11月そして12月 (中公文庫 ひ 21-6)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122052130

感想・レビュー・書評

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  • たった2ヶ月間の話だけどそれぞれの登場人物の生活や想いがぎゅっと凝縮されていた。結末ははっきりと書かれていないけど、きっと同じ様にたんたんとそれぞれの人生を歩んでいくんだろうなぁと思う。個人的にはお姉さんや父親側からの話も気になる。
    こういう主人公の内面が細かく描写された作品はけっこう好き。

  • 樋口さんの描く主人公は不器用で口が悪く、面倒な性格だ。しかし、自分の気持ちにとても素直だ。
    社会適応能力に欠ける晴川柿郎は、家族を含めた周辺の不条理さに悩みながらも、最後は自分の歩むべき道を見つける。
    「世界のどこかで、ぼくが自分自身の無意味さを発見してしまったとしても、ぼくはもう、その無意味さを恐れない」・・・大人の階段を登る為の凄く大きな一歩だと思う。

  • しばらく新刊書店では入手できなかった作品が新装版で出ました。タイトル通り、ピッタリの季節に本屋さんに並んでいます。 樋口センセの作品を読んでいると感じるものの一つに「風」があります。『風少女』のイメージが強いせいかもしれません 『11月そして12月』はけっして風の描写が沢山出てくるわけではないのですが、何故なんでしょう?柿朗くんや明夜の心の揺れが風をかんじさせるのでしょうかね(家族が台風のようだ!ってのもあるかも笑)・・・あぁ好きだな〜やっぱり樋口センセLOVE〜♪(笑) 主人公 柿朗(シロウ)くんがお母さんに言われる一言に笑ってしまった【・・あなたには他人に存在感を意識させない、不思議な才能があるの。・・】センセ!新刊待ってますぅぅぅ〜  

  • どうして人間とは、かくも面倒臭い生き物なのか。

    本作で取り上げている「ネタ」(あえて言う)は、
    2ch系のまとめサイトで言えば「修羅場」関係に
    頻出しそうなことがてんこ盛りである。
    が、登場人物たちは、誰一人「激する」ことはない。

    むしろ淡々と、飄々と、しかも粛々と、
    目の前の、本当に目先の喫緊の問題だけを「回避」し、
    ダメージを最小に抑えることに汲々としている。
    誰も「将来」のことから、目を背けている、とも言える。

    そんな中、主人公の(私が好きな)韜晦した青年は、
    謎多き同い年の女性との偶然の出会いをきっかけに、
    自分を主人公に据えたストーリーを歩き始める。

    韜晦した青年を描くことは、樋口氏の得意技。
    そして私が「韜晦青年」好きになったのも、
    おそらく樋口作品を通してのことだった気がする。

    自分が「何者でもない」ことを認めたくない青年は、
    「世界レベルの期待を背負った」女性と出会い、
    彼女を「自分のフィールド」まで引きずり落とすことを
    葛藤しつつも潔しとせず(^ ^;

    ...ちなみに、読み進めながら
    「なかなか『事件』が起きんな」と思っていたのですが...
    最後まで起きなかった(^ ^;

    いや、「ご家庭内の事件」は頻発するのですが、
    人が死んだりはしないという意味で、ですが(^ ^;

    何をどう勘違いしたのか、ミステリだと思って
    読み始めていたもんで...(^ ^;

  • 今の時代で言えばニートのストーカーとも取れる主人公。皮肉で女性に弱く、人生にどこか諦めがあるという要素は揃ってるのに、何故かいつもの魅力があまり感じられないのは、ダブル不倫というテーマの弱さかな。

  • 捻くれた青年,有能で気が強い姉,変人系ヒロインとこれまたテンプレ構成ながら,今回はちょっと違う。
    姉が不倫の果てに自殺未遂したり,親父の不倫がバレてお袋が出て行ったりするが,事件らしい事件もなく終わる。
    樋口有介作品にミステリ要素を求めるのもあれだが,あまりにあっさり終わった印象。
    主人公はイケメン補正でなんとかなっているが,完全なるストーカさん。

  • 平和だな。 

    自身の恋愛や、周囲の不倫を通して成長する青年。

    平和だな。

  • 高校も大学も中退した22歳のぼく。長距離選手として将来を嘱望されていた明夜との出会い、父の不倫、姉の自殺未遂…青春小説

  • 本書は高校も大学も中退した僕が、家族の事件を通して、確かな一歩を踏み出していく姿を描く青春小説である。
    もともと、ミステリー色のうすい作家さんではありましたが、本書はタイトル通りの青春小説でした。

  • 20111216読了
    #季節

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著者プロフィール

1950年、群馬県生まれ。業界紙記者などを経て、88年『ぼくと、ぼくらの夏』で第6回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー。『風少女』で第103回直木賞候補。著書に『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の思惑』、「船宿たき川捕り物暦」シリーズの『変わり朝顔』『初めての梅』(以上、祥伝社文庫刊)など。2021年10月、逝去。

「2023年 『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の策略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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