西洋学事始 (中公文庫)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122054707

感想・レビュー・書評

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  • あとがきの、「名老舗店の学問は上澄み」という言葉に反対である、それがすべてであると思う。知らない知識を知ることや、王道から外れたものに目を向け、そこから世界を見ることも大事だ。しかし、西洋学を語る上で、裏通りが王道にとって変わることは不可能である。「メインの思想家を外した」と言いつつプラトンとアリストテレスを外せないのがよい証拠であろう。
    王道の知識を抑えた上で深みと広がりを持ちたい人が読むべき本としてとてもよいものだと思う。しかしそれでは事始ではない。

  • 後書きにあるように、西洋知の原形質のようなものカタログ。西洋においては事象の関連性が深く、既存のものが発展して新しいものを生み出している。教会内部の統制のためにあったカノン法が国家の行政法の母体となったり、イコンのための学であった図象学が、絵画にコードを埋め込む技法となり、ロマン主義、象徴主義、シュルレアリスムへと受け継がれたこと、古代ローマのアプレイウスが書いたクピドとプシュケーの話がフロイトを経て心理学になり、ユングはヘルメス主義者の錬金術師と繋がるなど。また様々なところで新プラトン主義が顔を出しているところも興味深い。古典古代に種があり、近代に入って芽吹いたものがほとんどだが、唯一ヨーロッパ独自に生まれたものが美味学。単なる料理のレシピだけでなく思想を取り入れたことがヨーロッパ的な感じがする。
    占星術、光学、紋章学、系譜学、古銭学、古文書学、カノン法、官房学、分類学、修辞学、言語学、図象学、美味学、心理学、詩学と幅広い。

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