ぼくが愛したゴウスト (中公文庫)

  • 中央公論新社 (2008年10月23日発売)
3.71
  • (37)
  • (58)
  • (57)
  • (11)
  • (2)
本棚登録 : 523
感想 : 91
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784122050600

みんなの感想まとめ

少年が人身事故を目撃したことで、彼の見ている世界は一変します。この物語は、心の存在や人との関係性について深く考えさせられる内容で、少年の純粋さと豊かな感受性が描かれています。特に、観察する者とされる者...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「ぼくは十一歳の夏まではぼんやりと生きていた。」

    初めて、少年が一人でコンサートに行ったときからだった。帰り道に駅で人身事故を目撃してから,世界はどこか違っていた。この不思議な世界、少年はどこへ向かうのか。残酷で理不尽な世界に立ち向かう少年の物語。

    「心がない人たちに、心を期待しても、無駄です。」

    タイトルを見て、誤解しないようにあらかじめ説明しておくと、少年が幽霊と友情を育むような物語でもないし、少年時代を懐かしむような物語でもない。“心"という曖昧で証明困難な存在について考えさせられるお話。

    物語は大きな起伏は少なく、ただ、ゆらゆらと漂う。この、どこに行き着くのか予測不可能な展開に引き込まれます。何より少年らしい感受性の豊かさと透き通った純粋さが心を打つ。物語の設定や結末も含めて、こういう世界観、僕は好きです。

    僕たちは相手の心を直接知ることはできないけど、相手にも自分と同じ心があると思っている。けど自分以外のものに心があることをどうやって証明できるのか。“心"っていったいなんなんだろう。この作品はきっと万人受けする内容ではないと思います。けど、僕はこの作品に出会えてよかったと”心”から思います。

    この作品を読んで、僕と同じようにこの作品を気に入ってもらえる人がいたらいいな、とうれしいです。

  • 観察する者と観察される者。
    信じていた世界は簡単に覆されるし裏切られる。
    その世界はとても残酷で理不尽で儚くて美しいように感じる。
    私たちの目に見えるものなんて何の確証もなく不安定なものであると思った。

  • 27:これは……めっちゃ好きなんだけど、中盤の野球のシーンがあまりに幸せすぎて、逆に不安を感じてしまって、うあ〜! と転げまわりたい気分でした。どこかずれた世界の中で、自分だけが「正気」なのだとしたら、そして、目に映る世界がすべてゆめまぼろしなのだとしたら。ゆめまぼろしを生み出しているのは、その「正気」、自分そのものでしかない、と。決してハッピーエンドではなく、むしろ後味悪い系だと思うのですが、ただそれだけではなく、ずっしりとした読後感は打海作品ならではだと思います。

  • きっとこの世界は誰かのゴウストなんたろう。

  • 人生初。1人でコンサートに行く羽目になった翔太。
    その帰り道、駅で人身事故に遭遇。
    自宅に戻った翔太だが、いつもの家族なのに何かが違う。
    漂う腐卵臭。パラレルワールドに迷いこんだ翔太は・・・
    何かのきっかけでパラレルワールドに紛れ込むって話は
    よくあるとは思うんだけど、どうやらそういうSFチックな
    話とはちょっと違うようです。
    元の世界と、こちらの世界で決定的に違うのが
    心の存在だったりする。
    ネタバレになるから詳しく書けないけど、結末が
    予想外でした。考えると怖いなぁ~。
    文章が読みやすいので、一気に読めます。

  • 途中、とても残酷な物語だと思って読み進むのがイヤになったけど、思いがけないラストがとてもよかった。
    翔太のぽわんとした子どもらしさのかなかに、すっとのびた強さがラストに向かって際立っていき。ほんとうに最後が良かった。

  • 伊坂幸太郎さんが紹介していた本。おもしろかった!結末(結末と言っていいのかもわからない)はあっけないのだけれど、どんどん先が読みたくなる感じでおもしろかった。これがあらすじより語りのおもしろさなのかと思った。

    打海さんの他の作品も読みたくなった。

  • 伊坂幸太郎オススメ作品をまたまた読む。

    何だか不思議な読後感。

    嫌いではないが、好ましい印象でもない。

    つまりは微妙という事だ。

  • 非常にテンポよく進んでいく、少年の「非現実感に苛まれる」生活に心奪われ、後半一気に読むスピードが加速した。ラスト、彼は気づく。ゴウストとは誰の何であるのか。それでも彼はゴウストたちを愛し、また愛されないと生きていけないと考える。心とは何なのかとか、現実とは、夢とはと色々と考えられるとは思うが、それを抜きにしてただ翔太になりきって読んでも楽しめる作品だった。◆豊田さんの尻尾があって心がない世界の「百万人に一人の笑顔」と尻尾がなくて心がある世界の笑顔のことを考えると、なんだかすごく切なくなった。

  • タイトルや冒頭からは、この作品の魅力には気付かない、というのがよく分かる。

    結局のところ、問題は何一つ解決しない。
    しかし、この作品に関しては、解決しないことでより深い意味を持ってくる。

    非現実でありながら人間の真実に迫ろうとした作品というのも、なかなか。

  • 完全に伊坂経由で手に取りました。虚構と現実の狭間みたいな。伊坂も言ってたように結末は思いもよらない形でおお、そうなるのかと感心。ただのSFじゃないし単なる冒険譚でもない。カテゴリーに区分できないような本でした。ストーリーも面白くかつ解説が伊坂だなんて銀座のフレンチフルコースくらい贅沢でした。最高です。

  • 小学生が迷い込んだパラレルワールドの冒険物かと読んでた。中盤以降から心とはみたいな哲学的な話になり、終盤以降はなぜそうなる???みたいな小説。夢落ちでも、ハッピーエンドでもなく、解も与えられずモヤモヤ感が半端ない。幻想の中でだけでも生き続けられて、成長して恋もできている誰かを書きたかったのかな?

  • 友人や知人に優しいとか、親切だとか言われることがある。
    それは「おひとよし」とか「自分がない」とか「優柔不断」だとかのパラフレーズであったりするわけだけれど、

  • ちょっとペンギンハイウェイ的な匂いのする小説だった。
    少年が主人公で、不可思議なお話だからかもしれない。
    私は…、そうは言っても帰って欲しかったんだけど、帰ってしまったらただのファンタジー小説になってしまうから、まぁ、これはこれで良かったんだろうな。

  • 現実の世界(と思われる世界)に戻れたのか戻れないのか分からないけど、どちらの結果でも必ずしも良かった悪かったかどうかは気にならない終わり方だった。

  • ゴウスト=幻影=幽霊 田之上翔太11 東京西郊外 多摩丘陵 XOショッピングセンター ヘンリー•ダーガー非現実の王国で ヴィヴィアン•ガールズ 瀬戸内 中野駅 中央線 人身事故 阿部先生 硫黄の匂い 尻尾 山門健=ヤマ健=売れない役者 ラストダンス• ウィズ•ヴァンパイア ユキさん 川崎の看護師 吉祥寺 新宿 富士吉田市 自衛隊 ベイスターズの帽子 馬鈴薯餃子 ツーアウト制 一枝あぐり二等陸尉 豊田准陸尉 指をぱちんと鳴らした ぼくはぼくの脳が見ている幻影である 常磐自動車道 伊東隆志 世田谷通り 死のにおい

  • 2016.11.16
    難しかった〜
    がさつな自分にはよく分からない感情がたくさんで理解出来たかどうか微妙( ̄∀ ̄)
    けど素敵な人がたくさん出てくる綺麗な話でした。
    いつか読み返そう。

  • 終わり方!
    おい。と思ったけど、1番納得感のある終わり方かもしれない。
    非現実との境界線とココロの話。
    どこがと説明はしにくいが面白い。
    先が気になる度がハンパなかった。

    腐敗臭…向こうの世界がこんなのだったらいいな

  • 以前読んだ、伊坂幸太郎のエッセイ集『3652』。
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4101250294

    本に関する文章が多いなかで、打海文三という作家について何度か書かれていたのが印象に残りました。
    そこで『3652』に、伊坂幸太郎による解説文が載せられていたこの作品を、読んでみることにしました。

    主人公は11歳の少年、翔太。
    あまり活発ではない彼がある日、一人で電車に乗ってコンサートに行きます。

    その帰り道、駅のホームでアクシデントにあいます。
    偶然出会った若い男に助言され、無事に家に帰った翔太。
    しかし彼は、今までの日常とは微妙に違うことに気づきます。
    そんな彼が、駅のホームで会った男と再会して・・・という始まり。

    今までの日常とは違う世界に入り込んでしまった少年が、その状況をどのように理解するか、どうやってそこから抜け出そうとするかが、物語の中心となっていきます。
    その展開も面白いのですが、この小説を読み進めるうちに、「感情とはなんなのだろう」「自分の存在とはなんだろう」という、哲学的な問いについて、考えてしまいました。

    後半の展開については、賛否があるかとは思います。
    しかし物語全体を通じて、大切なことを考えさせてもらえたなあと、素直に感動しました。

    残念ながら亡くなってしまった作家さんですが、他の作品も探して、読んでみようと思います。
     
     .

  • 2015.08.28 読了。

全68件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1948年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。92年『灰姫鏡の国のスパイ』が第13回横溝正史賞優秀作を受賞し作家デビュー。2003年『ハルビン・カフェ』で第5回大藪春彦賞を受賞。07年10月逝去。

「2022年 『Memories of the never happened1 ロビンソンの家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

打海文三の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×