美女いくさ (中公文庫 も 26-2)

著者 :
  • 中央公論新社
3.66
  • (4)
  • (11)
  • (14)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 116
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (545ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122053601

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 浅井三姉妹の末娘が主人公。
    名前は督(ごう)または小督ですが、結婚してからはお江与。
    母に似た美貌で、しっかりした気性。
    秀吉の命で11で嫁ぐ。伊勢湾東岸の水軍を束ねる佐治一成との政略結婚だが、幼なじみで親戚にも当たる相手とは仲がよい。
    大河ドラマの原作では最初の結婚は幼いうちで実質がなく、すぐ連れ戻されたというのとは違って、最初の結婚は相思相愛で18まで続いたのが家康と秀吉の駆け引きの中で引き裂かれたという話になっています。
    こちらは、母のお市にやや似た人生になりそうだったという感じでしょうか。
    もともと異説があるのか…?
    子供がいないため、いつ離別したかは不明なのかも。
    二度目の結婚は秀吉の養子の秀勝とだが、あまりたたずに朝鮮出兵となり、死別。

    秀吉のことを最初は茶々ほど忌み嫌っていないのだが、夫の一成と引き裂かれてしまったために恨むことに。
    京都にいる元夫の元へ、密かに抜け出して会いに行って、妊娠してしまい、まもなく結婚させられた秀勝の子供と取り繕う。
    秀秋の若い頃も出てくるが彼に好感を抱くのは、後に起きることを思うと…
    秀吉が老いて残虐になったために、北の政所が愛想尽きた様子も描かれます。

    三度目に、年下の秀忠と結婚するときには今度こそ骨を埋めたいと強く覚悟していたという。
    家康にもよくぞ申したと言われる覚悟を認められる嫁。当時の感覚ではこれほどの名門の血を引く督は、秀忠に箔をつけてくれる花嫁だっただろうと。
    その後は子宝に恵まれた人生だけど、戦国時代末期の政略結婚のために、幼いうちから次々に子を手放さなければならないというのは哀しいですね。
    春日局とは気が合わず確執があるが、いつまでも家光が懐かないのに反省して気持ちを切り替える。
    最後は、有名な家に嫁いだ娘達の近況をちらっと見せるという趣向。これがなかなか面白い。

  • お江や茶々の物語はどれほどあるのだろう。
    多くの方がそれぞれの取材と視座で
    この時代や大奥に興味のない私ですら
    数種類の本を手にし、目にした。

    女の戦いに、私は共感しなかった。

    男は愚かで暴力的で、強圧的で臆病だ。
    そんな男たちの愚かな史実を
    聡明な女たちが書き換えられなかったのは
    なぜなのだろうか。

    女が愚かになるとき。
    それが歴史を揺らしたのかもしれない。

    女が愚かになるとき。
    それは、子を思うとき。

    母はその聡明さゆえに歴史を読む。
    未来と子の将来を混同する。
    子のために、愚かを通り越した愛に狂う。

    女は全て聡明で、母は愚かだ。

  • 2014.3.8
    江が美人っていう印象はなかった
    そうなの?
    忍者を使って全てを把握している江様…
    権力者の都合で動かされる波瀾万丈な人生ってことだろうけど
    いつも誰かに守られてさほど苦労はしてない印象

  • 去年の大河の主人公・お江の生涯。流されるように見えるけど、強い彼女の生き方を読むのは時間が早く感じた。

  • 織田信長が暗殺されたのち、その力を強大にしつつあった秀吉。北庄城落城とともに信長の妹である母お市が果て、茶々、初、小督の三姉妹は秀吉に身柄をゆだねられた。中でも末の小督は秀吉に命じられるまま大野城主佐治一成、秀吉の甥にして養子の秀勝、徳川家嫡男秀忠と三度の結婚をすることに。秀吉を憎みながらも「女子は嫁して子を生し、家を守るがつとめ」というお市の遺言を胸に、小督は戦の世を生き抜く覚悟を決める。
    永井路子氏の「乱紋」とも井上靖氏の「淀どの日記」とも違う“小督(江)”。単独で見たら一番受け入れやすいキャラクター設定ではあるが、先の二冊を先に読んでいたせいか最初は違和感があった。
    それでも土田御前や孝蔵主、義兄喜八郎などなど大勢の脇役たちも丁寧に描いている点や、独自の登場人物であるしのびのカワウソとタマムシを随所に配置するなどの独創的な面は一読の価値あり。

  • 勝手に戦国ブーム&評判良くなかったけど個人的には大河ドラマの「江」は面白くて見ていた、ということで、選択。ドラマとはところどころ解釈が違って、それはそれで面白く読めた。
    「女子は強うのうてはならぬ。… 強いとは、我を張ることではのうて己を曲げることじゃ。… 強風で枝は折れるが葦はなびくだけ、風がおさまればすくりと身を起こす…」のフレーズが心に残りました。
    一点だけ、茶々と家康の関係性には無理があるように感じた次第。
    本筋じゃないけど、この本の中で忍び(忍者)が活躍していたので、興味をそそられた。

  • 2011.11.4~14 読了
    小督の史料はほとんど残っていないようだから、どういう性格で描くかは作家の想像力次第。本作の小督はアクティブに描かれ、「乱紋」のパッシブで無表情な小督とは対照的。

    浅井長政の子:万福丸、虎千代丸→浅井喜八郎
    秀吉:木下一族 vs お禰:浅野一族
    石田三成の暗躍
    孝蔵主の暗躍

  • 浅井三姉妹の末娘、お江の物語。突拍子もない大河ドラマと違い、女性もの時代小説の王道をいってます。おなごは耐えて耐えて、しぶとく闘いぬくのですな。欲をいえば、お江の性格が素直で良い人過ぎるような…?もう少しドロドロギラギラしてたら面白かったかも。

  • 大河ドラマ『江』に影響はされている作品ではありますが、女性作家らしく女性の心情が細やかに描かれています。江と春日局のすれ違いも実際はこんな感じだったのかなと想像が膨らみました。

  • 主人公は浅井長政・お市の末娘・お江。
    お江の目線から見た織田→豊臣→徳川時代。
    戦国時代の流れに揉まれながら、たくましく生きていく姿はカッコいい♪

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

諸田玲子
静岡県生まれ。上智大学文学部英文科卒。一九九六年『眩惑』でデビュー。二〇〇三年『其の一日』で吉川英治文学新人賞、〇七年『奸婦にあらず』で新田次郎文学賞、一八年『今ひとたびの、和泉式部』で親鸞賞を受賞。著書に『お鳥見女房』『あくじゃれ瓢六』『きりきり舞い』シリーズのほか、『四十八人目の忠臣』『波止場浪漫』『帰蝶』『女だてら』『尼子姫十勇士』『しのぶ恋』など多数。

「2023年 『其の一日 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

諸田玲子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×