- Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122054752
作品紹介・あらすじ
日本を代表する民族学者、国立民族学博物館の初代館長であり、知の巨人として敬愛された著者が、その悠々たる人生の歩みを回顧する。オモテの人生のウラに秘められた、熱い思いと夢を吐露する、ユニークな自伝的エッセイ集。
感想・レビュー・書評
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インフルエンザ休暇2冊め。こちらも古本屋でみつけて。梅棹先生のはなしは何度よんでもおもしろい。だいたいしっていることがおおいはずなのだけれど、南極のはなしなどはまだまだそのおもいいれをしらなかったから、ここでよみたい本がまたふえた。竹中大工工具館がまだ健在なら、ぜひたずねてみたい。今回とくにおもしろかったのは、趣味や私生活にわたる部分。女性についてのはなしとか、お酒についてのはなしとか。スポーツについては、登山はかなりされた方だけれど、けっきょくものになったのはひとつもないという。どうしても自分自身のこととくらべてしまう。そんな、梅棹先生のされてきた仕事をかんがえれば、自分とくらべるなど大それたことを、なのだが、私生活くらいならゆるしてもらおう。梅棹先生はわたしにとってはスーパースターなのだけれど、テニスがじょうずで女性にもてて、ということではなかったようで、そんな点でちょっとだけ親近感をかんじてしまうのです。はやく民博にいかなければ。
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涸沢カールの見事な紅葉眺めながら読んだ。
大工にも極地探検家にも芸術家にも映画監督にもスポーツマンにもプレイボーイにもならなかった自伝。
梅棹氏の多彩な才能に嫉妬する。
大工の孫だけどなにも作れないなあ自分。
プレイボーイの章の結びがにくいほどに格好よかったので引用。
「プレイというのはあそびである。車のハンドルにもあそびがある。つまり少々ハンドルをうごかしても車輪の向きにはすぐにひびかないいだけのゆとりがあるのである。いわば、目的に直結していないのがあそびである。目的合理性でつらぬかれていないというのが、あそびの真髄なのである。
私は幼少の時から自分の人生に目的を持つことをしなかった。そもそも人生に目的なんかあるものか、というのが私の実感であって、そういう趣旨の著書をあらわしてこともある。どうせ人生には目的なんかないのである。少なくとも、私は人生の目的をたてて、それにむかってまっしぐらに邁進するという努力はしなかった。人生のそれぞれの時期に、これはおもしろそうだというものを発見するとそれに熱中した。つまり一生懸命あそんだのである。
(中略)登山やアドベンチャーは、いわばすべてあそびであって、人生に対して有用な目的を与えるものではない。それはただのあそびである。お金もうけにも、立身出世にもすこしもつながらない行為である。しかし、いったん山のぼりを始めたら慎重な上にも慎重に気を配って、岩から転落しないように、あるいは氷壁から滑落しないように、技術の限りを尽くしてたたかうほかはないのである。頂上に達したときの爽快感こそは、あそびのもたらす恍惚感なのである。
(中略)私はなりたいと思ってなれなかったものがたくさんある。しかし究極のところ、ことばのほんとうの意味において、プレイボーイとしての人生を生きることには成功したのではなかっただろうか」
メモ
探検の「検」と冒険の「険」と、ふたつのケンの字の厳密な使い分け
がつよく要請された
エスキモー研究のクヌート・ラスムッセン
朝日新聞の本多勝一、加藤一郎
宮本千晴(宮本恒一長男)
西堀栄三郎「南極越冬隊」、菊池徹と犬橇
河口慧海 -
梅棹氏がなりたかった職業は?大工、極地探検家、藝術家、そして映画製作者、スポーツマン、プレーボーイ?
大工、極地探検家の話は流石に趣味が豊富な人だと思いましたが、藝術(特に俳句)、スポーツそして女性との関係などはずっこけで笑いをとっているのかなという感じで、これもこの方の少年時代からの人生を垣間見させてくれる楽しい書き方ですね。しかし大工は半端ではなさそうです。京都一中も凄い人脈を誇っていると痛感しました。今西錦司氏、西堀栄三郎氏など、京大探検部に繋がる著者の周辺の方々の人間的な大きさも感じます。京大には山岳部がなく、著者は三高の山岳部であり、京大学士山岳会メンバーであるというのは正確な知識として持っておいた方がよいですね。 -
梅棹忠夫が「なれなかった人生の話」。
多趣味でも、うまいことしたら、梅棹さんみたいになれるんかも。
もっとアクティブになろうと思った。 -
梅棹氏の最新作。同人雑誌「千里眼」に7年にわたり掲載された6編を集めたもの。なりたかったけど、ならなかった(もしくはなれなかった)人生の話である。
目 次
1.わたしは大工
2.わたしは極地探検家
3.わたしは芸術家
4.わたしは映画製作者
5.私はスポーツマン
6.私はプレイボーイ