- Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122055407
作品紹介・あらすじ
同じ洋服を着ているのに、日本人と西洋人の歩き方が違うのはなぜか-。立ち方、坐り方、服の着方、履き物の履き方など、なにげない日常の動作から浮かび上がってくる、現代日本人の身体にしみこんだ武道、茶道、能薬、禅など伝統文化の深層。「身体」を通した画期的な日本人論。
感想・レビュー・書評
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人の動きは「心」や「想い」の現れ。
肉体の輪郭や均整に基づくものではなく、それを覆い隠してもなお姿勢やしぐさから表出する存在の印象を「美」とする心。見えないものを当たり前のように認め、表面的に見るのではなく、内側から放たれるものを見極める。そのような、古くから自然と溶け込むことで見出してきた日本人独特の美的感覚に感動を覚える。その遺伝子を受け継いでいることに誇りを抱く。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『からだのメソッド』『椅子と日本人の身体』『美しい日本人の身体』と、結構この人の本は読んできた。
重なる話が多いなあ・・・と思ったら、ほぼ同時期に出た本のようだった。
ただ、こちらの方が、方法論についても説明されているので、もし1冊だけで済ますなら、この本があればいいのだろう。
座ること、歩くことの奥にある、身体をどのように操作するかに文化差が出るという話ということだが・・・
このテーマ、これからどんな風に進化していくのだろう。 -
雑学豆知識ではなく、深い洞察に支えられた「歩き方立ち方着こなし方」を通して学ぶ日本の身体技法と美の基準。
確かに、言われてみればその通り。欧州人は歩く時に膝から下をかなり前方に投げ出し、踵をカツカツと着地しながら歩いている。一方の私は、骨盤をやや前傾させ膝から下だけをチョコマカ摺り足で歩く。親指やその付け根あたりに重心がある。ふむふむ。
佇まいの美学。それが様々な身体技法を通じて行動や振る舞いの価値観にまで影響しているなんて、面白い。
また、筆者の基本姿勢も好ましい。この手の著作にありがちなノスタルジーやナショナリズムとは節度のある距離を保ち、かつ、あちらにもこちらにも肩入れして「この観点ではこういうのが美しいのだ」と抑えつつも隠しきれない情熱が伝わってくる。
現代の着物の着付けが100年前の着付けとはかなり違うという指摘など、変わらない芯と不変に見えてそうでもない皮の描写も素敵。
元トップアスリート、今学者。行動と観察。理論と実践。高いレベルでバランスされてます。 -
日本人の姿勢、仕草、立ち振る舞い、服装や道具等を実践的かつ学術的に解説
方法論でも解説されているが、非常に広範で深雑なことに対してしっかりとした論理展開
著者の他の本に比べて学術、論述的。 -
下駄の話とか面白かったな。
現象面の分析は良かったが、それを、著者の主観に基づいて一般化しているような感じがちょっと違和感。
あと、図説が異常に見辛い。 -
人の立ち振舞いについて深く考察した興味深い本。バレエと日本舞踊の違い、履き物や洋服和服の違いなど着目するポイントがユニークで面白い。
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欧米人と日本人とでは、どうしてこうもたたずまいや歩き方が違うのだろう、などと常日頃思っていたワタシに明快な回答を出してくれた一冊。 立ち方、座り方、歩き方、服の着方など普段の動作は、実は日本人の身体にしみ込んだ伝統文化にその源を発する。和装と身体の関わりに関する研究で博士号を取った著者は、そう指摘する。言われてみればまあそうだろうと思うかもしれないけれど、そのしみ込み方が想像以上だということが、著者の綿密な調査と考察で浮き彫りになる。
ところで、この秀作を生んだ著者には、ぜひ「小走り」についても研究をお願いしたい。日本では小走りしている人を見ない日はないと言ってもいいくらいだが、欧米ではあまり見かけない。日本人のこの習慣はどこから来たのか。(ちなみに、ワタシの中では、日本人が海外に行った時に止めてほしい行動の第一位が小走り。貧相な感じがして、とても見ていられない。) -
少し前に読んだ「美しい日本の身体」と内容的には同じでしたが面白かったです。
日本独特の文化や身体の使い方は柔術という観点からももっと深く追求していきたいですね。