美男へのレッスン 上 (中公文庫)

  • 中央公論新社 (2011年5月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784122054899

みんなの感想まとめ

現代社会における「美男」の位置づけを深く考察した作品で、著者は映画や芸能界を通じて、美男と中年男性の自己認識の違いを探ります。特に、若い美男が社会においてどのように自らの役割を受け入れているのか、また...

感想・レビュー・書評

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  • 現代社会において「美男」が置かれている位置について考察をおこなっている本です。

    著者はまず、オードリー・ヘップバーン主演の映画『パリで一緒に』を題材に、中年のシナリオライター役で登場するウィリアム・ホールデンと二枚目俳優のトニー・カーティスを対比しながら、若い美男に対抗意識を燃やす中年男と、そうした中年男の思惑とは無関係に「それ自体でバカかもしれない」美男との齟齬に注目しています。著者のまなざしは、中年男と美男の自己認識における相違に注がれています。すなわち、すでにロマンをうしなって現実に生きているという確信をもっている中年男と、この社会において美男としてのスタイルを引き受けざるをえないということを認識している美男の、それぞれの自己認識のありかたが主題となっています。

    こうした自己認識における対比は、その後変奏されつつ追求されていきます。たとえば著者は、美男の悩みは「せっかくここまで自分は現実に適応してしまっているのに、どうして現実は自分を受け入れてくれないのだろう」ということに尽きるといい、美男じゃない男の悩みは、「せっかくここまで自分は現実に適応しているのに、どうして現実は自分を受け入れてくれないのだろう」というものであると喝破します。美男は、すでに具体的な他者と出会ったところから、具体的な関係のなかで悩みをいだくのに対して、美男でない男は、観念のなかで他者との出会いを思いえがいて、どのようにすればそこに到達することができるのかと悩んでいるのだと論じています。

    著者にはすでに『蓮と刀―どうして男は“男”をこわがるのか?』(河出文庫)という男性論があり、本書の主題もある程度それとかさなっていますが、本書では映画や歌舞伎、浮世絵や芸能界についての著者の考えがさまざまなところに差し挟まれており、それぞれの議論も興味深く読むことができました。

  • [ 内容 ]
    <上>
    「男達の圧倒的多数がそんなに美男でもないし醜男でもない」という状況にありながら、男のカテゴリーには「美男」と「醜男」の二つしかない。
    しかし、果たして「男の美貌」というものに価値はあるのか。
    いまだかつて論じられたことのなかった「美男とは何か」を解き明かす、スリリングな美男論。

    <下>
    男が「美しい」ということはどういうことか。
    アラン・ドロン、石原裕次郎、加山雄三、マイケル・ジャクソンなど、東西さまざまな具体例から美男について考察しつつ、「近代」という時代を考えるスリリングな美男論。

    [ 目次 ]
    <上>
    第1学期 概論(美男のいた時代―あるいは、トニー・カーティスはいいやつだ;男というものは―あるいは、ウィリアム・ホールデンもいいやつだ;若いということ―あるいは、若さに関する残酷なジョーク;美男というもの―あるいは、美男はやっぱりバカかもしれない;美男の社会学―あるいは、すべての大学教授は美男だろうか)
    第2学期 本論(美男の思想1―あるいは、美男は体質の職人である;美男の思想2―あるいは、「難しいことが嫌いな人はこの章を飛ばしなさい」;明快ブオトコ講座―あるいは、この本で唯一わかりやすいところ)
    第3学期 一般教養(美女の論―あるいは、整形美女はどのように幸福か;美男のための美術史―あるいは、「男のように美しいオバサン」の存在しない昔)


    <下>
    第3学期 演習A(アラン・ドロンの肖像―あるいは、物語を生きてしまった男;美男と階級―あるいは、トム・リプリーは錯覚する ほか)
    第4学期 一般教養(タフガイのいる歴史―あるいは、石原裕次郎は足が長かった;美男のための生物学(あるいは、「可愛い」という本能;あるいは、「美しい」という機能))
    第4学期 演習B(少年の論への門口―あるいは、マイケル・ジャクソンの混乱;少年の論―あるいは、架空のマイケル・ジャクソンの物語 ほか)
    最終学期 社会研修(少年は空が飛べる―あるいは、少年は少年でいいじゃないか;ある数奇な中年の物語―あるいは、橋本治と大沢健は『明星』の同級生だった ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 相変わらず一筋縄では行かない橋本評論です。「美男」について、さらに後半では「美女」についてまで考察を広げています。こんなに入り組んだ考え方していたら男でも女でも地獄だよー生きにくいよーと叫びたくなります。ジェンダーって難しい。自分の顔を自覚して生きて行くのって大変。最初のレッスンのほうでの洋画の引用は正直解らなかったです。洋画見ないんだもん…。後半の美術史の講義が個人的にはものすごく面白く読めました。下巻にも期待。

  • 自分にとって必要な教養をつけましょうという本

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著者プロフィール

橋本 治(はしもと・おさむ):1948年、東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説、戯曲、舞台演出、評論、古典の現代語訳ほか、ジャンルの垣根を越えて活躍。著書に『桃尻娘』(小説現代新人賞佳作)、『宗教なんかこわくない!』(新潮学芸賞)、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『蝶のゆくえ』(柴田錬三郎賞)、『双調平家物語』(毎日出版文化賞)、『窯変源氏物語』『巡礼』『リア家の人々』『人はなぜ「美しい」がわかるのか』『ちゃんと話すための敬語の本』『思いつきで世界は進む』他多数。2019年、逝去。

「2026年 『「わからない」という方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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