千年ごはん (-)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 316
感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122055414

作品紹介・あらすじ

山手線の中で出会ったおじさんのクリームパンに思いを馳せ、徳島ではすだちを大人買い。これまでも、これからも、連綿と続く日常のひと皿に短歌を添えて。日々のおだやかな風景を歌人が鋭い感性で切り取る食物エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 食べること=生きること 美味しい=しあわせ
    これは人類最高の方程式だ(と思う)!
    と、そんなにしゃっちょこばらなくても、自然に読めて、ほっとする一冊でした

  • 食べ物が身体を作っていることが伝わるエッセイです
    お豆腐の話が好きでした

  • 歌人であり、小説家の東さんの初めての食のエッセイ。
    各作品に、歌一首つき。

    作者の人柄が表れているのだろうか、優しくて自然な文章。
    食べ物の味を感じるのは、舌にある味蕾だから、おいしい食べ物の文章は舌で味わうものが多い。
    あとは、目?
    東さんの食べ物への向き合い方は、体ごとである。
    体に流す(流し込む)、もしくは通す、という言い方がされる。
    とても素直だ。
    たとえば、色インクに切り花を挿しておくと、その色水を吸い上げて花弁が同じ色に染まるような。

    ただ、極端に“体にいいもの”を追及しているわけではない。
    無理に30品目の食品を摂るようなことは、人間を生き物としてとらえれば不自然な事、と考える。
    人は動物として、生まれた土地にあるものを自然に採って食べてきたのだ。

    「千年ごはん」というのは、そういう、“物を食べる”生き物が地球上に登場してからずっと続けてきたこと、自然に食物を体に取り入れて命をつないできたこと、変わらずにある営みを象徴する言葉なのだろう。

    お姉様が挿絵を担当されたらしい。
    味があってかわいい絵だと思う。
    貝の話のところに、なんとオウム貝が描かれていて、そのセンスに思わず微笑んでしまいました。

  • 短歌に興味を持ち、アプリで作ってみたものの、私ってこんなに暗かったっけ?と心配になるほどネガティブな歌ばっかりになりました(^^;; そんな折、自分の本棚にこの本が積んであったことを思い出しました。
    歌人の東さんには申し訳ないのですが、東さんの作品は小説のほうが好きです。
    小説は繊細な危うさや不思議を孕んでいて大好きなのですが、この食エッセイ短歌添えは、お上品すぎてお尻がモゾモゾする感じσ(^_^;)
    岸本佐知子さんや西加奈子さんみたいな、ぶっとびリアルなエッセイが大好物なので、お行儀の良い東さんのエッセイを物足りなく思ってしまいました。
    西加奈子さんも書かれていましたが、食と旅行のモチーフはズルい(笑)と私も思います。
    石井好子さん『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』を再読したくなりました。

  • 何度も繰り返して読みたい本。すーっと体に染み入る感じがする。

  •  お節料理の黒豆、鍋料理、ちらしずし、天麩羅、そうめん、ごはんのおこげ・・・などなど、オリジナルレシピやら食べ物へのこだわりやら切ない思い出に、36の短歌を添えた「今日のビタミン」&「つらつらごはん日記」の書き下ろし作品の贅沢な食べ物エッセイ集。

     「肌重ねあったことは語らずにすり鉢の中にふくらむ豆腐」
    「取り戻せることもあるのよ とにかくね今の今なら今が今なの」
    何気ない日々の食べ物を切り取り、人生になぞらえた短歌が心に響く!
    本のタイトルが『千年ごはん』とにあるように、食べるという行為はある意味、連綿と生きてきたその生きものの時間と付き合うことなのだろう。家族となることは、一緒にごはんを食べることから始まる・・・と、改めてそんな風に想いを馳せた。
     某TV番組チューボーですよ!風にいうと★★★「星みっつですぅっっ!」(^_-)-☆

  • 短い時間でスラスラ読める
    読んでいて料理や食材が想像しやすく
    思わずお腹が空いてしまう良い本

  • 食にまつわるエッセイ、短歌付。
    ストレートで簡易な言葉で書かれているので受け取り易い。
    柔らかくまろやかな感じ。

  • 美味しそうな食べものエッセイを好むのですが、この本も素敵な空気でした。
    季節色があって、これからの季節も生きるのが楽しみになります。
    やってみたいごはんもたくさんありました。かくし味に野菜ジュースを入れたカレー、トマトと茄子としし唐とタコのスパゲティー、根菜の素揚げ、「マカロニを入れたやつ」、ミネストローネ風スープ…料理上手になりたい。
    各エッセイの最後にある短歌も良かったです。

    「食べ物が美味しく感じられるのは、憂いなく生きているから。」

  • 毎日おいしくごはんを食べられるのはなんて幸せなんだろう。茗荷を焼いて食べてみたくなった。

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著者プロフィール

歌人、作家。第7回歌壇賞、第31回坪田譲治文学賞(『いとの森の家』)を受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』、小説に『とりつくしま』『ひとっこひとり』、エッセイ集に『一緒に生きる』『レモン石鹼泡立てる』、歌書に『短歌の時間』『現代短歌版百人一首』、絵本に『わたしのマントはぼうしつき』(絵・町田尚子)などがある。「東京新聞」などの選歌欄担当。近刊にくどうれいんとの共著『水歌通信』がある。鳥好き。

「2023年 『朝、空が見えます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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