- Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122053014
作品紹介・あらすじ
気鬱にとりつかれた三人の紳士が犬をお供に、テムズ河をボートで漕ぎだした。歴史を秘めた町や村、城や森をたどり、愉快で滑稽、皮肉で珍妙な河の旅が続く。数々のオマージュ作品を生み、いまだ世界で愛読されている英国ユーモア小説の古典。
感想・レビュー・書評
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三人の病弱な紳士たち、ジョージとハリスとぼく、それから犬のモンモランシーは、休息と気分転換が必要だという理由で、テムズ河をボートで漕ぎ出すことに。
寝泊まりする場所や、持って行く物や食糧について、三人の間で議論が交わされるのだが、すぐに話が横道にそれるし、ドタバタ喜劇みたいで笑わずにはいられない。
ボートに乗る前から、何やら珍道中が始まる予感がする。
19世紀に書かれた古典だが、ユーモアのせいか垢抜けた感じがして楽しめたし、各章の始まる前に要約された文章がつけられてあるので、内容が分かりやすくなっていた。
小さなコテージをちりばめた並木道や絵のように美しいホテルなど、河の眺めを想像しながら読むのは、まるで観光を楽しんでいるような気分だった。テムズ河の歴史にも触れることができた。
二週間の旅が終わろうとする間際、ジョージが弾くバンジョーが溢れるばかりの哀愁を引き出し、みんなですすり泣いたのも束の間、やっぱり最後も笑いで終わらせてくれていた。
笑いが何よりの癒しであるようだ。
この先も、この仲良し三人組と一匹の犬をふと思い出して、時々笑ってしまうかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読友さんの「19世紀に書かれた古典だが、ユーモアのせいか垢抜けた感じがして楽しめた」というレビューに惹かれ読んでみました。有難うございます♪
三人の紳士のやりとりの中に、人の滑稽さ、愚かしさ、プライドなどがぎゅっと詰まり、それらを洒落っ気のあるユーモアで包み込んだ作品でした。
丸谷才一氏の訳がほんとに素晴らしい!
テムズ河に沿った街の景色や人々の様子を想像しながら楽しく読了。-
猫丸さん
こんにちは。
こういう雰囲気の物語、好きなんですよね。
お示しの本はタイトルも初めて見ました。お薦めですか?いつか読んでみたいです...猫丸さん
こんにちは。
こういう雰囲気の物語、好きなんですよね。
お示しの本はタイトルも初めて見ました。お薦めですか?いつか読んでみたいです。2022/08/23 -
koalajさん
コニー・ウィリスは、お薦めの作家です(猫はタイムトラベル物が好きなので)。。。
koalajさん
コニー・ウィリスは、お薦めの作家です(猫はタイムトラベル物が好きなので)。。。
2022/08/24 -
猫丸さん
ありがとうございます!
タイトルからして面白そうですね。
読みたいリストに入れて、そのうち是非!猫丸さん
ありがとうございます!
タイトルからして面白そうですね。
読みたいリストに入れて、そのうち是非!2022/08/24
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その時いたのは、ジョージとハリスとぼくの三人、そして犬のモンモランシーだった。
三人でどうも最近体の具合がよくないなあなんて話し合っていたんだ。ジョージもハリスも不調を訴えていたが、ぼくなんてもっと重症だよ、病床図鑑を調べたら全部が当てはまるんだ!
ぼくたちには休暇が必要だ。だからぼくたちはテムズ河に出ることにした。
キングストンからオクスフォードへ、ボートをひきながら河を漕ぎ上がる。そしてキングストンへ漕ぎ下がる一週間の旅。
こうしてぼくたち、ボートの三人と一匹の休暇が始まったんだ。
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イギリスのユーモア小説。
読んでいる最中には頭の中で「ボートの上には三人男~~♪犬もいるよボートの上に~~♪」とかいう感じ歌が流れていました(メロディーは適当に/笑)
翻訳は丸谷才一、表紙絵は和田誠、解説は井上ひさしというメンバーがなかなか豪華。
ボートを漕ぐ男たちの楽しい騒動。
楽しいといっても大袈裟な事件が起こるわけではありません。
家の壁に釘を打つとか、夕食会の余興で歌を披露するとか、初めてボートを漕いだ時のこととか、新しい趣味として楽器を習うとか、そのような日常が作者の語り口により実に賑やかで楽しい大騒動に変わります。
語り手である"J"も、回りの人たちを好き勝手に面白可笑しく語っていますが、彼自身もなかなかの身勝手っぷり。この本でに出てくるイギリス人は、みんなが好き勝手にしてお互い迷惑かけつつみんなが楽しいという、なかなか前向きな生活ですね。
さらに犬のモンモランシーは、小さいフォックステリアながらも近所ではボス犬、他の犬猫相手に暴君ぶりを発揮したり、キャンプの湯沸かし器相手に喧嘩を吹っ掛けたりとやんちゃ坊主でかわいい。
小説としては、もともとはテムズ河周辺の歴史的地理的旅行案内のようなものだったようで、そのためにユーモアも気取ったりわざとらしいところがなく、読者も一緒に自然に楽しい日々を過ごせます。
さらにイギリス人の生活様相、イギリス人気質、食事の状況、紳士淑女の休暇の過ごし方など、イギリス人の日常風景も感じられます。
ちょうどいい時に父なるテムズ河に入り、ちょうどいい時にボートから逃げ出した三人男に乾杯!
わん!-
2019/11/10
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goya626さんコメントありがとうございます。
楽しい本ですよね。
イギリス紳士ってこういう生活してるのか〜って。goya626さんコメントありがとうございます。
楽しい本ですよね。
イギリス紳士ってこういう生活してるのか〜って。2019/11/10 -
2019/11/10
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蔦屋書店が展開している「ねぇ、いまなに読んでる?~あの人と、本で繋がるひとりの時間~」のうち、森見登美彦セレクトの一冊。
読みながら何度も笑みがこぼれた。これまでで一番やられた。
注意点もある。まず、試験前や早く寝なければいけない夜に読むのは禁物。勉強に手がつかなくなるし、気が付いたら日付はとっくに替わり夜が明けている。さらに、ひとつアドバイスするとしたら、人前で読むのは控えよう。他人に訝しがられる。
ストーリーは単純明快。三人の男たちがボートでテムズ川を上っていく、ただそれだけ。
とはいえ、ただ漕ぐだけなら話は退屈になりそうなものだ。だから話は何度も脇道にそれる。半分以上はユーモア溢れる過去の回想だ。
ボート上でもあらぬことが起き、話がとんでもない方向に進むので大いに笑った。同時にちょっぴり同情した。それらのうちのいくつかはわたしもすでに経験済み。
他人のこととなると「あっ、はっ、は!」と笑い、自分のこととなると「あるある」と神妙な顔でうなずいた。
森見登美彦セレクトというのは、らしい、というか、さすが、というか。わたしが森見ファンということもあり、茶目っ気たっぷりの小説を書く人の頭の中を覗けて、満足満足。
あとがきによると『世界ユーモア文学全集』に掲載されているらしい。世界中のユーモアが結集した本...うう、読みたい...が絶版......
p44
風の神がわれわれ人間の心の琴線をかきならして奏でる風の音楽に、耳をかたむける時間も必要である。
p154
ぼくはまず、鉄のフープをとりあげ、それを所定の穴に入れた。こんなことを危険な仕事などとは、誰も思わないだろうが、今にして思うと、ぼくがこうしてまだ生きていて、この物語を語ることができるのが不思議な位なのである。あれは鉄のフープなんてものじゃない。悪魔である。
p319
ユーモア作家は、人生と矛盾や世の中の穢さや賤しさにめげずに人生の意義を認めなければならぬ。醜悪なるこの現実にあっては愛は不毛であると認識しつつ、しかし同時に愛の可能性を信じなければならぬ。悪を憎みながら、「悪あってのこの世さ」と悪と調和しなければならぬ。ひとことで言い尽くせば、両極に足をしっかりと踏まえてバランスみとりつつ、躰の中心は常に両極の真ん中に置くようにしなければならない。
この釣り合いを上手にとることができるのは英国人が第一である。かつてプリーストリイが喝破したように、「英国人は常に叡智と遅鈍の中間にある」からだ。叡智は鋭い機知や洒落を生む。遅鈍は滑稽の原料である。そうして、ユーモアはこの両者の中間からもたらされるというわけである。
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ゆったりしながら読むのがちょうど良さそうな本。
小話がいっぱい詰まってる。そして、可笑しい。
おいこら、前と言ってることと違うぞと思ったり、間抜けだなと思ったり。
1番チーズの話がくだらなくてお気に入り。 -
【G1000/6冊目】中々楽しく読むことができた。電車で読むのは危険かも知れないほどに。丸谷才一氏の訳に尊敬と感謝の意を。実に名訳である。さて、病気のデパートとも呼べるような男三人がいかにもイギリスっぽい。そしてもう助からないと言いながら陽気にボートで2週間もの!長旅にいってしまうのである。道中事あるごとにブラックなイングリッシュジョークを飛ばし、ありとあらゆる人物を巻き込んでテムズ川を進む。はて、このような話を過去に読んだ事があるような。これは英式東海道中膝栗毛ではないのか。
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丸谷才一さんを偲んで、の第二弾。とても有名な話だし、評判がいいのも知ってはいたんだけど、今回が初読。すっごぉ~~~く面白かった。丸谷さんが生きておられる時に読めばよかったなぁ。
ボートで、ゆっくりとテームズ川を旅するイギリス紳士三人と犬が一匹。
川沿いの町や村、城や森などを歴史的・地理的に展望する書、として書かれたものらしいのだけど、100年以上も経っているというのに今だに世界中で読み続けられている人気の物語、になっているのは、その真面目な意図と筆致から生み出される「企まざるユーモア」ってやつですね。\(^o^)/
無邪気に自分の都合ばかりを言い立てる、大の大人三人組がほんッとに笑えて、笑えて、おかしてしょうがないんですよ。
それぞれが、自分だけはまっとうだと思っていて、他の二人のことを非難し、でも、自分がその立場になったら、他の二人と同じかそれ以上の失態をやってのけるという…。
そして、そんな勘違い野郎(汗)ばかりの話がなぜ面白い? 痛いばかりじゃないの? と言われそうだけど、う~~ん、なんていうか、これがイギリス流のユーモアっていうところなんでしょうか、上品で辛辣でおバカで、というエピソードがただただ可笑しく、うん、笑わそうと思ってやってるんじゃないリアリティにやられてしまう、ってとこかなぁ。
ボートの旅に出るまでの荷造りからして大騒ぎで、なんと、実際にテムズ川に舟を浮かべるのは第五章の最終ページから。
いたるところで起きるトラブル、というか、すったもんだが、皆、愛らしく、気持ちよく笑えてしまうところが嬉しい。
三人ともすっごく我が儘なんだけど、それぞれ一所懸命っていうところもいいんだろうね。
私、善良なる迷惑な人々、っていうのは、実はすっごく苦手なんだけど、なんでこんなに笑えてしまったのか。(*^_^*)
これから何度でも読みたい小説です。-
お気に召しましたか。よかったです。えーっと「川下り」ではないんです。それはコニー・ウィリスの「犬は勘定に入れません」の方で…。こちらは船を引...お気に召しましたか。よかったです。えーっと「川下り」ではないんです。それはコニー・ウィリスの「犬は勘定に入れません」の方で…。こちらは船を引いてテムズ川をさかのぼります。ハンプトンコートのメイズガーデンに行ってみたいです。2012/12/09
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あはは・・そうですね。おっちょこちょいでゴメンなさい。
引つなが絡む可笑しなエピソードも多々出てくるけど、下りでも上りでも私、気にしてなか...あはは・・そうですね。おっちょこちょいでゴメンなさい。
引つなが絡む可笑しなエピソードも多々出てくるけど、下りでも上りでも私、気にしてなかったみたい。大変失礼いたしました!2012/12/09
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19世紀末に発表された英国ユーモア小説の古典。重い病気にかかっているような気がする主人公(このくだりが笑えます)が医者にいっても相手にされず、静養のために仲間ふたりと犬(これがまた凶暴で面白い)といっしょに、キングストンからオックスフォードまでテムズ河をボートで旅することに。自分たちは有能な紳士だと思い込んでいるものの、やることなすこと首をひねるようなことばかり。ニヤニヤ笑えるツッコミどころ満載のエピソードがいっぱいで、いまだに人気がある小説なのがよくわかります。もともとはユーモア小説としてではなく、テムズ河の歴史的、地理的な案内書として構想されたものなのだとか。河沿いの風景、点在する街の歴史などにも触れられており、旅行案内としても楽しめます。
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軽妙な話
モンモランシーを含めてみんないいキャラクターをしてる
モンモランシーがでかい(?)猫にちょっかい出しかけるあたりが面白かった
コニー・ウィルスの「犬は勘定に入れません」を読む前に読んでおきたかったので読んだ -
クスクス笑える小説。旅の前の荷造りが終わらなくて絶望的な気持ちになる深夜がすごく共感した。面白いのだけど話の山場みたいなものが見えず、途中で飽きてしまった。12章まではきちんと読んだが、13〜18章は読まずに最終章の19章だけ読んで読了。