カップヌ-ドルをぶっつぶせ!: 創業者を激怒させた二代目社長のマ-ケティング流儀 (中公文庫 あ 68-1)
- 中央公論新社 (2010年11月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122053984
感想・レビュー・書評
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創業者を激怒させた二代目社長のマーケティング流儀。
創業者は異能、二代目は凡能。だからこそ二代目にしか
語れないことがある。
日清食品の二代目社長が語った自伝的経営哲学書。
創業者との確執が面白い。本書を読むと創業者のメンタ
リティーが窺える。良い悪いではなく創業者とはそうい
うものなのだろう。
また、日清食品の絶え間ない改革と成果主義が書かれて
いる。なかなか、競争が激しい会社だと思われるが、皆
が皆、ついていっているのだろうか。
内部からみた日清食品という視点も気になるところである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
僕も二代目社長候補なので、表紙裏のあらすじと、帯の文章を見て思わず買ってしまいました。
「創業者は異能、二代目は凡能。だからこそ、二代目にしか語れないことがある―「打倒カップヌードル」を唱えた日清食品の二代目社長が、創業者にしてカップヌードルの発明者である、父・安藤百福との確執や、新製品の開発にはずみをつけるための社内改革、独自のマーケティング戦略などについて綴った、自伝的経営哲学書。 」
「二代目には創業者の偉さがわかる。創業者には二代目の苦労はわからない。二代目こそ、強靭で謙虚で大胆でなければならない。」
いやーそうかそうか。二代目はやっぱり大変かー。
実感は特にないけど、創業者が立派な人だとどうしても比べられちゃうし、大変だよねー。
とのんきな感じではあるものの、いろいろ考えて備えないとなーと思っており、勉強のために買いました。
結果的には、「うちの家庭とは違いすぎるけど、まあ参考にはなる」
うちの親は自分が二十歳くらいになってから独立して社長になったので、生まれつきカリスマ社長の父親を見てきた著者とは環境が全く違う。
とはいえ、「わかるわかる」と思わされる部分も多々。
創業者が優秀であればあるほど、その言葉が重すぎて逆らえなくなる、ということは大いにあると思いましたね。
一方で、過去を否定するばっかりじゃ駄目だし。なかなか大変です。
しかし、二代目がしっかり考えてリーダーシップを出していく必要があるんだろうな、と。自分の頭で考えれば、創業者とは違う道を歩む部分も出てくるのは当然のことでしょう。
そのときに、創業者の理念・思想をしっかりと受け継いで、アレンジはするとしても根っこのところをちゃんと踏襲する、ということが非常に大事だと思いました。
理念さえ確かに引き継いでいれば、細かい商売の方法なんかが時代につれて変化してもいいし、変化だけに気を取られて理念を忘れたら何のための会社かわからなくなる。という感じでしょうか。
ただ、普通に本としておもしろかったので、二代目じゃなくても読めると思います。
創業者との付き合い方は前半3分の1くらいまでで、あとは日清食品のマーケティングについて書いてあってなかなか楽しいです。
日清はカップヌードルとチキンラーメンとUFOとか、それぞれのブランドの担当マネージャーがガチンコで競争しており、それぞれがコンビニの棚を取り合ったりすることで会社として成長してくとことか、印象的でした。
しかし、この人は二代目でも十分に異端、少なくとも凡能ではない。
凡能だという自覚が若い頃からあったから勉強して優秀になったのかもしれないけど。
とりあえず、僕ももうちょい成長しないとなーと反省しただけでも意味があります。 -
文 庫 588.9||And
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本書、前半には、著者(日清食品の二代目社長安藤宏基氏)が創業者でありカップヌードル産みの親である偉大な父、安藤百福氏との長きにわたる激しい葛藤を通じて到達した、「二代目社長は如何にワンマン創業者と接すべきか」、その極意が反省を込めて記されている。
創業者は偉大だが、会社や事業を自分のものと思っているから中々二代目に任せないし、いつまでも口を出す。兎に角面倒くさい人種だ。二代目として会社を維持発展させるのも、これはこれで大変なんだなぁ。きっと創業者にしてみたら、二代目の苦労なんて自分が潜ってきた修羅場の数々と比べたら屁でもない、と一笑に付されてしまいそうだが…。
後半は、著者が「創業者の率いるワンマン経営を、多くの社員が参画して運営するシステム経営に」如何にシフトさせてきたか、その社内改革の取り組みの数々を綴っている。
中でも、プロダクト・マネージャー制を廃してブランド・マネージャー制とし、シェアの奪い合いも構わずブランド同士を激しく競わせることで新商品開発力を高めたことは、大成功。これによって、日清食品の社員を創業者の呪縛から解き放つことに見事に成功している。
非凡な二代目経営者の下で日清食品は見事に発展を遂げている。著者は、二代目経営者の数少ない成功例なんだろうなあ。 -
日清のマーケティング戦略について、二代目の社長が書いた本。
ただ、最初の2章は、『創業者とは』『創業者とのつきあい方』などが書かれている。本の半分近くがそこに費やされているので、家業を継ぐ予定の人にはぜひ読んでもらいたい。また、創業者社長の側近の人も読むと、創業者とは、というのが生々しく入ってきて、腑に落ちることもあると思う。
3章以降は、マーケティングについて。ブランド管理をする事で、常に社内の競争を起こしていることが、日清が変化に対応する俊敏性を持っている根元であると感じた。
また、根本には、『食が世界を救う』という考えがあるので、ぜひ応援したい。 -
承継の話のような、マーケの話のような。
異能な創業者に物怖じすることなく次々と発案する2代目の安藤宏基さんは凡人というがそんなことは全くない。
・(創業者と二枚岩になるために)最低1週間に1度、ゆっくり話をする時間をとる
・発明したからと言って、なにも全部日清食品がやることはない。世の中で役立つものならだれがつくってもいいし、世界にはそういうことの特異な人がいっぱいいる。
・物事は漠然と考えていてはだめだ。一心不乱に考え続けているからこそ、睡眠中にふっとアイデアが浮かんでくる。
・創業者との関わり方:4つの教訓
①会社の無形資産の中で最大価値は「創業者精神」
②2代目の功績は創業者の偉業の中に含まれると思え
③2代目は「守成の経営」に徹すべし
④創業者の話に異論を挟むな。まず「ごもっとも」と言え -
まぁまぁかな。
日清という会社やカップヌードルなどの商品についてはよく分かったけど、もう一歩何かが足りないような…
この二代目は、商売を拡大させた功績は大きいのですが、商品を開発したわけではないからかな。
まーアイデアを出したり、判断したりはしてるのですが、やっぱ寝ずに味の調整とかしないと、伝記的な読み物としては面白味に欠けるのでしょうね。
至極まともで優秀な経営者なので、奇抜なエピソードがないのは仕方ないとしても、もう少し熱くなるような何かが欲しかったです。
決して悪い本ではないですが、本田宗一郎とかの話と比べると普通なのが残念。
常識的な二代目社長なら凄く共感出来るとおもいますよ。
まぁまぁです。 -
「利益は目的ではない。結果だ。」
この言葉に日清の経営戦略が凝縮されていると感じた。人の食を満たすこと、そのためには味や値段といった顧客のニーズも追求するし、人という基準に国境はない。創業者は、徹底的に”人”の欲求を突き詰めた結果、戦後の昭和の時代からボーダーレスで世界中の食の要求に答えられる商品を作れたのだと思う。
スープと麺が一体になりすべての工程を省いた完全なる完成品が最初の商品。段階的な開発肯定を吹き飛ばすことができたのは、すべて”徹底的に考え抜いた”ことだと思う。
少し飛躍するが、会社がお金を使うのは、「利益というリターンを見込めるもの」「社会貢献」以外にないと思う。徹底的な顧客思考は必要だが、ゲオは顧客分析も不十分で自己満足的戦略を、利益のリターン見込みも曖昧なまま実行している気がしてならない。 -
書名を見て、カップヌードルの商売敵の本かと思ふかも知れませんが、実はカップヌードルを開発したその会社、日清食品の二代目社長の本であります。
日清食品の創業者は、立志伝中の人・安藤百福氏。チキンラーメンとカップヌードルで世界を驚嘆させた人物であります。この二つで、袋即席めんとカップめんの最終形態をイキナリ創り上げてしまつたのであります。
かかるスゴイ物を開発した創業者の後を継ぐのは、並大抵の覚悟では務まらないでせう。宏基氏が会社の経営を受け継いだ時、社内にはセクショナリズムや官僚主義が跋扈してゐたと言ひます。商品開発も停滞してゐて、革新的な新商品が生まれるやうな雰囲気ではなかつたさうです。
その原因は、カップヌードルといふ絶対的なトップブランドに依存する「甘えの構造」だつたと宏基氏は指摘してゐます。
「創業者の開発商品であるカップヌードルは、みだりに触れてはならない聖域であり、ましてや、そのブランドイメージに傷をつけたり、シェアーを奪うような新製品を発売するわけにはいかない。誰もがそう信じていた」(第一章より)
この状況を打開すべく、カップヌードルを超える商品を開発せんとしてぶちまけたスローガンが、本書のタイトルとなつてゐるのでした。
確かにカップヌードルは強いねえ。以前某会社でお菓子とカップめんのバイヤーをしてゐた頃、やはり圧倒的な人気はカップヌードルでありました。各社から新商品が出ると、問屋から山のやうな試食用サンプルが送られてくる。嬉しがつたのは最初だけで、仕事としての試食がかくもつらいものとは思ひませんでした。美味しいものばかりではないしね。
で、やはりカップヌードルのシンプルさに勝るものは中中無いといふのが実感であります。
宏基氏はカニバリ(共食ひのこと。ここでは社内間競合かな)大いに結構と、カップヌードルを越える商品開発を進めるのでした。ブランド・マネジャー制度を立ち上げるなど、社内改革を次々と打ち出していきます。父である創業者との衝突は日常茶飯事でありますが、この息子も大したもので負けてゐませんでした。まあ百福氏と喧嘩できるのは、ほかにゐないでせうからね。
結果、「やきそばUFO」や「どん兵衛」などのベストセラー、ロングセラーを生み出し、日清食品の黄金時代を実現させたのであります。
創業者は異能の人、二代目は普通の人と著者は言ひますが、宏基氏は十分異能の人と申せませう。
また、社会的貢献にも触れてゐますが、成功する経営者はたいていこの視点を持つてゐるやうです。会社経営なんて結局金儲け一番さと思ふ人もゐるかも知れませんが、そんな会社は早晩消えてゐるみたいだね。さういへば先日、日清食品が賞味期限を延長するといふニュースがありましたが、これも本書内に「飢餓と飽食」問題として挙げられてゐました。やるなあ。
世の経営者の参考に...といふよりビジネス読み物としてまことに面白い一冊であります。読後わたくしは「やきそばUFO」が久しぶりに食べたくなり、近所のアピタで購買しましたことをご報告申し上げます。
http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-151.html -
インスタントラーメンの生みの親の(ほぼ)2代目としてものすごくチャレンジングな仕事をしていたのは間違いないし、革新的な製品が続けざまに出てきているのはこの人のせいかでもあるのでしょう。でも、もっと部下にも花を持たせたほうが人としては好かれるよね、というのが結論。マーケティング戦略と言いつつもガリバーだからできる施策だし、ブランドマネージャーにしてもP&Gの真似だし現場を混乱させただけかもしれないですしね。もう少し謙虚さがほしい。