犬 (中公文庫)

  • 中央公論新社
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レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122052444

感想・レビュー・書評

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  • 犬に関わるアンソロジー。
    伊藤整、川端康成、幸田文、志賀直哉、林芙美子ら錚々たる面々の、犬をめぐる随想や小説。

    昔の犬が、ほぼ放し飼いにされており、残飯を食べさせ、時に逃げだし、また去勢や不妊もしないので盛りがつけば子犬が生まれ、もらったりあげたりが当たり前だったのが、おもしろい。今の犬とは随分違う環境だったろう。犬を飼う人々の努力が、犬の地位を向上させたということだろうか。

    一方で「犬殺し」がいる時代でもあった。

  • 明治から昭和の作家の、犬にかかわるストーリーを集めたもの。小説というよりエッセイのほうが強いか。
    実は本を読んでいても、この時代の作家のって読む機会それほど多くなくて、ほぼ初見。
    文体はもちろんそのままだけれど、あの時代の犬というものに考えさせられる。

  • ひとが犬をどうみてきたのかを考える。

    有名な作家さんたちだって、犬が好きよ。
    どれくらいかって、これくらいです。本になるくらい。
    ひとと犬それぞれの個性や事情により、彼らのあいだの距離感がいろいろと違うのがわたしは好きです。それが彼らたちだけにわかる信頼の証のようにも思えて。

  • なんで小沼丹「タロウ」が入っていないんだ。

  • 昭和29年に出版された犬にまつわる随筆をクラフトエヴィング商會がアレンジした文庫本。「エッセイ」ではなく「随筆」といわざるをえない、犬好きとして有名な?川端康成や志賀直哉らによる格調高い代物です。
    全体的な印象としては、今の犬は恵まれているというか、昭和初期の犬はまず番犬であり、野良犬も多かったという時代背景に軽いショックを受けつつ、人と動物の関わりというか、息づかいが感じられる一冊。

  • 幸田文『アカ』秀逸

  • 猫がタオルケットなら、こっちは冬の掛け布団。気持ちが合ってないとなんだか暑苦しい。

  • 犬ってバカなほどかわいい。

  • 犬好きにはいっそう楽しいアンソロジー。読んだことがない作家ばかりで、しかもほかの作品も読みたくなった。

    阿部知二「赤毛の犬」:高度成長の前の広い空や原っぱに響く子供の声が聞こえてきそうな話。抑制の効いた文体が気持ち良かった。

    網野菊「犬たち」:この人は私小説の人だから、主人公はたぶん当人とかぶるところがあるのだろう。小柄で、声も小さめで、独りでじっとしていそうな、でも心の中では頑固者かもしれない、尾崎翠の話に出てきそうな女の人を想像。

    伊藤整「犬と私」:同時代の作家の随筆から想像していた、きっちりして冷静な人とはだいぶイメージが違う、おちゃめな随筆。内心の動揺を自虐的に描いて笑いを取るスタイルなんだけれど、いまどきのエッセイのよう。

    川端康成「わが犬の記 愛犬家心得」:この人はイメージどおり、だいぶ神経質で気難しい書きっぷり。でも嫌な感触ではなくて、ところどころに犬への強烈な愛情がこもったフレーズがあって、にっこりさせられてしまう。

    幸田文「あか」:童話仕立てなんだけれども、最後の4行で不覚にも涙が出てしまった。電車の中だったのに。3時間後にもう一度読んだら、やっぱりじわっときた。この本の中では一番好きというか、否応もなく心を打たれてしまった。

    志賀直哉「クマ 雪の遠足」:取捨選択がされていないわけがないのに、書き手のフィルターが掛かっていないかのような、ものすごく透明な文章。びっくりした。多くの後進者に影響を与えたことを納得。

    徳川夢聲「トム公の居候」:ほかの作者がどちらかというとキッチリ派なのに比べると、夢聲さんの筆致は大らかでコミカルで、開けっ放しな犬好き魂が伝わってきて楽しい。犬のキャラが立っているという意味ではトップ。

    長谷川如是閑「「犬の家」の主人と家族」:きちんとしつけるのが飼い主の務めであり、それをやり遂げればどんなに素敵な犬ライフが待っているかがわかる。でもこの人すごい。ローレンツ先生みたい。

    林芙美子「犬」:犬とする会話から、「私」にとってその犬がどれほど大事な存在なのかが伝わってくる。たった4行なのに。私も会話したい。サブキャラのミミズクもいい味を出してます。

  • 年末に出た「猫」に比べると似たような話が多いのですが、その中でも幸田文の童話「あか」が絶品です。

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著者プロフィール

幸田 文(1904・9・1~1990・10・31) 小説家・随筆家。東京向島生まれ。文豪幸田露伴の次女。女子学院卒。1928年結婚。10年間の結婚生活の後、娘玉を連れて離婚。幸田家に戻り、父の傍らにあって家を守り、父の最期を看取る。47年父との思い出の記「雑記」「終焉」「葬送の記」を執筆。その清新な文体が好評を博し、随筆家として出発。56年『黒い裾』で読売文学賞、57年『流れる』で芸術院賞等を受賞し、小説家としても文壇的地位を得た。70年頃から、奈良法輪寺三重塔の再建のために奔走した。著書は他に『おとうと』『闘』『崩れ』『木』『台所のおと』『きもの』等多数。『幸田文全集 全23巻別巻1』(岩波書店刊)がある。

「2013年 『北愁』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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