつか質問を受ける。自分の名前は思い出せないが、草薙や栗田や函南、ティーチャとフーコ、ササクラのことを覚えているという。薬のせいで時々、草薙の幻覚を見る函南。病院から帰ろうとすると、男に待ち伏せされていたため隠れて別の道へ行き、違う車に乗り換える。
    違う車で帰ると、自宅の近くにヘリが飛んでいた。ヘリから逃げるために、相良は自宅に火をつけて函南と飛行機に乗る。上手くヘリを振り切った函南たちは河原の近くに着陸した。そこはトンネルがあり、隠れ家のようになっていて人が数人いた。そして散香があった。
    散香と再開してから記憶が戻っていく様子の草薙。そこで自分の名前を口にする。地下の基地で休んでいると、ハヤセが捕まったかもしれないからと、ここを撤収しなければならなくなった。散香に乗って急いで逃げようとすると、攻撃機が現れ、戦闘が始まる。草薙は4機を墜とす。戦闘を終えて着陸すると、車から甲斐が降りてきた。草薙の能力が戻ったことで会社に戻るように言われる。
    地下には相良が残っていた。草薙の入院中に注射をしたことで草薙はキルドレに戻ったことを話す。そして銃で自殺する。回復した草薙は甲斐と一緒に車に乗り込むのであった。

    ・エピローグ
    ここでは函南が主人公。(主人公は草薙だが、函南の人格?)函南がジョギングしていると杣中が車から降りてきた。新人なのに戦果を上げているという函南が草薙に似ているという。非武装地帯で4機落としたのは草薙だったらしい。だが草薙とは別人だった、函南の方が草薙に似ているという。そしてブーメランのキーホルダーを渡す。

  • ちゃんと順番通りに読まないからか結局なんだったのか良くわからず。
    抜けてる情報を補填しなければ。

  • 嫌いじゃ無い。

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著者プロフィール

1957年愛知県生まれ。工学博士。
1996年『すべてがFになる』(講談社文庫)で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。
怜悧で知的な作風で人気を博する。
犀川創平と西之園萌絵の「S&Mシリーズ」瀬在丸紅子の「Vシリーズ」ほか「Xシリーズ」「Gシリーズ」(すべて講談社文庫)などシリーズ作品多数。
講談社タイガ収録の「Wシリーズ」「WWシリーズ」で描かれる未来は、予言的でもある。
エッセィや新書なども数多く執筆。

「2020年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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