- 中央公論新社 (2009年4月23日発売)
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感想 : 131件
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784122051379
みんなの感想まとめ
感情の複雑さと人間関係の微妙なバランスが描かれる物語は、主人公リリの心の葛藤を中心に展開します。恵まれた結婚生活を送るリリが、夫の些細な仕草に対する嫌悪感を抱く中で、自分自身の感情と向き合う姿が印象的...
感想・レビュー・書評
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リリ35歳。世間で言う、恵まれた結婚をしている。が、最近夫の幸夫のことがあまり好きではないと気づく。例えば、夫のふとした仕草。髭を剃るその掌の動き、とか。たてる音。はっきりとした咳払い、とか、そういう感じ。
リリは思う。そういうところが嫌いなのではない。幸夫を好きと信じてた頃はそれさえ愛していた、と。
なんなんだこの感情は?幸夫にではなく自分に向かっている感情って。
そんなころ、夜の公園をひとり歩くリリは、マウンテンバイクを飛ばしている9歳年下の暁と出会う。
夫幸夫は、リリの親友春名の猛烈な押しで関係を持つようになる。ありえないな、春名という女性。親友の夫に会った瞬間に。「リリは春名のその目に気づいた」とある。
しかも、春名は他にも複数の男性と関係を持つ。火中に身を投じるタイプなのでしょうか。
沢山心にはまるところがあったが、あえて一番は、幸夫が一番なのはリリだというところ。
リリ、君が私は好きなんだどうしてわかってくれないんだ。(心と体の求めるものは違う。)
幸夫が泣くところがある。
手を伸ばせば届きそうなところに幸せはあるのに、どうして、伝わらない。
リリはなぜ親友春名にぶつからない?幸夫に問い詰めない?読んでいてもどかしくてしかたなかった。あるいは春名は幸夫がリリの夫じゃなかったら、魅力を感じた?誘惑した?
不安、悲しみ、怒りや嫉妬そして喜び、それぞれの感情が入り混じっていた。
これは、夫幸夫、恋人暁を通して、リリと春名の、理屈でなく切っても切れない友情が描いてあると思う。
なぜなら、最後には、
春名、リリは心の中で呼びかける。
春名、あなたは今、さみしい?
あなたにあえないことだけが少しだけ私、さみしい。
最後に呼んでいるのは春名。
最終的にリリは、「今わたしここにいる」と、ほろほろと流れる時間の中。
子供を産むため、空をまっすぐに見上げ、リリは大きく強く、両の目を見開いた。
リリと春名が同じ感情を抱え持っている。
わたし、どうすればいいんだろう
わたし、どこにいるんだろう
わたし、どこに行くんだろう
わたし、ここにいるんだろう
という言葉。
(私的に)あまり波がなく、それがここちよく、とても心に触れて綺麗なストーリーだと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この方のジャンル、そしてこの本の内容は
まちがいなく「恋愛小説」だと思うのだけれど、
解説を読むと、どうもご自分ではそんなつもりはないらしい。
「ただお酒を飲むような話が好きなんだけど、
いつの間にか登場人物の間で恋愛が始まってしまう」
のだそうだ。
ということは「恋愛小説」という型は
話が進んでいくうえでの舞台設定、もっというと
フォーマットのようなものなんだろうか。
たしかに、殺人事件とか警官小説とかAI未来小説ではなく、
川上さんが選ぶフォーマットは一貫して「恋愛」である気がする。
今回のお話も、男女4人の恋愛をベースに、
でもちょっと怖い結末も待っている。
※中公文庫238ページ -
こういう乾いた恋愛ものはとても好き。語弊があるかも知れないけれど、江國香織さんの世界観とも共通するものがあるように感じた。
川上弘美さんの小説は私の場合、はまるものと世界が独特すぎてついていけないものに分かれる。この小説は完全に前者。
主人公は35歳のリリ。主婦で、夫の幸夫がローンで買ったマンションに暮らし、申し分ない生活をしている。だけど毎日が、なんとなく退屈だ。
幸夫は、リリの親友の春名と恋人関係にあり、リリもまた、マンション前の公園で知り合った9歳年下の暁と恋人関係にある。
こんなにせまい人間関係のなかで、さらにあるひとつのつながりがある。
リリはどことなく謎めいていて、感情をあまりおもてに出さない。幸夫のことを愛してはいないけれど、不満はないし、感謝はしている。春名との関係にも気づいているけれど、どちらにも何も言わない。
暁と過ごすのはとても心地よい。でもどちらかというと、深みにはまっているのは暁のほう。
春名はリリに対して申し訳なさを感じるものの、幸夫のことを愛してやまない。
幸夫は春名との身体の相性を愛おしく感じているけれど、おそらく心底で愛しているのはリリだ。
こんな世界観が、乾いた雰囲気で繰り広げられている。そんなにドラマティックではなく、淡々と日々は過ぎていくけれど、最初とは違う状況にそれぞれが変化して物語の終わりを迎える。そこからまた、変化の予感を感じさせつつ。
欲求が薄い人間(この小説の場合は主人公のリリ)はある意味とても厄介な存在だと思った。何かを選択するとき、欲がないから、先のことも深く考えず選んで進んでしまう危うさがある。
そういう風には生きられない人が大半だから、このリリという女性に嫉妬や羨望を感じてしまうのかもしれない。
主人公が魅力的な小説はとても良い、と、常々感じている。 -
読んだのは、『正欲』で自分の頭の上のハエも追えないくせに正義ぶってる人たちがバカっぽくてw
欲望に素直に従っている人が出てくる小説を無性に読みたくなったから(^^ゞ
ま、あの人たちは自分の頭の上のハエも追えないくせに正義ぶっているというよりは、自分の頭の上のハエを追えないからこそ、世間が言う「正しさ」に縋ることで、自分を守ってもらえると勘違いしているだけなんだろうけどね。
で、それはそれとして。
チョイスしたのが、『白い薔薇の淵まで(中山可穂著)』、『限りなく透明に近いブルー(村上龍)』の2冊とこれなんだけど、『白』と『ブルー』はお話として全然ツマンなかったこともありw、これもダメかなぁーと思って読み始めたら、やっぱり全然で┐(´д`)┌
主要登場人物はリリ、リリの夫の幸男、リリの親友で幸男の恋人の春名なんだけど、リリの恋人の暁、お話はまずこの4人の視点毎の章で展開される。
それがホントつまらなかった。
リリは自分の満ち足りすぎている日常(“ケ”)に飽いて、“ハレ”を渇望しているフツーの女性の典型だし。
幸男はその逆で、自分がリリとの暮らしという“ケ(日常)”に満足するあまり、妻が”ハレ”という非日常を欲していることがわからない男の典型。
春名は独り身だからこそ、独り身の”ハレ”や“ケ”を自在に得る日常をおくっていることで、そんな日常全体が“ケ”になってしまって。その寂しさゆえに、自らが得られなかったものこそを“ハレ”として希求するタイプ。
暁は、女性作家の小説によく出てくる、主人公の女性に都合のいい年下の男の典型(^^ゞ
主人公の女性が欲するタイミングではほどよく寄り添ってくれ、必要としない時はアッサリ遠のいてくれる。
人というよりは、スマホアプリみたいな存在(爆)
そんなバカっぽいこのお話のイメージがふっと変わったのは、4人それぞれの章が終わって、再びリリの章、幸男の章、春名の章と読み進めていた時。
このお話って、主人公はリリなんだけど、リリはある意味他の3人にとってのスーパーヒロインにすぎなくて。
ある意味崇める対象だから、他の3人からすると一種の「神さま」みたいに人格みたいなものはあってないような存在になっている。
でも、お話の主人公はあくまでリリだから、主人公らしく悩んだりするし、不平不満もある。
神さまじゃない証拠に、ウジウジ自己弁護したり、独りエッチもする(^_^;)
そこが面白いなーと思って読んでいたんだけど。
だからって、他の3人のリリに対する印象やリリとの関わりのエピソードで、リリを主人公として浮かび上がらせていくお話でもないことに、「ふーん。面白い…」って(^^ゞ
この小説は川上弘美の小説ということではなく、欲望に素直に従っている人が出てくる小説を無性に読みたくなったから読んだんだけど。
でも、川上弘美は『真鶴』から読むべきだったかな?
以下は本の感想とは関係ない話。
去年くらいから「流域面積世界最大の川」の古本がやけに高くなったこともあり、最近は本屋で買うことが増えた。
e-honで買えば新品だし。カバーもかけてもらえる。
本屋受取りで買えば送料とられないし、地元の本屋に貢献も出来る(^^)/
…と、いいことだらけなんだけど、ただお財布にはキツい(爆)
「世の中インフレだし。古本屋さんも大変だろうから、仕方ないのかな?」とは思いつつ。
新品より100円くらいしか安くないのに、今まで通りに「見るからに古本!」って状態の物が送られてくると、ちょっとムカッとくる。
かと言って、★の評価を下げるのも、なぁ〜んかちょっと申し訳ないよーな。
古本の値段が急に上がったのはなぜなんだろ?
あ、もしかして流域面積世界最大の川としては、もっとキンドルを普及させたいから、古本屋さんに値段を上げるよう要請してるのかな?、みたいなことも思ったりもするんだけど、どうなんだろうね┐(´д`)┌
ていうか、妥協してそれなりの価格で買った本を、再度流域面積世界最大の川で見てみるとずいぶんお手頃な価格に下がっていることも多くて。
あー、これは、人によって自動的に価格を高くしたり安くしたりしてるってことなのかな?なんて思ったりもして。
いっそ、以前のように「本は本屋で買うもの」としちゃえばいいんだろうけど、とはいえ、最近の本は馬鹿みたいに高い(゜o゜;
高くても、その価格に見合った面白さがあればいいんだけど、最近の本ときたらまぁ……
なんだか嫌な世の中だ(爆) -
わぁ、なんか苦手かもと思いながらとりあえず読み進めてみた。独特なテンポで進む感じ。読んでいくうちに気にならなくなって、世界観に没入して、苦しくなったり、はあ?と思ったり。ふわふわとした悩み事や地に足のつかない感じ、私にとってリアルな感覚でした。
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「なぜ私はここにいるんだろう」何が正しいと言うのもわからないけど誰もがそう思っているかもです。
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川上弘美さん。私が人生で一番尊敬している先生が好きな作家さん。そろそろ読んでみようと思って手にとった。
四人の男女の、恋愛を中心にしたお話。
前半から、すごくたんたんと出来事と感情がつづられていていた印象。ぜんぜん説明が少なくて、わからないところはまっすぐわからない、という感じ。
ただ、ときおりすごく強い力でわたしの経験と感情をひっぱられる予感がした。しかし、そもそもしっかりと心を動かすには、私の人生経験が合わないんだろうなという印象。
すごく理解できる人はすごく泣いてしまいそうと思った。
まだわたしには早かったかも。 -
切なさと息苦しさがあるはずの関係なのに、どこか爽やかで甘い。
4人の視点が切り替わりながら進む物語に引き込まれていく。
川上弘美さんの柔らかな表現力に、しっとりとした夜の中を静かに歩くような感覚で読み進める。
恋愛小説というジャンルでは括りきれない、生と性、人生における様々な想いを綴ってくれる。
深く静かに読書の海に浸りたい時に、ふと読みたくなる作家。 -
人が人を好きになる不条理さやら切なさやら、息苦しいくらい読んで取れた。
結局は誰も幸せになってない感じも、私独りよがりの感想なのかも。
捉え方は複雑だけど、僕は胸に染みた、傑作だと思います。 -
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不浄な妄想は、小説の世界くらい。実現はしないのだが、想像力を楽しむ権利は、侵されない。だから、登場人物に全く気持ちを重ねられない一面がありながら、だけど、そんな世界観を楽しむ自分がいる。味わっている、自分に気付かされる。こうした世界を不潔、と言ってしまう価値観の狭隘なことよ。ステキな、物語だった。
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たいくつ・・・
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関係する4人の視点から描きつつ少しずつ時系列が進んでいく。
私としては、友人の夫に出会った時に恋をするのは考えられないなと思うけど、お話として感情の流れを感じながら面白く読んだ。 -
不倫関係のつながり
① 妻
② 夫
③ 妻の親友(独身)/ 夫の不倫相手
④ 妻の不倫相手 / ⑤の弟
④ 夫の友人(独身)/ ③の男友達
⑤ ③の男友達(独身)/ ④の兄
⑥ ③の男友達(独身)
最終的に皆自分たちの居場所を見つけ出し始めて、これらのつながりは解消されていくところで物語は終了。
登場人物の気持ちのうつろいや感情の揺れ動きを、作者はゆったりとした文体で丁寧に描写しているところが良かったです。
物語はスリリングな展開はなく、波が打ち寄せてはかえるといった情景が浮かんでくるような、穏やかで平和な流れで構成されていました。
文章の細やかな描写に惹かれ二度読みましたが、一度読んだだけでは登場人物たちの相関を理解できなかったのも事実です。
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久々に川上弘美さんの小説を読み、その表現力の高さに驚き、感動する。
主人公はたまたま知り合った若い男と不倫をし、主人公の親友は、主人公の夫、主人公の不倫相手の兄、それからよくわからないけどもう1人の男性と少なくとも関係を持っている。
泥沼でしかないのに、川上さんの手に掛かればもはやファンタジー。美しく清いとさえ感じる。
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ゴーヤチャンプルーを作った翌日にたまたま手にとって読んでしまった。ゴーヤ炒めをスパムで作るとか通ではないか。
しまった、ゴーヤ料理するたびこの物語を思い出してしまうよ。
それぞれの配役、ドラマにするとしたら誰かな。
春名は黒木メイサ、リリは比嘉愛未?う~ん、どうでしょう。 -
いとけない人、という表現がでてくる。知らないことば。ぐぐってみたら、汚れをしらない、あどけなさ、幼いはただ、歳が少ないに対して、純真さを持っている場合につかいますってでてきた。知らない言葉がまだまだあるものだ。いとけない
とても好きな小説だった。みんながぐるぐるしてて、どうしていいかわからなくなってて、なのに冷静で。きっと現実ってこんなかんじ。いま、信じられないほど大好きな人との関係だっていつかは冷めてしまうかもしれない。とすると、やっぱり結婚てなんなんだろう。人は一人ひとり自由なのに、縛るなんて無意味すぎる。こどものためなのかな?うーん
白骨温泉で読む -
さらっとしたお話。
どろどろした感情を抱えてるひともいるんだけど、それぞれが客観的でまるで自分の感情なのかそうでないのか、自分なのか他の誰かなのか分からなくなっている。
でもふと自分のどうしようもない感情であることに気づく。
冷たいけど冷たくない。
感情が研ぎ澄まされすぎて逆に鈍感になってしまう。
あのひとを好きじゃなくなった瞬間ってどんなだったのかもう思い出せないな。
好きになった瞬間も然り。 -
「夜」って雰囲気が,そこら中に漂っていました。
いくら親しいと思っていても,そんな幻想はいつか呆気なく崩れていくもの。
人との関係なんて,全ては自分の持つ幻。
確かに存在するのは,感情を抜いた事実だけ。 -
なんというか、痺れる作品。
感動で痺れた、ではなく、いや、凄く良かったので批判的な意味合いでもなく、じんじんとする感じ。
「感じた」。
4人の視点、4人の物語。1筋の時間軸。
視点が違うと当然だけど、見方も変わって。でも話の筋は一緒で。
いいや、高尚チックな感想でなく、
こんなふうな人生体感したら、なんというか、いいな。
色々物議を醸し出すだろうが、いいな。
いい女たちの話だ。
著者プロフィール
川上弘美の作品
