ヨーロッパ史における戦争 (中公文庫)

  • 中央公論新社
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レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122053182

作品紹介・あらすじ

中世から第二次世界大戦に至るまでのヨーロッパで起こった戦争を、テクニックだけではなく、社会・経済・技術等の発展との相関関係においても概観した名著。二〇〇九年に改訂された新版の本邦初訳。

感想・レビュー・書評

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  • 中世~近現代くらいまでの戦争の歴史本

  • 2017/08/20 初観測

  • いや、面白かった。
    ヨーロッパにおける軍事と政治、経済との関連や相互に与える影響など興味深い内容だった。
    特に印象に残っているのはヨーロッパにおける近代海軍の発祥に関してだな。当初は純軍事的な目的ではなく、交易路を護り、奪うためであった事は目から鱗が落ちたような感じがした。
    少なくとも明治維新以降の日本が設立した海軍は交易路を護り、奪う事よりも日本という国家を守るために諸外国の軍隊に相対するものだったと思うしね。
    この辺りが太平洋戦争時の補給軽視に繋がっていると思うと面白い。
    後は訳が独特で慣れるまでが大変だったよ。

  • ヨーロッパ史における戦争≠戦争の歴史であることに注意。あと、字が小さいとは言え文庫だから概論。で、時間をかけて読んでいたので、その間にいろいろ読んでたモノを結びつける役には立った。そして最後、『そして欧州は世界の中心では無くなりました。』で終わり。

  • 中世から世界大戦までのヨーロッパにおける戦争のその担い手や武器、戦い方を述べながらそれを構成する社会構成について説明している。

  • 戦争史の古典。封建制から第二次大戦までを足早に概観していく。

  • 新書文庫

  • まず、本書のタイトルである。
    『ヨーロッパ史における戦争』
    「皆さんご存知のヨーロッパ史において、この戦争はこれこれこういう理由でこういう展開になっていたんです」ということである。
    つまり、本書はヨーロッパ史をある程度知っていないと置いて行かれる。
    で、通読はしたものの、私は置いて行かれていた。
    然るべきものできちんと勉強した後で再読したいと思う。再読への意欲が湧く魅力はあった。

    例えば「そこで○○が登場して決着が付いたのだ」と言われても、○○がどちら側の人間なのか知らない、その戦争がどちらが勝ったのか知らない、そもそもその戦争って何処と何処が戦ったのか知らない。という訳だ。
    もちろん全てではない。そうだったら流石に通読すらできなかった。


    苦言。

    翻訳が酷い。

    初版のあとがきと、文庫版での改訂に於けるあとがきを読むと、本書の訳は奥村房夫、奥村大作の親子によって行われたことが分かる。
    初版は父親がメインで訳している点、息子が行った文庫版で追加されたエピローグは割と読み易い点などから、何が悪いのかは明らかである。
    具体的に何が悪いかというと、英語の文構造をそのまま訳そうとしている点。
    関係代名詞をそのままの語順で、かつ文を区切ったりしないものだから、何が何処に掛かっているのか一回読んだだけでは理解できない。
    ましてや先述の通り、前提知識が無い身にとっては。
    明らかに原書は名著であるのに、この点は惜しい。

  • マイケル・ハワード(奥村房夫・奥村大作訳)『ヨーロッパ史における戦争』中公文庫、2009年(原書初版1976年)

     戦争の技術面・社会制度などを書いたものである。封建騎士の戦争から第二次世界大戦までを扱う。
     とくに火砲に注意してよんだが、14世紀の臼砲(一日一度発射)や、火縄銃の発展、ライフリング、射程、18世紀の大砲部品の規格化、後装銃(伏射を可能にした)などが、興味深い。
     1472年にミラノ公がつかった大砲は一門あたり20〜30頭の馬で引かねばならず、弾丸を運ぶためには40頭の馬が必要だった。たいへん重い兵器だったのである。また、跪いていれば、大砲の弾はほとんど損害を与えなかったとされている。
     16世紀にはマスケット銃が登場する。初期のマスケット銃の射程は300ヤードほどで、長弓の400ヤードよりも短かった。15世紀から16世紀にかけて、オラニエ公マウリッツが「軍事訓練」をやり、傭兵を兵隊へ変えた。かれの士官学校にヤコブ・デラガルディがおり、デラガルディはグスタフ・アドルフに仕えた。火打ち石式マスケット銃の三列編成では一分に三発程度の発射能力があった。
     大砲の機動性を改良したのは、スウェーデンの製鉄業者ルイ・デ・ギールで、人力でも動かせる野戦砲が開発され、実体弾や散弾を発射でき、発射速度は(それまで一時間に二三発だった)のが、マスケット銃と変わらない速度になった。

     基本的に戦争は、騎士の時代では土地の相続権などの係争について「神の審判を仰ぐ」行為であった。中世後期に傭兵がでてくると「金しだい」になり、大航海時代から17世紀あたりまでは、交易品を奪う「ビジネス」だった。しかし、交易品の略奪ではなく、交易そのものが儲かると分かると、戦争はビジネスのジャマになり、18世紀はできるだけ相手を戦わずに相手を餓えさせるようにするのが、うまいやり方になっていく。これをかえたのが、フランス革命とナポレオンであり、かれの軍隊は「理念」のために戦い、ビジネスなど関係なかった。しかし、生き延びるためにあちこちを略奪している。革命防衛のために市民は徴兵され、兵士の数はそれまでになく増え、国民戦争になっていくが、復員させるシステムがなかったので、外国に追いやられ、そこで略奪したり、軍税を課して生存するしかなかったのである。19世紀の工業の発達は第一次世界大戦の新兵器をもたらしたが、戦争の目標は相手国の殲滅か、自国の恒久的な平和をもとめるものであり、要するに、「敵」の潰滅など達成不能な目標だった。結局、戦争を支える経済が崩壊して終戦になる。第二次世界大戦の「制空権」の話は非常に印象的であった。戦争の重点が経済であるなら、戦場で兵士を殺すよりも、直接飛行機で無防備な市民を狙うのが、結局、生産や人員補充を不可能にする点で有効でなのである。つまり、「銃後」の破壊こそ戦争の重点になり、原子爆弾もこの発想からつくられていくのである。

  • (欲しい!) 戦争分析/文庫

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著者プロフィール

マンチェスター・メトロポリタン大学・美術デザイン史上級講師。
英国美術院、ニューヨーク・アートフェア、マンチェスター・メトロポリタン大学に出品する現役の画家でもある。19-20世紀の英国美術・西洋美術に特別な関心を寄せている。著書に『モネ トレジャー・ボックス』(ソフトバンククリエイティブ)等がある。

「2015年 『ファン・ゴッホ その生涯と作品』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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