- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122053595
作品紹介・あらすじ
キャプテン・ドレーク、キャプテン・キッド、そしてカリブの海賊とよばれ、怖れられた海賊という名のならずものたち。歴史と文学にまたがる領域から広く資料を漁り、彼らの存在を全般的に扱った海賊史研究の比類なき書物、待望の復刊。下巻はバッカニーアや女海賊、北米や東洋の海賊たちをエピソード豊かに描く。
感想・レビュー・書評
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上巻に引き続き、個性豊かな欧州・新大陸アメリカ近海で活躍した海賊たち、それに加えて東洋の海賊たちについてまとめている。
海賊といえば?…で名前があがるであろうウィリアム・キッド、キャプテンキッドの実情が知れたのはよかった。
うーん、ちょっと拍子抜けというか…。
かわりに、規律正しい真面目なバーソロミュー・ロバーツ、高い理想をかかげた海の社会主義者・ミッソン船長、華やかで勇ましい女海賊メアリー&アンといった、これぞ海賊ロマン!といえる面々のエピソードが読める。
しかし、海賊といえどもやはり非合法無慈悲な犯罪集団。
被害者側の体験、それを利用する権力者や市民などの負の側面が、単なるロマンや冒険への目を覚まさせてくれる。
特に「メキシカン号」の遭難は、海賊船との遭遇から船内での戦闘、その後の困難まで、当事者の証言ともあって実際の現場を生々しく書いている…これは怖い。
しかし、海賊に対抗する船員側の立ち回りも、やはり海の漢!といったところ。
東洋の海賊についても紹介しているけど、作者が西洋人のためか、やや内容が薄め。西洋との接点があるものだけかな?
日本の海賊といっても、和寇や瀬戸内海での海賊行為は取り扱っていない。
犯罪や非合法のものを憎む一方、それにロマンを感じるのは今も昔もかわらない。
ヤンキーしかり極道しかり怪盗しかり、海賊しかり。
一方、それともにある国際関係や権力、無職失業戦争などの社会不安もおさえている。
広い視点で海賊というのをみられる好書だった。
……ところで、同じ著者さんの「584人の海賊のプロフィールをまとめた本」ってのは出ないんですかね?
めちゃくちゃ読みたいんですが…!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新書文庫
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海賊の世界史 上下
地中海海賊バルバロッサ、ドレーク船長やバイキングの北の海賊、カリブの海賊、東の海賊など、世界各地の海賊が叙述形式で語られる。極悪非道というよりは会社のような組織だった商人のイメージがふさわしいのではないか。商業をする団体として港に一定の金を払ったり、会社組織のようなこともしている。さらに、世界史で学んだプレヴェザの海戦やアルマダの海戦が実は海賊同士の争いであるということがわかり、とても面白かった。さらに、ハンザ同盟発足の裏にも、やはり海賊の存在があった。当時は主権国家こそなく、戦争というものが傭兵同士の対戦であったが、海戦では特に海賊が勢力争いに加担していた。当時の海の覇者は間違いなく海賊であり、各国の王は粛清よりも懐柔し、戦争時にはうまく協力関係を築いた。しかし、平時はやはり荒くれ者であり、その強大さに手を焼いていた。面白い海賊といえば、絶対禁酒主義者で、鉄の掟をしいたバーソロミュー・ロバーツ船長や、社会主義的なユートピアを求めたミッソン船長であろう。彼らは大きな夢を持ち、海賊ながら厳しい規則の中で生きる粋な海賊であるように見えた。海賊として有名であったキッドや黒髭ことエドワード・ティーチ(サッチ)、黒髭を追い続けたウッズ・ロジャース大佐の話は意外にも少なかった。
それぞれの海の有名な海賊
バルバロッサ:ウルージ、ハイルッディン、ドラグード、シナン、ムラド・レイス
北の海賊:キングリュー、メインワーリング卿、ドレーク、ホーキンス
バッカーニア:サー・ヘンリー・モーガン、キッド、バーソロミュー・ロバーツ、フランソア・ロロノア、エドワード・ティーチ、ミッソン、アン・ボニー、メアリー・リード、アーロン・スミス(ゼファー号)
なんだかワンピースのモデルになった海賊ばかりで興奮する。
バーソロミュー・くまとバーソロミュー・ロバーツ船長は性格まで似せてある。