大作曲家たちの履歴書(上) (中公文庫 さ 53-1)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (450ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122052406

作品紹介・あらすじ

メイドに卵を投げつけた横暴なベートーヴェン、女装して恋愛相手を追いかけた激情家ベルリオーズ-その人種、家系、作曲態度から、精神状態、女性関係まで。大作曲家たちの頭の中から爪先までを忌憚なく描いた、クラシックファン必携の大事典。文庫版にはバッハとモーツァルトの二大巨匠を書き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • 小学生の頃に流行ったプロフィール帳の大人バージョン見てるみたいで全然難しくなくて面白かった。
    これは下巻も欲しくなる。

  • 大作曲家たちの生い立ちから生きざま、他の作曲家との関係、交友関係等をこと細かく記した本の上巻。

    本巻で取り上げられているのは、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ベルリオーズ、メンデルスゾーン、ショパン、シューマン、リスト、ワーグナー。

    著者自身が作曲家なので、彼らの生きざまが作風へどう影響しているのか洞察が加えられていて興味深い。

    ただ大作曲家と呼ばれる人たちはいずれもひと癖もふた癖もある人たちで、癖がないのはメンデルスゾーンくらいか。特にベルリオーズとシューマンとワーグナーは強烈だった。

  • 作曲家の筆になる本。
    作曲家の生涯を「履歴書」の体裁でまとめたのが面白い趣向。
    書店でパラパラめくった時、譜面が引用されていて、おお、これは楽曲解説もあるんだな、と期待して購入したのだが、こちらの方はそれほどたくさんはなかった。
    せっかく作曲家が書いているのに…それがちょっと残念。

    小学校の頃、図書館にジュニア向けの作曲家の伝記シリーズがあった。
    バッハの巻で、オルガンを学びに、アルンシュタットからリューベックまでの約400㎞を歩いて行った、という話が妙に印象に残っている。
    ストイックな努力って、かっこいいなあ、と子ども心に思ったのだ。
    今回、本書で、それはブクステフーデに会いに行く旅だったということを改めて知り、何か感慨深かった。

    それから、ベートーベンの部屋の乱雑さの描写に、ドン引きしたり(笑)。
    食べ散らかしも汚物入りのおまるも、楽譜も衣類もぐちゃぐちゃ。
    のだめの部屋よりも強烈かもしれない。

    あと、ちょっと辟易したのが恋愛の話がやたらに多いこと。
    たしかに、それが創作活動にも影響したのだろうし、彼らの人生を語る上でも大切な要素なのかもしれないが、印象的にはそちらのほうが記述の分量が多い気がする。

    恋人と並んで、家系図もすごい。
    本書ではデザイナーさんの努力で、見やすい系図になっている。
    音楽学者か、伝記作家かわからないけれど、よく調べ上げたものだなあ、と感心してしまう。

    もう一個、あれ?と思うのは「人種」の欄。
    この欄、なくてもよくない?と思う。
    まして、「人種 ドイツ人」「人種 フランス人」とか書かれていた日には!
    どこから突っ込んでいいか(苦笑)

  • 111205

  • レコード等のない時代、リストの積極的なリサイタル活動は、多くの作曲家の作品を広く知らしめる役割も果たした。

    昔は自分で作曲した交響曲を、生きている最中に一度たりとも聞けないことがあったという。録音する機械も、シンセサイザーもない時代。オーケストラを集めて練習してもらい、ようやく聞くことができるのだ。それもたった一回だけ。もちろん、一般庶民はなかなかオーケストラの演奏を聴くことはできなかっただろう。そう思うと、誰にとっても儚くそしてとても贅沢な嗜好品だったに違いない。小さな頃からクラシックに囲まれて育った私にとって、それはとても衝撃的な発見だった。

  • 好きな作曲家の斜め読み。

  • バッハからワーグナーまでの主要作曲家たちの人生が書かれている。とだけ聞くと、その手の本は間に合ってます、と断られそうですが。
    各作曲家の履歴書があります。これが、なんともシュールで可愛く、そのくせとっても情報をコンパクトに伝えるのに長けていて、誰だこんなの思いついたの!と感心してしまう。神童だったか?Yes/Noなんて、作曲家でないと関係ないような質問まで。
    そして文章がとても読みやすい。ものすごい量の本や情報を、咀嚼して書かれたものなのだな、と感じる構成です。文章そのものも、アカデミックな内容に触れつつも、著者本人の意見を素直に聞き入れることができるような。
    実は私、誕生日がリストと同じなのですが、どうにも彼の作品が好きになれず。あの、見よ!僕の妙技!といわんばかりのテクニックに偏った、そのくせどうやって終わっていいかが分からない故に延々と同じフレーズを繰り返すところとか、聴くのも辛いし弾くともっと辛い、と思っていたのですが。そういえばリストの人となりはあまり知らなかったなあと思い、新鮮な気持ちで読みました。なるほど。人格は、矛盾していてクセがあって、でも、女装して復讐しようとしたベルリオーズや、借金踏み倒し王のワーグナーよりも好感はもてます。あとは、彼の作品だけだ……。
    兎にも角にも、リストのお父さんの遺言、「お前の女関係だけが心配だ」に吹き出しました。
    下巻も楽しみ!

  • それぞれの作曲家について、本当に履歴書も添付されてるのが面白かった! 細かいエピソード、特に本人の祖先、子孫にわたる家系図とか、女性関係の時系図とか、作曲家を個人ととらえて見られたのが新鮮でした。

  • クラシックの偉大な作曲家たちの経歴をとおして、その人物と音楽を知ることができる本。
    作られた曲自体ではなく、そうした音楽を作った人間の背景に着目している点が面白い。

  • バッハは読みにくかったけども後はさくさく。ベルリオーズやリストは勉強になった。
    三枝さんはワーグナーが好きなんだなぁと思わせる。

  • 作曲家の履歴書という形態はおもしろいと思った。履歴書というより昔(今も存在するかも)小・中学生の女子の間で流行ったサイン帳っぽいけど、作曲家がぐっと身近に感じる。ただ、時折著者の根拠に基づいてない趣向や感じ方が出てくるので、エッセイなのか実用書なのかハッキリしない。著者は音楽家だからしょうがないかって思いながら読んでいる。評価は読後~

  • 2011.9.18-9.23 全ての作曲家について女性関係に関する詳しい記述があるのが興味深い。

  • 作曲家の履歴書を作成し、その各項目について語るという体裁
    新事実なども満載で、作曲家の素顔が白日の下に
    確かに面白い
    しかしゴシップ的でちょっと下世話な部分も多い
    大作曲家は皆変人で自己中の嫌な奴という
    一種の偶像破壊かも

    それ以上に、人物や音楽解釈の面で作者三枝成彰の個性が前面に出て、好き嫌いがあるだろう
    調べたら、彼ももう70歳の爺さんだもんなあ

    本の価格も文庫にしては随分高いし、下巻買おうか迷い中
    (結局買ってません)

  •  大作曲家の生涯を、多角的にでもさっくりと描いたエッセイ集というより学術書。

     取り上げている作曲家は、
     バッハ
     モーツァルト
     ベートーヴェン
     シューベルト 
     ベルリーオーズ
     メンデルスゾーン
     ショパン
     リスト
     ワーグナー(以上、上巻)
     ヴェルディ
     ブラームス
     チャイコフスキー
     フォーレ
     プッチーニ
     マーラー
     ドビュッシー
     R・シュトラウス
     シェーンベルグ
     ストラヴィンスキー(以上、下巻)

     雑誌掲載をまとめたということだが、バッハとモーツァルトは書き下ろしで、その二つが圧巻。
     この密度、クオリティーでいくのかと、覚悟して読んだら…。
     こういう並びにすると、やっぱり年代順、つか、音楽史的にならべざる得ないんだろうけど、それゆえにだいぶ損してるよね。

     にしても、まず、その作曲家の人生の概要があり、生きた時代のざっくりとした説明があり、ルーツがあり、そして人生にそったエピソードをならべていくという構成が、むしろ斬新で面白かった。
     ま、いちいち女性関係を問題視するのはどーかと思いましたけどねww

     と、結局のところ音楽家って、変人だよねってところに落ち着くところもどうかと。
     いや、確かに変人ばっかりだったんだろうけど、むしろ三枝氏自身が作曲家ってこういうものだから、どうか勘弁してくだいよ、って本の向こうで頭下げてる感じがしてしようがないんですけどね。

     と、「あとがき」がよい。
     西洋音楽がなにゆえにここまで世界的に広がったかというところを、とても的確に語っている。
     うん、フォーマット化っていうのは偉大なんですね。

     ともあれ、音楽に対して新しい視点を与えてくれる良書だと思います。はい。

  • レポートで使う部分だけ掻い摘みながら読んでいますがさり気無く時代の移り変わりも纏められているので私みたいな読み方ではなく初めからガッツリ読むのをオススメします。
    クラシックってちょっと…な方は、気になるもしくは聞いた事がある作曲家から読み始めてみてはいかがでしょうか

  • 2010年1月15日購入

  • なにも曲だけに限らないとは思いますが、
    人が作ったものは必ず時代の色が加わっている。

    そういう意味でも、人の曲を聴く上で、作曲家の生い立ちや時代背景を知っているともっと音楽が楽しめると思います。

    この本はその手助けをしてくれます。

    上巻は超がつくほど有名な作曲家たちの履歴書。

    内容は面白いけど、いかんせん、書くのが本業ではないかたが書いていらっしゃるので、文章がちょっとだけ洗練されていない。
    履歴書に書いてあるないようが、ほぼ、内容だったところもあるので
    星は3つ。

    でも読み物としてはとても面白かったです。
    下巻も買いました。
    筆者のおすすめ曲、youtubeとかで探してきいてます。

    Jan 2010

  • クラシックというとなんだか高尚なイメージが付きまとうが、高尚云々はさておき音楽という意味ではロックやジャズと同類とも言えるわけで、ジャズやロックのスターが破天荒な人生を歩んだのなら、クラシックの大作曲家が破天荒な人生を歩まない道理はない。その実、クラシックの大作曲家の中には、かなりアレな感じの生涯を送った人が相当数いるのである。たとえば、ベートーヴェン、ベルリオーズ、ワーグナーあたりは、ちょっと友人にはしたくないタイプ。詳細は本書を読んでください。

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著者プロフィール

作曲家、日本作編曲家協会副会長、日本交響楽振興財団理事、東京音楽大学客員教授。
1942年生まれ。東京芸術大学卒業、同大学院修了。在学中に安宅賞を受賞。
代表作としてオラトリオ「ヤマトタケル」、オペラ「千の記憶の物語」、男声合唱と管弦楽のための「最後の手紙 The Last Message」、映画音楽では「優駿」「お引越し」「MISTY」「機動戦士ガンダム~逆襲のシャア~」「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダムZZ」など、テレビ番組の音楽ではNHK大河ドラマ「太平記」「花の乱」など。著書に「大作曲家たちの履歴書」(中央公論新社)、「驚天動地のクラシック」(キノブックス)などがある。
1991年、国際財団モ-ツァルテウムの依頼により、モ-ツァルトの未完曲「ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための競争交響曲イ長調」に補筆・完成したことも話題となった。
1997年には、構想に10年近くをかけたオペラ「忠臣蔵」を世界初演(2000年愛知県芸術劇場、2002年新国立劇場で再演)。このオペラのCDとビデオは、日本人作曲家のオペラ作品として初めて、全世界27ヵ国で発売されている。
2004年4月、プッチーニの名作オペラ「蝶々夫人」を下敷きにしたオペラ「Jr.バタフライ」を世界初演(2005年、阪神大震災復興十周年記念事業として神戸で再演)。このオペラは2006年にイタリア・プッチーニ音楽祭でも再演されたが、これは同音楽祭で初めての外国人作曲家のオペラの上演であり、プッチーニ以外の作品としても初の上演であり、さらにイタリアにおける初めての日本人の手によるグランド・オペラの上演ともなった。
2007年、紫綬褒章受章。
2008年、モノオペラ「悲嘆」、ピアノ協奏曲「イカの哲学」を初演したほか、日本人初となるプッチーニ国際賞を受賞した。
2010年、1997年の「忠臣蔵」を再構成したオペラ「忠臣蔵」外伝と、男声合唱と管弦楽のための「最後の手紙 The Last Message」を初演。
2011年、渡辺晋賞受賞。
2013年、新作オペラ「KAMIKAZE ―神風―」を世界初演した。
2014年8月、プッチーニ音楽祭で「Jr.バタフライ」のイタリア語版をイタリア人キャストにて初演。
2016年1月、富山市と東京で同作品の日本凱旋公演を行った。
2017年10月、初の喜歌劇となる新作オペラ「狂おしき真夏の一日」(台本:林真理子、演出:秋元康、美術:千住博、指揮:大友直人、管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団、出演:大島幾雄、佐藤しのぶ、ジョン・健・ヌッツォ、小川里美、小林沙羅ほか)を世界初演した。
同年11月、旭日小綬章を受章。
2020年11月、文化功労者顕彰を受けた。
現在、新作のパッション(受難曲)「マグダラのマリアの福音書による」(台本:島田雅彦)、オペラ「平家物語(常盤御前)」(台本:林真理子)、「邦楽2020~4台の筝のための『烈風』」の作曲に取り組んでいる。

「2020年 『ベートーヴェンは凄い!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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