ボートの三人男 (中公文庫)

  • 中央公論新社
3.65
  • (21)
  • (33)
  • (35)
  • (9)
  • (1)
本棚登録 : 434
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122053014

作品紹介・あらすじ

気鬱にとりつかれた三人の紳士が犬をお供に、テムズ河をボートで漕ぎだした。歴史を秘めた町や村、城や森をたどり、愉快で滑稽、皮肉で珍妙な河の旅が続く。数々のオマージュ作品を生み、いまだ世界で愛読されている英国ユーモア小説の古典。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • その時いたのは、ジョージとハリスとぼくの三人、そして犬のモンモランシーだった。
    三人でどうも最近体の具合がよくないなあなんて話し合っていたんだ。ジョージもハリスも不調を訴えていたが、ぼくなんてもっと重症だよ、病床図鑑を調べたら全部が当てはまるんだ!
    ぼくたちには休暇が必要だ。だからぼくたちはテムズ河に出ることにした。
    キングストンからオクスフォードへ、ボートをひきながら河を漕ぎ上がる。そしてキングストンへ漕ぎ下がる一週間の旅。
    こうしてぼくたち、ボートの三人と一匹の休暇が始まったんだ。

    ***

    イギリスのユーモア小説。

    読んでいる最中には頭の中で「ボートの上には三人男~~♪犬もいるよボートの上に~~♪」とかいう感じ歌が流れていました(メロディーは適当に/笑)

    翻訳は丸谷才一、表紙絵は和田誠、解説は井上ひさしというメンバーがなかなか豪華。
    ボートを漕ぐ男たちの楽しい騒動。
    楽しいといっても大袈裟な事件が起こるわけではありません。
    家の壁に釘を打つとか、夕食会の余興で歌を披露するとか、初めてボートを漕いだ時のこととか、新しい趣味として楽器を習うとか、そのような日常が作者の語り口により実に賑やかで楽しい大騒動に変わります。
    語り手である"J"も、回りの人たちを好き勝手に面白可笑しく語っていますが、彼自身もなかなかの身勝手っぷり。この本でに出てくるイギリス人は、みんなが好き勝手にしてお互い迷惑かけつつみんなが楽しいという、なかなか前向きな生活ですね。
    さらに犬のモンモランシーは、小さいフォックステリアながらも近所ではボス犬、他の犬猫相手に暴君ぶりを発揮したり、キャンプの湯沸かし器相手に喧嘩を吹っ掛けたりとやんちゃ坊主でかわいい。

    小説としては、もともとはテムズ河周辺の歴史的地理的旅行案内のようなものだったようで、そのためにユーモアも気取ったりわざとらしいところがなく、読者も一緒に自然に楽しい日々を過ごせます。
    さらにイギリス人の生活様相、イギリス人気質、食事の状況、紳士淑女の休暇の過ごし方など、イギリス人の日常風景も感じられます。

    ちょうどいい時に父なるテムズ河に入り、ちょうどいい時にボートから逃げ出した三人男に乾杯!
     わん!

    • goya626さん
      懐かしい本です。
      懐かしい本です。
      2019/11/10
    • 淳水堂さん
      goya626さんコメントありがとうございます。

      楽しい本ですよね。
      イギリス紳士ってこういう生活してるのか〜って。
      goya626さんコメントありがとうございます。

      楽しい本ですよね。
      イギリス紳士ってこういう生活してるのか〜って。
      2019/11/10
    • やまさん
      淳水堂さん
      こんばんは。
      いいね!有難う御座います。
      やま
      淳水堂さん
      こんばんは。
      いいね!有難う御座います。
      やま
      2019/11/10
  • 【G1000/6冊目】中々楽しく読むことができた。電車で読むのは危険かも知れないほどに。丸谷才一氏の訳に尊敬と感謝の意を。実に名訳である。さて、病気のデパートとも呼べるような男三人がいかにもイギリスっぽい。そしてもう助からないと言いながら陽気にボートで2週間もの!長旅にいってしまうのである。道中事あるごとにブラックなイングリッシュジョークを飛ばし、ありとあらゆる人物を巻き込んでテムズ川を進む。はて、このような話を過去に読んだ事があるような。これは英式東海道中膝栗毛ではないのか。

  • 丸谷才一さんを偲んで、の第二弾。とても有名な話だし、評判がいいのも知ってはいたんだけど、今回が初読。すっごぉ~~~く面白かった。丸谷さんが生きておられる時に読めばよかったなぁ。



    ボートで、ゆっくりとテームズ川を旅するイギリス紳士三人と犬が一匹。
    川沿いの町や村、城や森などを歴史的・地理的に展望する書、として書かれたものらしいのだけど、100年以上も経っているというのに今だに世界中で読み続けられている人気の物語、になっているのは、その真面目な意図と筆致から生み出される「企まざるユーモア」ってやつですね。\(^o^)/

    無邪気に自分の都合ばかりを言い立てる、大の大人三人組がほんッとに笑えて、笑えて、おかしてしょうがないんですよ。
    それぞれが、自分だけはまっとうだと思っていて、他の二人のことを非難し、でも、自分がその立場になったら、他の二人と同じかそれ以上の失態をやってのけるという…。

    そして、そんな勘違い野郎(汗)ばかりの話がなぜ面白い? 痛いばかりじゃないの? と言われそうだけど、う~~ん、なんていうか、これがイギリス流のユーモアっていうところなんでしょうか、上品で辛辣でおバカで、というエピソードがただただ可笑しく、うん、笑わそうと思ってやってるんじゃないリアリティにやられてしまう、ってとこかなぁ。


    ボートの旅に出るまでの荷造りからして大騒ぎで、なんと、実際にテムズ川に舟を浮かべるのは第五章の最終ページから。
    いたるところで起きるトラブル、というか、すったもんだが、皆、愛らしく、気持ちよく笑えてしまうところが嬉しい。

    三人ともすっごく我が儘なんだけど、それぞれ一所懸命っていうところもいいんだろうね。
    私、善良なる迷惑な人々、っていうのは、実はすっごく苦手なんだけど、なんでこんなに笑えてしまったのか。(*^_^*)
    これから何度でも読みたい小説です。

    • magatama33さん
      お気に召しましたか。よかったです。えーっと「川下り」ではないんです。それはコニー・ウィリスの「犬は勘定に入れません」の方で…。こちらは船を引...
      お気に召しましたか。よかったです。えーっと「川下り」ではないんです。それはコニー・ウィリスの「犬は勘定に入れません」の方で…。こちらは船を引いてテムズ川をさかのぼります。ハンプトンコートのメイズガーデンに行ってみたいです。
      2012/12/09
    • じゅんさん
      あはは・・そうですね。おっちょこちょいでゴメンなさい。
      引つなが絡む可笑しなエピソードも多々出てくるけど、下りでも上りでも私、気にしてなか...
      あはは・・そうですね。おっちょこちょいでゴメンなさい。
      引つなが絡む可笑しなエピソードも多々出てくるけど、下りでも上りでも私、気にしてなかったみたい。大変失礼いたしました!
      2012/12/09
  •  19世紀末に発表された英国ユーモア小説の古典。重い病気にかかっているような気がする主人公(このくだりが笑えます)が医者にいっても相手にされず、静養のために仲間ふたりと犬(これがまた凶暴で面白い)といっしょに、キングストンからオックスフォードまでテムズ河をボートで旅することに。自分たちは有能な紳士だと思い込んでいるものの、やることなすこと首をひねるようなことばかり。ニヤニヤ笑えるツッコミどころ満載のエピソードがいっぱいで、いまだに人気がある小説なのがよくわかります。もともとはユーモア小説としてではなく、テムズ河の歴史的、地理的な案内書として構想されたものなのだとか。河沿いの風景、点在する街の歴史などにも触れられており、旅行案内としても楽しめます。

  • 軽妙な話
    モンモランシーを含めてみんないいキャラクターをしてる
    モンモランシーがでかい(?)猫にちょっかい出しかけるあたりが面白かった

    コニー・ウィルスの「犬は勘定に入れません」を読む前に読んでおきたかったので読んだ

  • 蔦屋書店が展開している「ねぇ、いまなに読んでる?~あの人と、本で繋がるひとりの時間~」のうち、森見登美彦セレクトの一冊。

    読みながら何度も笑みがこぼれた。これまでで一番やられた。

    注意点もある。まず、試験前や早く寝なければいけない夜に読むのは禁物。勉強に手がつかなくなるし、気が付いたら日付はとっくに替わり夜が明けている。さらに、ひとつアドバイスするとしたら、人前で読むのは控えよう。他人に訝しがられる。

    ストーリーは単純明快。三人の男たちがボートでテムズ川を上っていく、ただそれだけ。

    とはいえ、ただ漕ぐだけなら話は退屈になりそうなものだ。だから話は何度も脇道にそれる。半分以上はユーモア溢れる過去の回想だ。

    ボート上でもあらぬことが起き、話がとんでもない方向に進むので大いに笑った。同時にちょっぴり同情した。それらのうちのいくつかはわたしもすでに経験済み。

    他人のこととなると「あっ、はっ、は!」と笑い、自分のこととなると「あるある」と神妙な顔でうなずいた。

    森見登美彦セレクトというのは、らしい、というか、さすが、というか。わたしが森見ファンということもあり、茶目っ気たっぷりの小説を書く人の頭の中を覗けて、満足満足。

    あとがきによると『世界ユーモア文学全集』に掲載されているらしい。世界中のユーモアが結集した本...うう、読みたい...が絶版......

    p44
    風の神がわれわれ人間の心の琴線をかきならして奏でる風の音楽に、耳をかたむける時間も必要である。

    p154
    ぼくはまず、鉄のフープをとりあげ、それを所定の穴に入れた。こんなことを危険な仕事などとは、誰も思わないだろうが、今にして思うと、ぼくがこうしてまだ生きていて、この物語を語ることができるのが不思議な位なのである。あれは鉄のフープなんてものじゃない。悪魔である。

    p319
    ユーモア作家は、人生と矛盾や世の中の穢さや賤しさにめげずに人生の意義を認めなければならぬ。醜悪なるこの現実にあっては愛は不毛であると認識しつつ、しかし同時に愛の可能性を信じなければならぬ。悪を憎みながら、「悪あってのこの世さ」と悪と調和しなければならぬ。ひとことで言い尽くせば、両極に足をしっかりと踏まえてバランスみとりつつ、躰の中心は常に両極の真ん中に置くようにしなければならない。
    この釣り合いを上手にとることができるのは英国人が第一である。かつてプリーストリイが喝破したように、「英国人は常に叡智と遅鈍の中間にある」からだ。叡智は鋭い機知や洒落を生む。遅鈍は滑稽の原料である。そうして、ユーモアはこの両者の中間からもたらされるというわけである。

  • 解説にこの本はテムズ川の歴史と地理を紹介する目的で書かれたもので、ハナからユーモア小説を目指して書かれたものではないとあった。そのためイギリスの地理・歴史に明るくないとよくわからない。ユーモアの部分は面白い。東海道中膝栗毛に似ている。でも膝栗毛は下ネタがかなり多いけどこっちは下ネタが全くない。

  • 今風に表現するならほっこりする小説といえる。男三人と犬一匹が英国のテムズ川を遠漕する。その珍道中を面白おかしく紹介する。ひたすらアホな旅なのだが、男同士の旅行ってこんな感じだよなあと過去の経験を呼び起こさせる。何かつらいことがあった時やイライラしている時に本作品を読めば、リラックスできそうだ。深いことは考えなくていい。ひたすら流れる文字を(ゆっくりと)追いかけ、アホな男たちを笑おう。ゲラゲラ笑えるものではないが、ゆったりとした笑いが心の中に沸き起こってくる。

  • イギリス版「東海道中膝栗毛」でしょうか(もっとも膝栗毛を読んだ事は無いのですが)。ユーモアと旅行案内を合体したような作品です。爆笑というタイプのユーモアでは有りません。ニヤリ、クツクツ、ニタリ、フッ。シニカルな苦笑といいますか、イギリスらしい笑いの間に、素晴らしいテームズの風景と歴史が美しい文章で語られます。
    驚かされるのは、100年以上も前の作品にも関わらず、そのユーモアがちっとも古びていないことです。人間性に関わる物が多いので、ちょっと背景を変えてしまえば、十分現代に通じます。
    読了後、彼らの旅したルートを知りたくなり、インターネットで調べていたところ、こんなページに行き当たりました(http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~lckabe/jerome.htm;すばらしい紹介文です)。ユーモアだけでなく、この本に出てくるホテルやパブが当時の姿のまま現在も営業しているそうです。さすがイギリス。これも驚きでした。
    ===========
    むかし家にあった少年少女文学全集で読み、面白かった記憶があったので、あるMLで中公文庫から出版されていることを知り、購入しました。しかし、読み始めて驚きました。
    記憶がとてもハッキリしているのです。とても30数年前のものとは思えません。かといって最近読んだ覚えもないし、本棚にもありません。
    それだけ強く印象に残った作品だったのでしょう。
    訳が丸谷才一、解説が井上ひさしと豪華です。

  • 1889年に出版されたコメディノベル
    3人のイングリッシュメンとテリア犬、モデルが存在し視点人物はジェローム自身でリアルライフ友達のジョージ・ウィングレイヴ(国際金融グループのバークレイズのシニアマネージャー)とカール・ヘンチ(ロンドンプリンティングビジネス創始者)と犬のモントモランシー、この4イングランドジェントルマンズが、キングストン・アポン・テムズ(キングストンとも呼ばれる、キングストン・アポン・テムズ王室特別区はイングランドに現存する4つの王室特別区の中で一番古いロンドン南西にある行政区)、そこからオックスフォードまで下って、またさらにキングストンまで戻るボート旅。これも随分前に読んだ事があるが、図書館で偶然目についたので衝動読み。昔読んだときは、なんというか志村さんのバカ殿的な”あり得ない”ドタバタ的面白さだと思ったんですが、今読んでみると、程度の差こそあれ、”あるある”系の話。なんというか自分からちょいビターで乾いた笑いが出て来るのが辛い。このメンツと一緒に旅をするのは私には絶対に無理です。ほんまにあり得ないようだが、やるんですこんなことを(遠い目)。古い本なので古臭いことは古臭いですが、ところどころユニバーサルなツボがあり。例えば、
    ”ぼくの考えによると、われわれに迷惑を馬鹿ばかしいもののなかで、この「天気予報」ほど腹の立つものはない。それは昨日や一昨日に起こった事をきちんと「予報」するか、あるいは今日これから起ころうとしていることの正反対を「予報」するか、どっちかなのである。”
    つねづねガタの天気予報を見ていて正にこれと同じような事を感じることが多いです。そういえば、ガタの天気とスコットランドの天気は似ているのでイングランドの天気とも近いんだと妙に実感した。取り寄せてまで買おうとは思わないが、書店でみつけたら買おうと思う。たまにひっぱりだして抜粋読みしたくなる感じ。

全49件中 1 - 10件を表示

ジェローム・K.ジェロームの作品

ボートの三人男 (中公文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×