ミーナの行進 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.96
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本棚登録 : 1819
レビュー : 204
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122051584

作品紹介・あらすじ

美しくて、かよわくて、本を愛したミーナ。あなたとの思い出は、損なわれることがない-ミュンヘンオリンピックの年に芦屋の洋館で育まれた、ふたりの少女と、家族の物語。あたたかなイラストとともに小川洋子が贈る、新たなる傑作長編小説。第四二回谷崎潤一郎賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいる最中から、この穏やかな日々が何を機会に終焉を迎えるのだろうと、ちょっとの心配を抱えながら読み進めた。とてもとてもよかった。読後感もよかったし、出てくる主人公たちがみな魅力的で、会ってみたいと思わせる人たちだった。
    ミーナが一人で学校へ行く場面では、胸がいっぱいになった。場面場面が鮮やかに浮かんでくるのは、小川洋子ならではだと思う。

    p13
    現実が失われているからこそ、私の思い出はもはや、なにっものにも損なわれることがない。

    p86
    (川端康成が自殺したニュースを読んで)
    自分の書いた話が本になって、日本中どころか世界中の本屋さんや図書館に並んでるんよ。自分が行ったこともないどっかの街の図書館で、自分の知らん誰かが、自分の書いた本を開いてんの。そんな素晴らしいことが起こってんのに、死んでしまうやなんて、なんでなんかしら

    p142
    同じ料理でも、米田さんの手に掛かるとそれは、美の発見にもなり英知の発露にもなった。

    p206
    写真を見るたび私はつぶやく。全員揃ってる。大丈夫。誰も欠けてない。

    p233
    ローザ)おばあさんが老いてしまったのは時間のせいではなく、ドイツと日本の遠さのためではないだろうか、という気がして、わけもなく寂しくなった。

    p310
    私はふと、耳たぶがごそごそするような気がした。ああ、これが天使の伝言なんだ。今天使が私の耳たぶで羽を繕っているんだ、と分かった。

    p331
    ミーナは小学校へ向かって自分の足で歩きだした。たった一人の行進だった。その小さな背中が坂道を下りきり、角を曲がって見えなくなるまで、私はミーナを見送った。

    p332
    (図書館司書のとっくりさんに)
    何の本を読んだかは、どう生きたかの証明でもあるんや。

    p340
    たとえ死んでも、消えてなくなるわけではないのだ。この世の物質は決してなくならず、姿を変えるだけなのだ。少女は少しほっとしました。死んだあとの自分が、昆虫の抜け殻の模様になったり、流れ星になったりしている様子を想像すると、ゆっくり眠れるような気がするのでした。

    p348
    大好きだったあの洋館が、もうどこにも存在しなことを認めたくなくて、ずっと近寄らないようにしてきましたが、その日、阪急電車の窓に芦屋の町波が見えたきた時、なぜか心が動いたのです。風景がどう変わろうと、思い出まで傷つくわけじゃないという自身のようなものが、私の中に育っていたのかもしれません。

  • 2019年3月28日に紹介されました!

  • ーーたとえ死んでも、消えてなくなるわけではないのだ。この世の物質は決してなくならず、姿を変えるだけなのだ。少女は少しほっとしました。死んだあとの自分が、昆虫の抜け殻の模様になったり、流れ星になったりしている様子を想像すると、ゆっくり眠れるような気がするのでした。

    マッチ箱の底に物語を綴る少女。誰のために綴るわけでもないその物語一つひとつが愛おしかった。

  • 本が好きな人には懐かしいかも

  • 切なくて優しくて、きらきらしている。
    朋子がミーナたちと過ごしたのはたった一年だったけれど、一生続く大切な時間だった。
    登場人物みんなそれぞれに素敵。

  • こういう本を読みたかった!
    大人になってふと思い出した時、自分を支えてくれる幸福な思い出。この話は主人公にとって、そういう記憶に違いない。

  • ミーナの行進 (中公文庫)

  • 親戚が住んでいる芦屋の豪邸に 1年間住まわせてもらうお話
    おとぎ話のような雰囲気 たまにシリアスになりかけるけれども パステルカラーな雰囲気のまま日常が描かれていく

  • タイトルから勝手に、本当に勝手に、猫の話だろうと誤解していたら、動物はたくさん出てきたが、猫は一匹も出てこなかったという・・・。

    それは差し置いても素晴らしい評価を受けている作品、だというのは理解できるのだが、私には合わなかった。
    小川氏の作品であればもう少し、毒があるのかなというイメージがあったのだが、少し拍子抜け。確かに伯父さんの不在の理由や、タバコと酒に溺れながらひたすら誤植を探すおばさんの姿などダークな部分ではあったのだけど、その他のカバのポチ子の話やマッチ箱の話で印象が薄まってしまった。
    しかし、山火事が起こって「念のため」とは言え、みんなで避難したとき、誰もポチ子のことを言いださなかったのが疑問。案の定・・・だし。

    全体的にとてもわくわくするような話ばかりなのだけど、なにか、全てが私のポイントからことごとくずれていて、少しも感情移入することができず・・・いつまでこの少女趣味の話に付き合えばいいのだろうという感じでどうにか読了。
    先入観が邪魔して作品の空気を感じることができなかったのかもしれない。

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著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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