世界見世物づくし (中公文庫)

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  • 中央公論新社
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感想 : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122050419

感想・レビュー・書評

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  • 大正から昭和初期に中国、ヨーロッパ、東南アジアと放浪した詩人の随筆集。当時の様子と雰囲気が伝わる。海外についてのエッセイの寄せ集めなので一貫した印象は薄い。

  • この人の腹が据わっている文章と生き方がとても好きだし、本書も実際とても面白く「支那」関係の洞察は今でもよく通用すると思う。
    貧乏についての文章にはとくに笑った。曰く「貧乏も、ひとり身でやっているのだったら、からだがひきしまって、そんなにわるいものでもない」。「貧乏に平気な女がいたら、と僕はあくがれたほどだ。それほど例外なしに、女は、貧乏ぐらしの苦しさが辛抱できない」。「中西悟堂君は、米や、パンを排して、しばらく松葉を摘んで常食にしていた。蛙をつかまえて、あたまから呑んでしまうのをみていて三歳位だった僕の息子が、わっと泣き出したことがあった」。「真の貧乏人とは、もっと筋骨の通った堂々としたもので、福士幸次郎、吉田一穂、山之口獏などのような、不退転な貧乏のことをいうのだ」。「『お前、一人殺したら、日本金千円やるといったらやる気あるか?』と、Dという友人が言ってきたとき、僕は、それもいいな、とおもったくらいだ。ともかく、巴里の貧乏から脱出できるのなら、たいがいなことはやってもいいとおもったものだった。恐らく、戦後の青年の気持ちもそれに似たようなものではなかったろうか」。「西洋の貧乏は、決してたのしいものではない。竹の家、紙の家の余情はなくて、鉄鎖と石室の非情に終始している」。「ところが戦争を越えてからの現在の日本は、あの頃の西洋とよく似てきて、先にも言った通り、金がなければ一日もすごせない。貧乏はできなくなったのだ」。

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著者プロフィール

一八九五(明治二八)年愛知県生まれ。詩人。早大、東京美術学校、慶大中退。一九一九(大正八)年第一詩集『赤土の家』刊行後渡欧し、ボードレール、ヴェルハーレンに親しむ。二三年詩集『こがね蟲』で詩壇に認められる。二八年作家である妻・森三千代と東南アジア、ヨーロッパ放浪の旅に出発(三二年帰国)。三五年詩「鮫」を発表以来、多くの抵抗詩を書く。詩集に『落下傘』『蛾』『女たちへのエレジー』『人間の悲劇』『IL』、小説『風流尸解記』、自伝『どくろ杯』『ねむれ巴里』『西ひがし』などのほか、『金子光晴全集』(全十五巻)がある。一九七五(昭和五〇)年没。

「2021年 『金子光晴を旅する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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