日本語の思考法 (中公文庫 き 35-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122051249

感想・レビュー・書評

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  • 日本語の特性を解説しようと試みた。

  • 『理科系の作文技術』『レポートの組み立て方』を
    出版するに至った背景や, 日本語に関する考察等が書かれている。
    過去,雑誌等に投稿した文章を,集めてきて,文庫の形にしている。
    日本語について,色々と示唆に富んでいて,得るものも多いと思う。
    木下是雄さんの文章の書き方,好きだなぁ。ゆえに,真似している。

  • 手元にあった。これは一体いつ読んだのだったか忘れたが、恐らく高校の終わりか大学のはじめぐらいの学生時代に読んだんだと思う。
    今見返してみると、言葉としての問題と言うよりも、学校教育、それも主に論文についての欧米との差について書かれているのがメインだった。
    今情報伝達の現場がインターネットのようにリアルタイム化が進んでいる時に書かれたものでなく、古いものだと40年ぐらい前の1969年に書かれているものもあって、古いのかな?と考えてはいるものの、文法的な考え方で見るとそこまで大きく変化しない前提であるし、自分もスバンとして2世代ぐらいの差ならなんとかなるとも感じている。言語的な違いに関してはそう変わらないものの、教育の方針とか、技術革新の話に実例を交えて触れているときになんだか時代感を感じてしまう。それは恐らく著者もそのようで文庫化に合わせて追記のような形でいくつかツッコミを入れている。
    その時々にあるような社会問題も入っているということで、ある種の教育の現場からみたエッセイのようにも受け取れる。
    そういう意味でかんがえると、当時の自分としてはちょっと思っていたものとして違っていたのかもしれないけれど、全て読み終えられるくらいに読みやすくていい文章であることは変りない。

  • 著者の主に日本語に関するエッセイ集.いろいろな雑誌などに掲載されたものをまとめたもののようで,被っている内容も少しある.
    全体通じて,同著者の「理科系の作文技術」を書いた背景の部分が書かれている.ほとんどの内容は,そちらを読めば済む気がする.
    特に興味を持ったのは,ラジオとテレビではどちらが情報を伝えやすいかという話.

  • 理系の研究者からみた、日本語と欧米語のちがいについて書かれた本。

    例えば、アメリカの小学生はこんな問題を解くらしい。

    ・ワシントンは米国の最も偉大な大統領であった。
    ・ワシントンは米国の初代の大統領だった。
    どちらの文が事実の記述か。もう一つの文に述べてあるのはどんな意見か。

    高校ではそれが、こうなる。
    ・スミスの犬は羊を殺す犬だ
    ・私たちは殺人犯スニスバードが出納係を打つのを見た

    小学生の方では、ワシントンが偉大かどうかを決めるのはお前だよ。
    と教えている。
    高校生の方は両方事実ではなく、羊を殺す犬かどうかは類推だし、
    スニスバードが打ったのは確かかもしれないが、殺人犯であるかは
    わからない(正当防衛だったかもしれない)としている。

    確かに、こういう発想は日本の教育にはないかもしれない。
    というか、日本人の気質と合わない気がする。

    あと、「交渉の見通しは明るくないが、腹を割って話せば相手も理解して
    くれる」というのは、日本の交渉の仕方であって、欧米相手にこれをやって
    も交渉にならない。

    欧米人は、こちらの気持ちを類推してくれるようなことはしないため、論理的に
    説き伏せないといけない。と書いてあったのは、なるほどと思った。

    まあ、この本は、木下是緒という人を知っている人が読む本だなと思う。
    ※ちなみに僕は知らない。

    -----------
    他の人のレビュー
    http://d.hatena.ne.jp/heg/20090603/1244036450
    http://ito-ofc.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-c8c7.html

  • 立ち読み:2011/1/25

  • 「理科系の作文技術」は画期的だと思った。わたしがそれまで国語教育でどれだけ悩んだか。わたしにとってまず必要だったのは,文学の鑑賞ではなく,正確に読み取り,正確に伝えるための言語教育だったのだ。

    「理科系の作文技術」にいたるまでに,著者が考え実行したことが,第一部でよくわかった。そして,そのバックグランドについては第二部以降にある。現在の国語教育は,著者がめざしていたものにかなり近づいているのではないか。PISA型読解力とさけばれるいまでは,ますます勢いがついてきており,わたしとしては,逆に鑑賞ができなくなることが心配なほどだ。

    英語国民だって,考えるときはボトムアップになる。それを表現するときにトップダウンにするそうだ。日本語は述語が最後に来るため,ボトムアップになりがちだと逃げるが,意識してトップダウンにするかどうかが問題。

    正確に情報を伝え,意見を述べる力を養うのが「言語技術教育」。アメリカにも,作文,説明・論述文の書き方,修辞学があるように,日本にも必要と説く。わたしももっともだと思う。

    著者らがつくった言語技術教育の試作教科書で,問題に自信をもって答えられないという国語教師からの意見があったらしい。いまではそのようなこともないのだろうが,文学作品の鑑賞が中心だった時代が想像できる。

    言語が中心のラジオと,映像が中心であるテレビとの対比も興味深い。映像ならではの影響力もあるが,必要な要素を抽象化できていない情報を読み取ることの難しさも重要。ますます映像メディアが中心になる中で,大切な視点を含んでいるように思った。ラジオとテレビの比較は,時代を超えて示唆に富んでいる。

    考えるのか,感じるのか。これを理科と文科で分けてしまうのには賛成できないが,この両面が大切であり,そのどちらを議論しているかを明確にしないと,話がかみ合わないようにも思った。

  • 日本語の思考法 木下是雄 きのしたこれお 教科書は、その分野の膨大な要約 思考の過程が省略されているのだから、つまらなくて当然。授業も、要約にしている教師もいることに愕然とする。

    ただし、習ったことを要約することは学習になる。外国語学習にも。このことが思考を使いこなすことになる。

    役に立たないというのは、それが思考に使われる段階にないからだ。

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著者プロフィール

一九一七年(大正六)、東京に生まれる。四一年、東京大学理学部物理学科卒業。名古屋大学助教授、学習院大学教授をへて、八一年から同学長。学習院大学名誉教授。専攻、物理学。応用物理学会会長、国際光学委員会副会長、言語技術研究会座長などを歴任。著書に『物理の散歩道』(ロゲルギスト名による共著、岩波書店)、『新物理の散歩道』(同共著、中央公論社)、『理科系の作文技術』(中公新書)、『物質の世界』(培風館)、『物理・山・ことば』(新樹社)、『レポートの組み立て方』(ちくま文庫)などがある。

「2018年 『まんがでわかる 理科系の作文技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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