小説の自由 (中公文庫 ほ 12-12)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 172
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122053168

作品紹介・あらすじ

小説を読む人にも、書く人にも、必要なこと。ときに立ち止まり、ときに駆け抜ける、思考の原形としての「生」の生説論。

感想・レビュー・書評

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  • 文学

  • 思考を一生懸命追いかけていくように読んだ。すぐに脱線して、行きつ戻りつして読みました。それでも、わかったなんてとても言えないと感じている。普段の考え方とは違う考え方の体系があると感じたところまでが、自分の理解のせいぜいだと思う。

  • 保坂和志「小説の自由」読んだ。あーおもしろかった!去年に「小説、世界の奏でる世界」を台北で読み終えた後にシリーズ物と知り、古本屋さんで探していたらバサラにあった(バサラえらい)これが1作目、続いて「小説の誕生」の三部作。プロットや伏線ではなく文章や描写が小説なの、うん(つづく

    小説には意味も教訓もない(ハルキムラカミを好きだという人たちが苦手なのは奴らが意味探しに躍起だから。ほんとバカみたい)粗筋に要約できない内容を説明できないのが小説なの。目の前にある文章を読んでそのまま受け止めないのなら何のために小説を読むのさ。思考のきっかけとしての読書(おわり

  • 物語の現前性という言葉が、純文学を堪能するためのフィルターというのはすごくしっくりきた。あるものをあるがままに。メタレベルで小説を読み解こうとするからダメなんだな。現実と混淆する物語ではないんだな。決して交わることのないパラレルな世界が広がっていて、そこにあるものを新しい視点で。読み方は頭では理解できた。しかし、その楽しみ方が出来るかどうかは甚だ不安である。小説が考えを深化させていくものだというのもなるほどーと嘆息。だけど、腑に落ちない。考えを深めるだけなら、他人にお金を払ってまで読んでもらおうとしなくても、一人で書いていればそれでよろしいやん。書きながら考える。書いたことで考えられる。アウグスティヌスの例は秀逸。読みながら思考する作品が確かに存在することが分かる。アレなら買うわ。矛盾してるけど。

  • 大学時代の先生が、現代の小説論で一番間違いないのは保坂和志、というようなことを言っていた。当時は全く読めなかったけど、今なら読める。面白すぎる。作家はそれぞれこういう小説観を持っているんだろう。視点を与えてもらえるから、自分の頭で考えるときの材料になっていい。いわゆる論文のかたちになっていないところも彼の思考がそのまま味わえて、ほー、そういきますか、という意味で面白い。
    ともかく読まなきゃ分からない。読んでください。

  • この著者の小説論を読んでいると、ほとんどマゾ的な快感を覚える。今までの自分の小説の読み方が全否定されている気持ちになるからだ。文体、印象、構造などはどうでもよく、大事なのは言葉の「現前性」、小説じたいがもつ「能産性」だという。そのうえで著者は情景描写とそこでの視線の運動に着目するのだが、その例証の手つきがすばらしい。特に情景描写を読む態度によって読者が二つにタイプ分けされ、それぞれのタイプによって「いい文章」の定義が違ってくるという主張は説得的だった。『フランドルの冬』(クロード・シモン)と『告白』(アウグスティヌス)を今まで面白いと思えなかった自分が恥ずかしい。読めていなかったのだ。

  •  この本の面白さは、結局最後までわからなかった。思考の流れを表現するためという大それたお題目のもとに垂れ流され続ける推敲をまったく経ていない無駄の多い文章、エッセイという媒体の恩恵にあずかって引用元を参照する手間を惜しんで継続される皮相な検討、縦横無尽に展開する論考とみせかけて単に取り留めのない頻繁な話題の変更とそれに対する言い訳。どれをとっても何がいいのかわからない。あるいは、悪いように取りすぎているのかもしれないが、これらを差し引いて考えても、著者の考えには目新しいものはない。小説が自由に羽ばたくどころではなく、むしろ、翼をもがれて貧しく偏狭な檻の中に閉じ込められてしまうのを見て、とても悲しくなった。

  • この本を読んで世界の見え方が変わった。しかしある種の小説が読めなくなった!あのベストセラーを途中で投げ出したまま。

  • この本も、かなり、すごい。

    小説を書いている人は、必読。
    これから、書く人も、必読。

    読み終えて、書けなくなるか、
    書く勇気をもらうか、それは、分からないけれど、
    読んでみよう。

    私は、負けません。

  • 小説とはどういうものであるか。保坂さんらしい話の展開で面白い。

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著者プロフィール

1956年、山梨県に生まれる。小説家。早稲田大学政経学部卒業。1990年『プレーンソング』でデビュー。1993年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、1995年『この人の閾(いき)』で芥川賞、1997年『季節の記憶』で平林たい子文学賞、谷崎潤一郎賞、2018年『ハレルヤ』所収の「こことよそ」で川端康成文学賞を受賞。主な著書に、『生きる歓び』『カンバセイション・ピース』『書きあぐねている人のための小説入門』『小説の自由』『小説の誕生』ほか。

「2022年 『DEATHか裸(ら)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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