- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122055025
作品紹介・あらすじ
一台のキャンピングカー「どさ号」に生活用具を積みこんで、ポルトガルのリスボンからインドへ、全行程四万キロ。紹介状もスポンサーもなく、一八〇日間かわるがわる運転しては山を越え砂漠を横断して走りぬいた記録。行動的歴史家が鋭い眼で捉えた、現代世界文明像。
感想・レビュー・書評
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1970年代にリスボン〜北欧〜トルコ〜インドと旅した記録。
旅行記だと思って読むと、少し違う。
「思索行」というタイトル通り、おおいに思索的な要素を含んでいる。著者が歴史家であるためだろう。
ただし、4万キロにおよぶ旅行見聞記に加えるかたちで、その”思索”が登場するので、結果的にどちらも中途半端。
旅行記にしては詳細がはしょってある感じがして躍動感に乏しく、思索についてでは、現代日本社会批判が突然飛び出すことがしばしばで、その根っこにあることが語られない。(どうにも、原始回帰主義的なコメントに読めてしまって、気持ち悪い方もいると思う)
そういった詳細の中途半端感が蓄積されて、「リスボン〜インドの長大な旅」が持つ膨大・圧倒的なインパクト、それを短時間では消化しきれない人間というものをあらわそうとしているのならば、それは成功しているように思う。
初版から約40年後、「改訂版あとがき」で再び少しの語りをする色川氏自身ですら、この行程が持っていた意味合いを消化し切れていないように感じた。
それほど「旅」は、時間を経てもなお、新しい意味合いを帯びていく性質なのだろう。
ところで、改訂版あとがきで、野口園子さんについて触れられていないのはなぜだろうか?
それと、カルカッソンヌとヨステダール氷河には行ってみたくなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示