ミーナの行進 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 1822
レビュー : 204
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122051584

感想・レビュー・書評

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  • 物語に出てくるすべてが親密さをもって中学生だった私の記憶として刻まれるかのようであり、すべてが夢の中のように美しい。
    正直私はマッチを擦ったことがなくマッチの火を直に見たことがないのだけれど、光線浴室のオレンジと共にそれに触れた感覚をおぼえた。
    箱にお話を書くミーナやポチ子のことも私は知っていて、昔遊んだことがあるのではないかとすら思える。完璧だと思われた家族のほころびが静かにわかってくる様子も見事だった。
    誰しも胸にかなしみを抱えている。

  • お金持ちの叔母さん一家の豪邸に、母子家庭で育った裕福でない女の子が、1年間住まわせてもらうことになった。そして、そのお家には、1つ年下のミーナという女の子がいる。

    この設定を聞くと、いかにもいじめられるストーリーしか想像がつかなかった。

    けれども、この物語は全く違った。本当に本当に幸せな、夢のようなキラキラした1年間のお話だった。迎え入れてくれた家族や住人達はみんな温かい。様々な事情はあれど屋敷の中での小さな出来事を大切にしてお互いを思いやり、生き物を愛し、美しい物語を紡ぎ出す人たちだった。

    家族がそれぞれの成長に応じて、どのように共に時を重ね、心を通わせ、そしてその命を締めくくっていくのが一番幸せなのか、感じられるようなお話。

    子ども時代に家族で過ごすたわいない時間。楽しい思い出。大人になってからは、再びあの頃のようには過ごせないけれど、かけがえのない思い出としてその後の人生を形作っていくのだと思う。

  • ノスタルジックな優しい小説。
    すごく好きだなぁ。
    小川洋子さんの本はほんとにじんわり
    あたたかい気持ちになれる。

    芦屋のお屋敷を朋子という外から来た
    少女視点で描くことでより鮮明に、
    より印象的に浮かび上がらせている。
    登場人物の全員がみなそれぞれ素敵で、
    ミーナは特別素敵な女の子で、
    マッチ箱に綴るミーナの物語が
    またとてつもなく素敵だった。
    ラストもとてもよくて
    ふとした時に思い返せる1冊になったと思う。

  • 谷崎純一郎賞受賞作、って言われると、ああ、っぽい感じって気がする。まぁ谷崎純一郎って言ったって読んだことはないんだけどね。イメージでね。
    といっても何とも言えない雰囲気がなかなかにやるわよ。ふわふわーっとした毎日だけどね、これがお金持ちの家庭!ってなったとたんに、アクセントになって。だいたい皆さん穏やかに優し気な人達ばかりで、てか良い人ばかりで、結局は金があって余裕があるからじゃないの、という世の中の掟を思い知らされるという結末がないわけではないものの。コビトカバ飼ってるとか、すげーとしか言いようがないし。てか調べちゃったよ、カバ。
    でもこんな優しい世界があっても良いじゃないの。

  • 家族愛とか友愛がわき水のように溢れてくる作品で、心が温かくなる。子供の視点で世界を描写していくアンニュイさがまた素晴らしい。

  • 月日が流れ、たとえ逢う機会がなくなっても、ますます色濃く胸の奥に深く根差す少女の頃の記憶…。

    中学1年生の1年間だけ、母と離れて芦屋の山の上の洋館で暮らすことになった朋子。
    そんな朋子の夢のような温かな日常は、大人になって思い返しても忘れることが決してできない大切な宝物。
    コビトカバのポチ子に乗って小学校へ通ういとこのミーナ。
    丸々とした胴体から伸びる可愛らしい脚で歩くポチ子の上に股がって悠然と行進するミーナは、やがてポチ子の背中を降り、自分一人の力で行進し続ける。
    エールを送りたくなる清々しい物語だった。

  • 子どもから見た大人の世界の描き方がなんとも良かった。子どもって言っても、中1で、何も分かってないわけでもなく、でも、全てを分かることができるわけでもなく、主人公の朋子の目線で、伯父さんや伯母さんなどの大人たちを見て、朋子と同じように、不可解さや侘しさを感じたりした。
    なかでもやっぱり、ミーナの家では完璧にステキな伯父さんが、定期的に家をあけることについて伯母さんや他の大人たちも、怒るでもなくただ悲しんで過ごすだけ、という状況はもどかしく、私だったら我慢できないだろうな、と思いつつ、そうするしかできないのもなんか分かって、伯父さんが悪人でないことも分かるから、だからこそ哀しいなと思った。

  • ミーナの凜としたところがすごく素敵。マッチ箱の彼がなんかもう…幻想的で美しいところと、現実の切なさとか厳しさが合わさってて胸がぐーっとしました。

  • マッチ箱のお話が、ぞわっとしました。
    人の中にあって、でも気づいていないような
    気づいているような「闇」を描いているような気がします。

  • 人生には忘れられない年、特別な思い出がひとつはあるものだ。
    朋子にとってそれは、芦屋で過ごした一年間だった。
    とても不思議でとても濃厚なその年の記録の物語。

    コビトカバ、検索したらとてもかわいかった。

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著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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