そして誰もいなくなる (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 868
レビュー : 124
  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122052611

感想・レビュー・書評

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  • 主要登場人物みんなクズというこの作品。
    根底にあるのはアガサクリスティーの名作「そして誰もいなくなった」なんですが、作中でも早い段階から言われる【裁かれざる犯罪】が主テーマでしょうか。

    もし、何かの拍子に誰かの犯罪行為を目にしてしまったけれど、それが法律で裁けるようなものじゃなかったため、その人は一切のお咎めもなく、普段通りの生活を送っている。
    数年後にそんな場合に遭遇してしまったとしても、だからといって、否、だからこそ自分も同じ場所まで堕ちていく必要はないと思うんです。なぜ裁かれざる犯罪者と同じ場所まで進んで堕ちていくのか、そこが引っ掛かりましたが二転三転としていくストーリーに引き込まれました。

    で、読了後に私が真っ先に思い浮かべた感想が冒頭の「みんなクズ」です。本当にクズ揃い。最後の告白も同じ場所まで堕ちてきてと言っているのか、私の裁かれざる犯罪を覚えておいてとでも言っているのか考えても答えが出ず気味が悪い。

    だけど一番琴線に触れたのは、皆川の独白です。
    「恋は幻想に酔ってるだけ。愛は幻想から覚めたときから始まる(本文のママではあらず)」でしたね。自分でも驚きました。推理小説読んでここに揺さぶられるとは。

  • 題名通り「そして誰もいなくなった」≒私のトラウマのオマージュ作品。名門女子高で行われた劇「そして誰もいなくなった」劇場でマーストン青年役が毒殺。大混乱の中、ロジャース夫人役の生徒が大量の睡眠薬を飲み公園で亡くなっているのが発見される。「見立て殺人の見立て殺人」とも言うべき状況はさらに恐ろしい方向へ進んでいき…。元作品さながら、アップテンポでかなり読みやすい。テーマの方も共通されており、今作ではさらに掘り下げられた印象があります。事件の解決とともに明らかになる真実は重くやるせないですが、ともかく面白い。

  • 作者自らが「あとがき」でも書いているが,アガサ・クリスティの名作「そして誰もいなくなった」を本歌取りした作品。
    名門女子高の七夕祭の舞台で,「そして誰もいなくなった」の劇が講演されるが,その舞台で,「そして誰もいなくなった」で最初に毒を飲んで死ぬ「アンソニー・マーストン」役の西田エリカが,実際に毒を飲んで死んでしまう。その後,そして誰もいなくなったで死亡する順番に,舞台で演じるはずだった女生徒が死んでいくというストーリー。
    真相は非常に込み入っている。西田エリカを殺害したのは,松木晴美という女生徒。松木晴美は,「そして誰もいなくなった」の劇で,二人目に死ぬ「ロジャース夫人」の役だった。晴美は,西田エリカを殺したかったわけではなく,「そして誰もいなくなった」の劇をぶち壊すために,劇を台無しにしようとして,毒を入れたという(それで青酸カリを入れるなよ…。)。
    晴美は,真相に気付いた江島小雪からの脅迫電話を受け,自殺するが,松木晴美の父である松木憲一郎は,自らの保身のために,晴美の死体を遺棄し,「そして誰もいなくなった」の見立てで連続殺人がされたような偽装をする。
    その後,松木憲一郎は,女子高の教師で,「そして誰もいなくなった」の脚本を書いた向坂典子を共犯として,幻であった「犯人」を用意するために,「そして誰もいなくなった」のとおり,女生徒の殺害を続ける。
    ウォーグレイヴ元判事役の江島小雪という女生徒を殺害する場面で,松木憲一郎が向坂典子を裏切る。
    江島小雪は,皆川という刑事がこの真相を早々に見破った上で,皆川が過去に行った殺人事件の目撃者だった江島が殺害されるまで,松木を逮捕しようとしなかったという事実を突きつける。皆川は自殺する。江島は,自殺をせずに,生き抜くことを近い,渡米するというラスト。
    意外性を追求したあまり,入り込んだストーリーになり過ぎてしまったという印象。設定は面白いのだが,荒唐無稽な部分が多い。こういうむちゃくちゃなエンターテイメントは嫌いではないが,作品としてのレベルはそこまで高くないと思う。★3で。

  • 女子高の式典で「そして誰もいなくなった」を演じた人間が、物語通りに次々と殺されていくというなかなか面白い趣向です。視点がコロコロ変わるので終始バタバタした印象ですが、捻りや大どんでん返しが利いているので、それなりに楽しめる内容になっていると思います。

  • 2011/5/12

  • アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」をモチーフにしたミステリー。
    これだけでも十分楽しめるつくりではあるけれど、私は本家を読んでいなかったので、ちょっともったいなかったかも…。これから読む人は、先に本家を読んだ方がいいと思われます。

    名門女子校の演劇部が上演する、『そして誰もいなくなった』の舞台上で、服毒死する役の生徒が実際に死亡した。原因は、紅茶の中に入っていた青酸カリ。
    上演は中断されるも、その後も部員たちが芝居の筋書き通りの順序と手段で殺されていく。
    部長の江島小雪と顧問の向坂典子は、事件の真相に迫っていく。

    作中で上演される演目、そして作中の事件そのもので、アガサの作品になぞらえている。
    今邑さんのホラー短編しか読んだことなかったので、これもホラー的要素があるんだろう、でもどこから怖くなるんだろうと思っていたら、ミステリーに徹したミステリーだった。(よく見たら、あらすじにも「戦慄の本格ミステリー」って書いてありました。)
    最近は、詳細な人物描写や、人間関係からくる心理的なこじれに焦点を置いたミステリーをよく読んでいたので、こういうミステリーは久しぶり。
    とにかくどんどん人が死んでいく。文体は淡々としていて、何だか少し物足りない印象も受ける。
    でも、犯人は誰だろう?と思って読むと、最後は「え、そっち?」「えぇっ、そっち?」と次から次へとひっくり返されていくので、途中でやめられなくなり、「ちょっと休憩」のハズのスタバに2時間居座って、最後まで読んでしまいました。
    欲を言うと、やっぱりもう少し長くしてでも、人物描写をコッテリ書いてほしかったなぁ…。そうすると作者の意図とは異なることになってしまうのかもしれないけれど。

  • いろいろと構成的に見事。クリスティの原作も決定的ネタバレを回避して使ってる。
    え?え?え?という間に読めてしまう。

  • 名門女子校の演劇部の面々が、上演しようとしたアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」での役柄と殺害方法になぞらえて次々と殺されていき、高三の小雪部長と顧問の典子、刑事らが等身大に立ち向かう。実行犯の共犯者は反則的に感じてしまったけれど真犯人や締め方で納得した。読み易く滑らかでさくさくと進んだ。

  • こんなに二転三転するとわ!
    あり得ないストーリーながら面白かった!
    30/7/14

  • 本家を読んだ直後だったから楽しめたけど、そういうエンディングかーという感じではある。

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