1925年生まれの著者が体験した15年戦争へ向けての個人的体験。敗戦後30年を経た1975年時点での振り返り。それを更に25年経った今、読むことも感慨深いものがあります。当時少年だった著者は戦争で向けての危機感はなく、双葉山の敗戦、ベルリン・オリンピックへの興味。ましてスペイン戦争の状況には全く関心がなかった。戦後の知識人が戦争への国民各々の責任といったが、そのレベルだった。そして八王子の無名の人たちの昭和初めから40年代へ向けての農村自立運動、戦後知識人の講演会に懐かしい名前が並ぶ。そして多摩丘陵の宅地化開発の矛盾。また昭和天皇に戦争責任がなかったのか、かなり厳しい視点で木戸幸一の言葉から、天皇が開戦を止めようとしなかった、早い時点での敗戦決断がありえたはずであること、国体護持を優先し、国民不在であったことを追及する。そして全てを知る天皇が真実を語ることを望むと・・・。叶わない永遠の謎になりました。