ミーナの行進 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 1819
レビュー : 204
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122051584

感想・レビュー・書評

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  • ミーナの喋る関西弁がリアルに聴こえてくるような気がした。どことなくノスタルジックで、どこか不思議な世界、でもリアリティがある。

    作中に出てくる「ミュンヘンへの道」、作者と同年代の私もミーナや朋子と同様、必死で見たアニメでした。あれで、それまで馴染みのなかったバレーボールのルールとクィック攻撃に詳しくなりました。

    あの番組ってそんなにメジャーだったのでしょうか?でもあのアニメのお陰で、私も作中の家族と同様にミュンヘンオリンピックのバレーボール中継を必死で観て感動したものでした。

    あと、フレッシーってプラッシーから来てますよね。「ジャコビニ流星群」の話も、なんか記憶のかなた夢の中ではありますが、あったなぁとおぼえています。因みに私の場合は、漫画「アストロ球団」のジャコビニ流星打法と繋がっているのですが、、、。

    いろいろありますが、作者の小川洋子さんが作り出された世界はリアルそうでファンタジックな、少女たちの大人への第一歩なのかもしれません。

  • ノスタルジー感溢れる優しい小説。登場人物みな暗い面を抱えているので、起承転結のいつ「転」が来るのだろうかと構えながら読んでいましたが、最後まで穏やかな内容で心地良い余韻を残したまま読了しました。

    「写真を見るたび私はつぶやく。全員揃ってる。大丈夫。誰も欠けてない。」

    非常に心に残った素敵な一文。
    自分の思い出の写真に当てはめて、心の中で呟くとぐっと来るものがあります…。

  • とても優しい読後感です。
    朋子が芦屋の親戚の家で過ごした、不思議でキラキラした1年ちょっと。
    伯父さんの浮気はあれど、ミーナの家の人は良い人ばかりで、ポチ子も愛らしいですし、優しい気持ちになります。
    マッチ箱の物語ももっと読みたくなります。挿絵もかわいいです。
    病弱だったミーナが、ラストに向かうにつれ、健康になり外国でバリバリ働いている、という成長も好きです。
    舞台は日本なのに、外国の空気を感じる作品でした。

  • おもしろかった。わくわくすると同に心がほっとするような感じ。
    ホラーめいた奇妙な話とか悲しげな話が苦手なので、小川洋子って避けていたふしがある(スミマセン)のだけれど、これはそういう要素がなく(ファンタジーっぽさはあるけど、これくらいはわたしも受け入れ可能)、とてもよかった。
    やっぱり文章が美しいなーと。ときどき、読んでいると、ぱあああっーという感じで目の前に風景が広がるような感じがした。
    小川洋子さんのエッセイとかも読んでみようかな。

  • 完璧なようでそうでないからこそ素晴らしい、そんな家族と過ごした素敵な一年の流れが柔らかく描かれていて、読み終わるのが勿体なくなってしまった。

    ポチ子が死んでしまった後の朋子の少女らしい気持ちに切なくなった。


    「朋子。月が二つ。だってお月様は二つないもの。ないものなのにこうして二つある。同じ大きさで横に並んでる。」
    「何の本を読んだかは、どう生きたかの証明でもあるんや」
    好きな台詞です。

  • 谷崎純一郎賞受賞作、って言われると、ああ、っぽい感じって気がする。まぁ谷崎純一郎って言ったって読んだことはないんだけどね。イメージでね。
    といっても何とも言えない雰囲気がなかなかにやるわよ。ふわふわーっとした毎日だけどね、これがお金持ちの家庭!ってなったとたんに、アクセントになって。だいたい皆さん穏やかに優し気な人達ばかりで、てか良い人ばかりで、結局は金があって余裕があるからじゃないの、という世の中の掟を思い知らされるという結末がないわけではないものの。コビトカバ飼ってるとか、すげーとしか言いようがないし。てか調べちゃったよ、カバ。
    でもこんな優しい世界があっても良いじゃないの。

  • 舞台が芦屋で朋子とミーナは僕とほぼ同年代.打出の図書館やら阪急芦屋川が出てきて当時が眼に浮かぶ.お菓子に火をつけたりする喫茶店はアンリシャルパンティか?もう少し関西弁が多く出てきても良かったと思う.上品な関西弁で.コビトカバが出てきたりちょっと不思議で全体的には長いスパンで人生を感じさせる小川洋子らしいお話でした.

  • 小川洋子さんの小説らしく、ほっこりとする読後感。
    芦屋のお金持ちの親戚の家に居候した1年間の出来事が、これっと言った大事件もおこらず、淡々と進んでいくのだが、やはり小川さんの小説らしく「ファンタジー色」はあった。
    コビトカバの「ポチ子」がかわいい。
    そして、ミーナが強い女性になっているのも、朋子が図書館で働いてるのも、なんだか嬉しかった。

  • ミーナと過ごした、1972年。
    月日が流れ、あの場所がなくなってしまっても、誰かが天に召されていなくなってしまったとしても、心の中で決して色あせることはない、きらきらした思い出たち。

    終わりが近づくにつれて涙がこぼれたのは、きっと、そんな美しい物語をもっともっと聞かせてほしかったから。

    寝る前におかあさんがそっと読んでくれたような、秋の夕暮れ時のやわらかな日差しが似合いそうな、暖かみのあるほんわりとした物語だった。

  • すべて完璧な人なんかいなくて、欠点があるからこそ愛しいし、その欠点を補いながら生きるために家族がいるんだなあ。

著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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