光の指で触れよ (中公文庫)

  • 中央公論新社 (2011年1月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (640ページ) / ISBN・EAN: 9784122054264

みんなの感想まとめ

家族の絆や個々の成長を描く物語は、前作から数年後の新たな展開を迎えます。主人公アユミは、浮気をきっかけに幼い子どもと共にアムステルダムに逃れ、スピリチュアルな力を身につけたことで新しいコミュニティに溶...

感想・レビュー・書評

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  • 「すばらしい新世界」の続編
    あれから数年
    誰もが羨むような家族に
    何が起こったのか
    それぞれがバラバラになった

    それは林太郎の浮気が
    キッカケではあった
    それを知ったアユミは幼いキノコ
    を連れてアムステルダムに逃げる
    長男、森介は寮生活のできる高校に‥

    アユミはすでに
    スピリチュアル的な『気』を使う
    施術ができるようになっていたから
    なおさら
    ヨーロッパでのコミニティーに
    馴染んでいった

    離れて生活する中でそれぞれが思う
    さまざまなこと
    これからのこと
    正面から逃げずに考えた結果が
    やがて実を結んでいく

    全体的にスピリチュアル的な
    話しが多く
    時に読むのをやめたくなったが
    なんかこの家族の行方が
    気になりすぎて
    読み切った感じ
    考えてみれば
    あーそうなのかと思えることも
    たくさんあって
    哲学や、思想の学びにもなったかな?

    どんなに幸せそうな
    理想の家族であっても
    それぞれの意見を尊重できていても
    森介のように
    そこから逃げ出したくなる
    息を抜きたくなる
    隙が見えていた方がいいことも
    あるのかもしれない
    何がいいのかなんて
    ほんとーにわからない

  • 前作からの森介の成長。明日子との恋。
    なんだか、自分を省みるような、自分の子どもの成長を疑似体験したような、不思議な気持ち。


    巻末の角田光代さんの解説がぴったり。私も一番、豪雪の停電のパートが印象に残った。

    ちょうどそのあたりを読んでいる時に、トンガの海底火山噴火の影響で、津波警報が日本中を覆った。
    久しぶりの緊張。津波と、豪雪と停電。
    東日本大地震のころ、大雪の山形の自動車教習所にいて、丸一日ぐらい停電だったことを思い出した。寒さを凌ぐのは毛布にくるまるしかない。ろうそくの火の中で黙々と食べた教習の特典の米沢牛か何かのブランド牛(学生を釣るためのブランド牛だった)。自動ドアが、自動で開かない切なさ。翻って、電気が通った時の、自動ドアが自動で開くことの新鮮さと喜び。



    この物語のどうこうはあまりなくて、池澤夏樹の本を読むと、作中のアユミがそうだったように、自分の中の色んな記憶が喚起される。と同時に、池澤の本を通じて、「こんなあり方や世界や考え方があるよ」と、知らない世界を旅しているような気持ちになる。コロナの世の中の気軽だけど貴重な移動手段。
    そういう世界や考え方に触れた上で、時差もなく引き戻った現実で、私は今後の生き方や身の振り方に大いに迷う。途方に暮れる。
    そしていつのまにか眠りこけ、何も変わらない明日がまた始まる。

  • 小説の枠組みがやっぱり前作と似ているような…。レイキとか性的快感を超えたスピリュアルな(表現が妥当ではないかもだけれど)セックスとか、やっぱりついていけないな…。
    なんだかんだいって読むけれど、池澤さんは初期の作品が好きです。

  • 「「しばらく叔母の遺産で暮らします」」
    とりあえず感情移入はできません


    「その説がこれからのきみにとって役に立つのなら、それに沿って道を選ぶといい。きみの父と林太郎さんは違う。林太郎さんは暴力的ではない。過去の解釈は一つの物語にすぎない。だからそれにしがみつかない方がいい。結局のところ、人は物語が好きなんだ。それによって人生を組み立てるのが好き。」

    全然ただの家族の話じゃないじゃん

    一つ上のランクのマッサージを受ける所は味わい深い笑

    こうゆう本もあるんだなあという感想
    やっぱりインスタに消費煽られてるんだな〜
    そういや昔は単純におしゃれな写真を楽しんでたけど今は何かを買う目的で見るのがほぼほぼだなってハッと気づいた

  • ちょうどこの本を読む前に、白石一文の「この胸に深く突き刺さった矢を抜け」を読んでおり、それと比べてみて、この本の「小説らしい良さ」を感じた。この本の主人公である家族の冒険を描いたらしい一作目は読んでいないのだが、その知識がなくてもずいぶん面白く読めた。

    強い絆で結ばれて信頼関係にあるはずの夫婦でも、こうやってどちらかが嵐に巻き込まれるみたいに恋をしてしまったりすることはあると思う。恋だけじゃない、抗えない力が働いて、どこかに行ってしまう感じは、よくわかる。そういう気持ちをコントロールすることもできるし、できないこともあるということも、たしかにそうだと思う。そういう人物の描き方が素晴らしく、妻であるアユミにも夫である林太郎にも、「そうだよねえ」と思ってしまった。

    心の中の深い声を聞かないと、私たちは自分の人生を歩むことができない。軌道修正するときも、じっと、自分自身の深いところにある何かを見つめて、聞きとらないといけない。

    アユミが幼少期のトラウマを受け止め方はありきたりなようにも感じたが、これが癒しのパターンとしては一般的であるので、仕方ないのかなと思う。

    息子である森介の成長と初恋も美しく描かれていた。

    そして、パーマカルチャーについては私も興味があって本を買ったくらいだし、家庭菜園もやっていたので(失敗だらけだったが)、土に触れることで生命を感じる、何かに導かれるような気がするという感覚はよくわかる。ヨーロッパのコミューンも早速ネットで検索してしまった。機会があったらぜひ行きたい。チャクラを開く性技もすごかったが、こういう体験ができることは現実にはまあないと思うので、小説の中で感心したりした。

    それにしても、私が生活している欧州では、妻がこんな風に子供を連れて出奔するなど論外で(しかも国外)、夫は子供連れ去りで妻を訴えるレベルの話である。こんな風に妻が子供を連れて姿を消したらEU内でも指名手配だ。しかも、日本からビザなしでオランダ、フランス、スコットランドに滞在するのは違法である(たぶん観光ビザは3ヶ月)。シェンゲン条約内の欧州であれば、パスポートコントロールもなく移動は可能だが、駅とかでは警察にIDを見せろと言われることもある。なので、私だったら子供を連れていきなり国外に行くなんて絶対にしない。

    そう言う意味でも、小説世界は純粋に主人公たちの人間としての成長を感じられていいものだなと思った。

  • 要するに、正直すぎる夫の不倫と家族の在り方の話であまり好きではなかった。アユミの思考は日本人に近いと思った。行動は大胆だけど。文章も独特でいわゆる日本の小説のような書き方じゃないと思う。私はスピリチュアルを信じているし、ナチュラリストのような生活もすごいなと思っているけど、行動しようとは思っていない。私から遠いところにあるお話なんだなと思った。

  • 素晴らしい新世界に続く物語。登場人物たちが非常に魅力的だったのでまたその世界観に浸れて率直に嬉しい。村上春樹であればきっかけとしての恋愛はなく、ある日前触れもなく女房が出て行った、という始まりになるだろうなと思った。前作は人と自然、今作は人と人にフォーカスした内容。扱う題材は微妙に違うがメッセージは似ているかな。ちょうど金、金といった価値観に縛られ気味だった今の時期に読むことができて幸運だった。

  • 「すばらしい新世界」に続いて二作目の池澤小説。美しい物語。平穏な人生など無いのかもしれないが、主人公家族の約一年間の様々な出来事をそれでも淡々と記し、普遍的な、ポスト資本主義へと繋がる何か…を描き出している。自分自身の人生を考えるにあたり、参考としたい生き方であった。

  • 小説としての出来は普通かもしれないが、自分にとっては小説というものを超えて様々なことへの示唆に満ちた作品。新たに知ること、もともと自分の中にぼんやりとあったもの、自分の周囲にあったが気がつかなかったもの。今読んだことは偶然か必然か。

  • 「すばらしい新世界」の続編。幸せだった家族は離散して母娘はヨーロッパで共同生活を、父は会社を辞め新たな人生を模索する。経済活動と農業・パーマカルチャーを通じて人生とは?家族とは?を捉え直す。著者特有の思索溢れる力作。読み応え充分。

  • 久しぶりに一気に読み終わった。
    読みやすさと、登場人物それぞれに共感を覚えた。ヨーロッパ、アジア、日本と文化、国境を越える設定も私のスケール感とリンクする。
    パートナーの意味、家族、自分の生きる道との兼ね合い、大事にしたいこと、農業、自然エネルギーの問題など、池澤らしいスケールと地平がよかった。
    よい小説だと思う。
    でも、光の指、とはなんだったのか、、読み終わってしばらくたっても、今でも考えているが。。

  • 浮気を恋と言い換えても、実態は変わらない。理想の夫婦がこれにどう対応するのかが読みどころ。

  • 「力ではなく、しなやかさ。

    ぶつかるのではなく、立ちはだかるものの中を素通りして

    向こう側に抜けるような、そんな自由。」

    今読み返しても、そうありたいと思う引用。

    また
    『お金に頼らず生きていく。
    大量生産・消費に疑問符を突きつける。それも○だと思う。
    「え?不可能でしょ」という意見も○だと思う。

    要は、「これも○だしあれも○」
    色んな考え方や生き方が広く受け入れらたら、
    そしてそれを受け入れられる社会の基盤があれば、もっとクリエイティブで平和な社会になるんじゃないかなー』

    って当時の私は書いていた。

    5年後。社会はそうなっているかな?
    少なくとも私は自分の意志の元に人生を選択できている事にバンザイ!

  • 個人的には,高校生の息子が小岩井農場に旅行(デート?)に行く章に惹かれてしまった。なんだか,うらやましかった。

  • 林太郎からアユミ視点。アユミも美緒も変なめんどくさい女なので、一つ減点。しかし、コミュニティーの有り様は胸に迫る。彼らしい淡々とした描写なのになぜ、「迫る」という感想になるのだろうか。

  • とてもためになった本です。
    これは「すばらしき新世界」の続篇です。
    私はそれを読んでませんが特に問題はありませんでした。

    夫の浮気により一時別離することになった夫婦は、それをきっかけにこれまでの生活を見直し、その不安、不満な点を解消するために、もっと別の良いやり方、新しい生き方はないのかと模索します。色々な要素が出てきます。例えば、(自家)風力発電、パーマカルチャー、レイキ、コミュニティ(同じ方向性をもつ人で集まり、自分の目標達成を目指す場所)、シュタイナー教育など。そして、お金に依存する生活から脱し、本当に必要なものを自給自足する、そういう生活を目指す試みが描かれています。

    今はやりのシンプルライフを目指す試みとも近いと思いますし、持続可能というのもキーワードですね。今の自分の生活に生きづらさを感じていて、それをどうにかしたいと思ってる場合には、この本にはヒントになるものがあるかもしれません。私も就活しているこのときに読むことが出来たのは幸運でした。

  • ずいぶん前から読みたいと思い、また、一度は図書館で借りたものの通読に失敗していた本作、いつの間にか文庫になっていたのを発見、夜に読み始めて一気読みしてしまった。
    前作の『すばらしき新世界』がとても素敵な小説で、あの家族が分裂しているというところが、気になりつつもとても怖かった。
    夫婦のこと、離婚と子供のこと、仕事のこと、人生の後半について。そして背景のエネルギー問題や貨幣制度に対する疑問。全てがここずっと心に引っかかっていることに繋がっていて、読了してしみじみ小説の持つ力を感じてしまった。
    そして今このタイミングで、書店でこの本に引っかかったことにも、何らかの電波というか、シンクロニシティを感じてしまう。
    感想はすべてがネタバレになりそうなにで書くのが難しい。明日子ちゃんかわいいなぁとか、森介優良物件すぎるとか、当たり障りのないことだけ書いておく。
    久しぶりの池澤夏樹だったけれど、いいね。心に浸みる言葉だよ。

  • なんというか、いい感じ。28歳から、田舎に越して農業をしながら生活している友達を考えながら読んだ。結構分厚い本だけど、すぐに読み終えた読みやすい作品。

  • 池澤夏樹、有名だが手に取ったことはない。シェアオフィスの友人から偶然手渡された分厚い小説。うーん、こんなに厚いの読めるかな。そもそも小説なんて随分と読んでいなかったし、最近は最後までワクワクしながら読めるものにもあまり出会っていない。しかし軽く読み始めて読みやすい文体に引きつけられてぐいぐい引き込まれていく。なんせはじまり主人公の職業が風力発電のエンジニアなんだから、これは読まないわけにはいかない。そして出てくる出てくるいろんなオルタナティブなキーワード。だいだいこんな感じーーーパーマカルチャー、風力発電、太陽光発電、エコドルブ、レイキ、コミュニティー、自給自足、給電、天使、スピリチュアル、シュタイナー教育、藤之庄、地域通貨…などなど。こ、これは!

    離ればなれの家族が偶然に引き寄せられ今までの価値を180度変更し、オルタナティブな新しい価値の新しい生き方を目指す。個々に描かれているキーワードや指向性は僕のライフスタイル指向性と著しく一致する。家族が最後にたどり着く希望の地が藤野だなんて!!こんな小説があっただなんて驚く。貸していただいた伊藤さん、ありがとう!この本が書かれたのは2007年。僕が会社を起こしたのと同じ年、リーマンショックも震災も原発事故も起こる前に書かれた今となっては予言的な啓示。今読むべき小説そして藤野在住ならさらにマスト!

  • いろんな意見があると思うけど、私はこの本の世界観にとても共感できる。ヨガをやっている人、コミュニティー、そして農業に興味がある人は一読してみるといいと思う。とても面白かった。

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著者プロフィール

(いけざわ・なつき)
作家。1945年、北海道帯広市に生まれる。小学校から後は東京育ち。30代の3年をギリシャで、40~50代の10年を沖縄で、60代の5年をフランスで過ごす。ギリシャ時代より、詩と翻訳を起点に執筆活動に入る。1984年、『夏の朝の成層圏』で長篇小説デビュー。1987年発表の『スティル・ライフ』で第98回芥川賞を受賞。その後の作品に『母なる自然のおっぱい』(読売文学賞)、『マシアス・ギリの失脚』(谷崎潤一郎賞)、『楽しい終末』(伊藤整文学賞)、『静かな大地』(親鸞賞)、『花を運ぶ妹』(毎日出版文化賞)など。その他、自伝『一九四五年に生まれて――池澤夏樹 語る自伝』(聞き手・文 尾崎真理子)、編著に『池澤夏樹=個人編集 世界文学全集』(全30巻)、『池澤夏樹=個人編集日本文学全集』(全30巻)などがある。

「2026年 『遙かな都』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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