海山のあいだ (中公文庫)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122054585

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  • 池内さんの旅エッセイは、ただの随筆ではない。人生は偶然のめぐりあわせの連続であり、それらはすべてむだなことばかりのようでいて、余分なものは何もないと感じさせてくれる。表題の章もだが、自伝的で虚実いりまじったような「自分風土記」の章が秀逸。

  • 著者は「普通の旅好き・歩き好き」という先入観があったが、意外と元々は山好きの人であったのを知った。
    若い時は、山で一人きりで寝袋で寝たり、そして今もジーンズを愛用したりと、意外とワイルドな面があるドイツ文学者である。
    好きなことをする以上に、「いやなことはなるたけしない」をモットーにしてきた著者の一人旅の魅力が詰まった一冊である。
    第一〇回講談社エッセイ賞受賞作。

  • 言葉もろくに通じず、特に親しいわけでもないオーストリア人との山行を淡々と描いた『羅臼岳』の最後のシーンがとても好き。

    "声に出すと、何かが終わってしまうような気がしてならない。たぶん、同じ思いであったのだろう、私たちはともにソッポを向き合ったまま、しばらくのあいだ茫然と山頂の岩陰に座っていた。"

    素晴らしい風景を目にした時、『きれい』とか『すごい』とか、そんな言葉で簡単に片付けてほしくないと思うことがある。ただ黙って、言葉にできない世界を全身でじっくりと味わっていたい。そんな時の感覚が自分と同じで、とても気に入った。

    『登山』の本というより『山』についての本。もう少し年を重ねたら、こんなふうに味わい深く山と付き合えるようになりたい。

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著者プロフィール

1940年、兵庫県姫路市生まれ。
ドイツ文学者・エッセイスト。
主な著書に
『ゲーテさんこんばんは』(桑原武夫学芸賞)、
『海山のあいだ』(講談社エッセイ賞)、
『恩地孝四郎 一つの伝記』(読売文学賞)など。
訳書に
『カフカ小説全集』(全6巻、日本翻訳文化賞)、
『ファウスト』(毎日出版文化賞)など。

「2019年 『ことば事始め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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