水晶萬年筆 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
3.50
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本棚登録 : 790
レビュー : 93
  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122053397

感想・レビュー・書評

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  • 最近のお気に入り、クラフト・エヴィング商會の吉田篤弘さんの本。書店で購入の際、カバーも付けてもらわずに「そのままでいいです」などと気取って言って、その滑らかな手触りを楽しみながら帰った。なんだか、自分の物になった事が嬉しくて足どりも軽やかに(笑)
    6篇の短編集。どの話も十字路が出てくるが、その場所にモデルとなる場所がある事に驚いた。それほど、この話の背景がどこか異国のような、それでいて懐かしいような、またファンタジックな世界なような、とても現実的なような…不思議な世界に感じられたから。
    ふわふわ漂う中に、心に響く事も書かれていたりして、とても心地良い本です。癒し系というのともまた違う気がするが、疲れた時に読んで、ふわふわ漂いながら世界観を楽しみたい。

  • 路地の十字路に隠れている言葉達と、遊んでいる気持ちになる。物語は遊んでいるうちに心にじわじわと沁み込み、はんなりと忘れられない。文章のリズム感のよさなのか、読んでいてとても心地いい。
    六篇の短篇集が収められている。十字路に降る雨や、落ちる陰や、漂う甘酒の匂いまで、どれもこれもが愛しい。

  • はじめて吉田篤弘という作家に出会った文庫本。
    言葉の選びかた、並び方から句読点の位置まで、すごくきれい。
    違う場所のすこし湿った澄んだ空気を吸ったような心地になる本。

  • ことばあそびのような、冗談をまとった詩のような小説。文章が、ことばが、ひと文字ひと文字が、とてもきれい。すりガラスとか、濃いピンクから紺色へのグラデーションになった夕暮れの空とか、きれいに張られた蜘蛛の巣についた朝露とか、そういうものと並べて置きたい。

  • 読みしなからなんかデジャブ。
    あれ?この話知ってる…。

    「十字路のあるところ」の改題、加筆修正、文庫化でした…。
    紛らわしい!!!

    でも何回読んでも面白いです。
    そしてやっぱり路地に雑草を生やす仕事の人の話が好きです。

  • キーワードは十字路、植物、水、先生、など普通のありふれた言葉ばかりなのこれからの先の人生で折に触れこの短編集を思い出しそうです。
    透明感にあふれ、日常からちょっと逸脱した人たちの住む街。
    そこの住人に私もなりたい。

  • 私は身をもって風に乗るところを見せてしんぜようと身構える。幸い本日は風に乗るには最適な晴天日和。我が研究室は最上階の四階にあるが、この際、エレベーターなどという無粋なものはうっちゃって、非常口から外の踊り場へと文字通りおどり出る。非常口というその名がいい。日常を脱するための最良の出口である。非常口を出て踊り場から見おろせば足元に螺旋階段が渦巻いている。
    こういうことは言葉で理解するより体で覚えるのが何より。人を知りたければ人と交わり、町を知りたければ町を散策し、風を知りたければ風に吹かれよーーいずれも何かの本で読みかじった誰かの言葉だが、私に言わせれば、本当に風を知りたければ自ら風を起こすくらいでないと何ひとつ始まらない。




    「君は目が回っているのだ。いいか、その中心にあるのが足のつむじだ」




    サクラバシ君はつけられるものなら坂にだって文句をつけたい輩である。正確に言うなら、坂とビルと「ビルの最上階の研究室に身を置くことになった自らの運命」に文句をつけている。が、ひとたび何かに到達しようと決めたなら、おりたり上ったりを繰り返すのは避けられない。町など所詮は人がつくったもの。当然さまざまな不条理に充ち、だからこそ、さまざまな驚異にも充ちている。ついでにさまざまな魅惑の扉を隠し持っている。

  • クラフト・エヴィング関連で。

    雰囲気がすごい好きです。水晶万年筆かー。素敵な言葉だな。物自体もいつかは手に入れてみたい。

    どこにでもある十字路にちょっと立ち止まってみたり、あるいはアスファルトの下の森や、水の底に思いをはせながら、街を歩いてみたい。

  • 2013 9/16読了。青山ブックセンター本店で購入。
    クラフト・エヴィング商會の吉田さんの本。
    幻想的な、都市が関わる短編を収録。
    どれも想像してもしきれないところもありつつ、イメージが浮かぶようでもあり、ああいいなあと思う。

    写真つきの単行本もあるとのこと。
    そっちも買っちゃおうかなあ。

  • 黒砂糖の中に夜を探しに行こう。

著者プロフィール

吉田篤弘

1962年東京生まれ。小説を執筆するかたわら、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作と装幀の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂の夜』『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『金曜日の本』『京都で考えた』『あること、ないこと』など著書多数。

「2019年 『天使も怪物も眠る夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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