夢は枯れ野をかけめぐる (中公文庫 に 18-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 165
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122054097

感想・レビュー・書評

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  • 良かったです。世界観が。
    西澤保彦初めて読みましたが、全く気負わずに文章を書く人ですね。変に洒落た言い回しとかほとんどなく、こちらも気が散ることもなく構えずに読めます。

    同一の主人公の周囲で起こる短編集。
    ライトミステリに分類されるのでしょうか、日常的な小さなミステリが仕込まれてますが、大きなテーマは「老い」とか「死」とかです。
    主人公は早期退社して再就職先を探す48歳独身。生い立ちも不幸の部類に入るし、現在天涯孤独で、お先真っ暗なはずだけど、小説には不思議と絶望感がありません。
    むしろ近所の人との何気ない会話とか、人との出会いなどもあって、心が温まります。
    登場人物たちはそれぞれそれなりに不幸です。周囲に痴呆の老人も居るし、老人は死ぬし、彼らも歳を取ります。各短編も決してハッピーエンドではありません。
    なのに、何故、こうも読後感が良いのか。

    地味な小説ですし、傑作ではないかもしれないけど、ほっこりします。
    人の繋がりっていいなと思えます。

  • 身につまされるお話。失うものがある人生が怖い。しかし、失う事を覚悟しなければ何物も得られない。
    どちらが良いのだろう。僕は前者になりそうだ。

  • あいかわらずの西澤ワールド。慣れている人は読みやすいね。

  • お得意?の一話完結の短編の連作の形。
    なかなか地味なテーマを上手く利用している作品だと思います。
    高齢化の問題も、家族の問題もとっても上手に利用されていると思いました。

著者プロフィール

1960年高知県生まれ。米エカード大学創作法専修卒業。
『聯殺』が第1回鮎川哲也賞の最終候補となり、1995年に『解体諸因』でデビュー。同年、『七回死んだ男』を上梓。
本格ミステリとSFの融合をはじめ、多彩な作風で次々に話題作を発表する。
近著に『夢の迷い路』、『沈黙の目撃者』、『逢魔が刻 腕貫探偵リブート』などがある。

「2023年 『夢魔の牢獄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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