七人の中にいる (中公文庫 い 74-9)

著者 :
  • 中央公論新社
3.37
  • (21)
  • (82)
  • (120)
  • (26)
  • (3)
本棚登録 : 801
感想 : 82
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122053649

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ペンションに集まった客の中に、自分を狙う殺人鬼がいる…ペンションオーナーの晶子と、晶子に想いを寄せる元刑事が、客たちの過去を調べてゆく。
    登場人物はそれほど多くないのに、最後のほうまで犯人が誰か見当つかずおもしろかった。
    また、後書きにもあるが、携帯電話がない時代のミステリは、なんだかハラハラしますね。公衆電話で連絡をとりあうもどかしさと言ったら…。


    ただ、唯一のもやもや点は、主人公・晶子の身勝手さ。自分も強盗に加担しておいて、自分は被害者たちに手は下していないからと言い訳がましい態度が気に食わないし、強盗したことをずっと後悔し反省しているのだというけれど、それならなぜ自首をしないのかと思う。


    家庭まで作って、幸せに生きてるのがとても腹が立った。事件の生き残りの青年から殺害予告を受けてからは、自分の罪を棚にあげて、脅迫を受けた可哀想な被害者という立場でいるのが不思議だった。

  • 携帯電話やネットがなかった時代のサスペンスを読むと、もどかしくて仕方なくなる一方で、時間をかけることの意味を改めて考えたりもする。犯人はほぼ最初から分かるのだけど、展開は面白かった。

  • '21年6月4日、読了。今邑彩さんの作品、2冊目。

    本人の書いた「あとがき」に、「これは本格ではなく、サスペンスです」とありますが…納得。なかなか面白かったです。(犯人は、終盤に行くまでにはわかってしまいました。僕にしては、珍しく。)

    何方かの感想で、「主人公たち誰にも、入り込めなかった」というのを読みましたが…僕も、全く同感です。物語中に出てくる不幸は、全てあんた達のせいだろ!なんて思いながら、読みました。主人公に共感、同情できない…これって、読んでて結構キツいですね。
    あと、冒頭の事件…残酷で、ゲンナリしてしまいました。だから、主人公に入れ込めなかったのかな…。

    まあでも、ラストは好きですし…「サスペンス」として、楽しんで読み終えました。今邑彩さん、次は短編に行ってみます!

  • 読んでいく中で自分なりに推理をしていきますが、
    それをどんどん打ち壊してくれる。

    自分が疑ったタイミングで
    同じように本編でも疑ってて
    その持って行きた方が本当にスゴイ!!

    最後までドキドキしっ放しで
    怒涛の勢いで読み進めていましま。

  • お勧め度:☆6個(満点10個)結構面白かった。作者も言ってるように、これは、ミステリーではなく、サスペンスだと。時代は1993年、とある総合病院で、一家の惨殺死体が見つかる。一人だけ生き残った少年をめぐり、復讐劇が展開するというストーリー。当時の時代背景も携帯のない時代で公衆電話であたふたする場面も興味深い。ペンションに集まった7人の中に犯人がいるというお定まりの展開がいい。じわじわと犯人が絞られていく様は、さすがに面白い。犯人は一体誰なのか?つい、ページを捲りたくなる。ただ、ラストはちょっと切ない。

  • だいたい主人公には肩入れして読むものだけど、ずーっと好きにはなれなかったな。
    それから、軽井沢のペンションとかそういうある意味閉鎖された空間で、犯人はこの中にいる誰かだ、っていう(アガサクリスティー的な)のよくあるけど、あんまり好きじゃないってことを再確認した。

  • 犯人も、トリックも読書半ばで解けた。しかしスッキリ感ゼロなのは、主人公晶子のお人柄がアカンからだろう。繰り返す出来婚・安易に犯罪に加担する計画性のなさ。自らが撒いたタネなのに、責任転嫁のような言動。あげくに「家族は私が守る」等のトンチンカンな発言....。後、娘あずさのテンションも変。正直、犯人の方がよっぽど不憫。ストーリーはペンションを舞台に復讐殺人予告が届き、怪しい客が次々と浮かび上がるーとオーソドックス。かつ、文章は読み易いのでイッキ読みできたが、とりあえず晶子をなんとかしてくれ。

  • やはりこの作者の文章は非常に読みやすい。携帯電話が普及していない頃の話だけど、古臭さが感じられずすんなり読める。
    ただ、話がやや長いのと、主人公がちょっと頭悪いのでその点が残念。

  • 主人公の晶子が経営しているペンションで、21年前に起きた医者一家殺人事件の復讐劇が始まる。誰もかれもが怪しすぎてハラハラ引き込まれて一気読み。晶子には最後まで感情移入が出来ずモヤっとした。悔い改めている感じにも思えず、自分の立ち位置を正当化しようとしているけど普通に人殺しの片棒担いた人でしかない。亡くなった家族や彼が気の毒で仕方がない。

  • ペンションに招かれた常連客の中に自分を狙う者がいるかもしれない。
    過去を隠して幸せになろうとしても上手くはいかないよね。
    古い本なので昔っぽさは感じるけど、読みやすくやすくてどんどん話が進むのでよかった。

  • どの客にも復讐者と共通点があるように見えて、だんだんと疑心暗鬼になっていく様子がスリリングで面白かったです。
    ただ、主人公の晶子に「償い」と呼べるものが何一つなかったことがモヤモヤしました。

    肇は郁夫から私刑によって、洋一は早死によって、肇を殺した郁夫も結局は自分で命を落とすことで…という具合に、加害者に当たる人たちはみな、他人の命を奪ったことに対して何か代償を払っています。
    晶子も間違いなく医者一家の殺人に関与しているのに、やったことといえば、罪のない宿泊客を疑い(しかも皆優しく接してくれたのに人殺し扱いしているのが酷い…その後お礼も謝罪もないし)、あげく睡眠薬まで飲ませようとし、医者一家の肉親だった郁夫に対しても「後悔したのよ」だけで済ませ謝罪の一言すらない。
    罪の意識が全くないと言っても過言ではありません。
    しかも結果的に警察に事情を知られることもなく、自分を支援してくれる人を見つけお腹に新たな命を宿して未来を予感させてすらいる。
    葛西一家は全員死んだというのに、彼らの死は知らんぷりで自分は家庭を築こうとしている姿勢に腹が立ってしまいました。せめて死なせてしまった人に花を手向けるくらいのことはあっても良かったのでは…

    晶子も死んだら納得した、というわけではないのですが、晶子は死んだ人たちへの償いを何一つしていないし、しようともしてないように見えます。立場的には加害者である人の行動としてそれはないんじゃない?と思いました。これじゃ葛西一家があまりにも浮かばれない。
    晶子よりも郁夫や見城に共感してしまう作品でした。

  • 晶子と佐竹の二視点から物語が進んでいき、少しずつ物語の核心に迫っていくのが面白かった。その中で他の登場人物の人生が顕になっていき読み進めてしまった。しかし最後、私は分かりやすい勧善懲悪で終わるのが好きなのでモヤっとした。

  • 20210808

  • 主人公が人としてどうなのか、とか、
    犯人がなんとなく分かるっていうのもあるけど、
    著者が言うようにこれはサスペンス。

    サスペンスとしてはハラハラドキドキしたし、
    読者の思考を誘導する書き方が巧みで
    十分楽しませてもらった。

    凄惨な事件やペンションの謎めく雰囲気など、
    ベタな設定も逆に良かった。
    怖がりな私にはこれくらいが丁度いい。

  • 半分くらい読んだところで犯人はアイツだ!とわかる。が、うまくまとまるラスト。家族に囚われ家族に求め。テーマはホームスイートホーム。

  • スイスイっと軽く読める。だが、みんなが怪しく思えてきて、それでも怪しい人たちの疑いが消えていくと残るのは誰なのか?

  • 初めから最後までドキドキハラハラで、分厚いですが一気に読めます。エンディングに納得がいかない人もいるかもしれないけどずっと面白い。

  • 読みやすい、おもしろい

  • 展開も犯人も予想の範囲内で終わる。
    ベタといえばベタ。
    でも、登場人物が個性豊かなので面白かったです。
    分かりやすいミステリーが好きな人には向いてるかと。

  • 過去に犯した罪から逃れ、平和に暮らしていた晶子のもとに届いた手紙と写真。
    そこには、忘れたくても忘れられない人間が死体となって写っていた。
    罪を償うことなく逃げおおせた者にとっては、過去の犯罪は忘れてしまいたいものだろう。
    けれど、被害者はけっして事件を忘れない。
    晶子にとっては自分の手を血に染めたわけでもなく、同行していた者が勝手に暴走した結果の殺人・・・ただそれだけだったのだろう。
    時が経ち、徐々に晶子の中で事件が風化していったのは仕方のないことかもしれない。
    晶子の視点では、家族を除いてはみな怪しくみえてしまう。
    愛犬を殺した犯人が同じ屋根の下にいる。
    けれど、愛する娘と夫には過去の過ちを知られたくはない。
    守り通さなければならない秘密を抱えたまま、晶子は恐怖に脅えるしかない。
    一方、晶子から調査を依頼された元刑事は、独自の推理を働かせる。
    情報源の晶子からもたらされるものは、脅えている人間特有のあやふやなものばかり。
    その中で、見当違いを繰り返しながら徐々に真相に近づいていく。
    気になったのは犯人がいなくなった後の晶子たちだ。
    やけに前向きなラストがすっきりしなかった。
    たぶん犯人がいなくなる本当の原因は隠されたままなのだろう。
    でなければペンションを続けていく・・・などとは言えないはずだ。
    過去の事件がまるでなかったことのように暮らしてきた晶子。
    そのときの言い訳は生まれてくる子供だった。
    そしてまた、同じ言い訳で犯人の動機は隠されていくのでは?と思う。
    晶子は何の罪にも問われない。
    時効云々ではなく、事件には何も関係のない第三者としての立場を守りながら・・・。
    そんなふうに物語後を想像してしまうのだけれど。
    途中で犯人が想像できてしまう展開。
    そして、晶子にどうしても共感できないどことなく不満が残る結末だった。

  • 途中で展開が読めてくるものの、読みやすく面白い。ただ、因果応報的に物足らない。せめて、間違えて疑ったら謝れや。

  •  ペンション「春風」のオーナーである「村上晶子」は,過去に恋人と古くからの友人の3人で強盗殺人の罪を犯した。強盗殺人事件は,既に時効になっているが,村上晶子のところに,「おれは両親と姉を殺した犯人を決して許さない」という復讐を示唆した手紙と写真が届く。
     村上晶子は,旦那でありシェフであった洋一と死別し,郁夫という現在のシェフと再婚することにし,ペンションの常連客が,パーティをすることとなった。
     物語は常連客の一人,元刑事の佐竹が脅迫状を送付したのはだれかを捜査するパートとペンションの描写から構成される。常連客のうち,上流階級であるはずの三枝夫妻が既に破産していたり,影山夫婦が実は不倫の関係だったりするなど,嘘をついており,これらの嘘が「実はこの人達が脅迫者では…」と思わせる。晶子の娘である村上あずさが連れてきた小説家,「見城美彦」が葛西家の生き残りの一行かと思わせるが,佐竹の捜査で一行は既に死亡していたことが分かる。最後は,脅迫者は一行の叔父が脅迫者であると分かり,晶子は北町を疑う。
     真相は,中条郁夫が脅迫者だったというもの。中条郁夫は晶子を追い詰めるが,最後はあずさを殺すことができず,自害する。
     正直,ミステリに慣れている人であれば,脅迫者が中条郁夫であることは分かってしまうだろう。ミスディレクションがない。作者があとがきで書いているとおり,本作はサスペンスであり,本格モノではないということだろう。ただ,サスペンスとしてもそこまでのスリルはない。今邑彩らしい小説のうまさでプロットの弱さをカバーしている感じ。★3で。

  • ううーん、イヤミス系(笑。
    読んでる最中ももやもやするし、後味もなんとも。
    いやいやいや、子供が熱を出していなければ…ってそこは違うだろ!
    指一本触れてなくても加害者は加害者だしなーと。
    最後だけ毅然としてたけど、それすらも…。
    でもなんだかんだおもしろかったです。
    ラストまで一気に駆け抜けて読んだ感じ。

  • 「ルームメイト」が大変面白かったので他の作品も読もうと思っていたら、私が貸した「ルームメイト」を読んだ奥方が文庫化されている今邑彩作品を片っ端から買っていました。その中からまずこちらをチョイス。
    うーん、私は「ルームメイト」の方が好きかな?
    いや、十分楽しめましたけど。
    さ、次は「卍の殺人」を読みます。

  • 殺害描写は好き嫌いに別れるが、犯罪者の描写残忍差が、後半の復讐に重みを持たせていると思います。最後のどんでん返しは、さすが…って思う。サスペンスの要素が多いこういう立て付けの小説は大好物。また、読見直したい一冊に。

  • すごーく長く時間をかけて、ちょっとずつ読みました。わりと面白いんじゃないかな。犯人は途中から読めるので、大どんでん返しはないですが。結末は好みがわかれそう。

  • 約二十年前に強盗犯であった女性がその金でペンションを買い取り生計を立てていたが、当時の惨殺された医者一家の血縁者に命を狙われる話。
    もうね、強盗犯が(自分で手をくだしたわけではないとは言え)のうのうと暮らしているってだけで気分がよくない。

    結局、主人公は言い訳ばっかりだし、なんだか犯人もどうしてそんな復讐をしたいのかさっぱりだし、そもそも逐次型に順番に登場人物を疑っていく手順はまだるっこしい以外の何物でもない。

    要するに面白くはない。もしくは、感情移入することができない。

    人間観察力が高い作者であるから、もう少し違う設定だったら面白く感じられただろうと感じた。

  • 犯人は結構早い段階で分かっちゃったけれど、主人公晶子が疑心暗鬼に苛まれ追い詰められていく様がサスペンスフルに描かれているので楽しめました。
    ただ晶子が過去の犯罪に対して
    ”肇がやったこと。自分達は殺人には無関係。巻き込まれただけ”
    ってスタンスで、現在の見えない脅迫者に対して被害者スタンスなのがどうもなぁ。
    時効を迎えたとはいえ、過去に犯した罪は消えない。
    いやいやいや、そもそもの発端はあんたでしょうが!という思いが拭えず、終盤はいらいらしました(笑)
    娘もどうよ?
    いっそ殺されてしまえばスッキリしたかも、、、。

  • あまり、期待はしてなかったのですが、想像以上に良かったです。ミステリー物は、1番短にいるものが犯人と言うのがインパクトが強い印象を受け、でもだからこそ、犯人がばれがちな矛盾を抱えてしまいますが、話の運び方、徐々に真相に近づいて行く感じが好きです。事件を捜査する人間を登場させる事で、展開も早く、飽きさせない長さになっていると思いました。

  • サスペンス要素満載。本格的推理小説ではないが、巧みに推理を混ぜ容疑者候補が次々とかわる主人公の気持ちや内面がうまくあらわされていました。個人的には7人全員が犯人だったらと勝手に想像してみました。今邑作品は読みごたえが有ります!

全82件中 1 - 30件を表示

今邑彩の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×