唐宋の変革と官僚制 (中公文庫)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122055827

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  • 唐朝と宗朝の間に、政治・社会・文化の全局面で時代を劃する変革があったことを指す「唐宋の変革」について、「官僚制」の観点から論じている。隋代に確立した律令官制を核とする律令体制・中世貴族政治が、安史の乱を境に、節度使や財務諸使などの令外官「使職」の設置と、使が下僚を自らの責任において選任する「辟召制」の復活を契機として崩壊し、その「辟召制」が再び消滅した宗初に近世の文人官僚政治が成立すると説いている。
    一般読者向けの文章であるⅠと教員向けの文章であるⅢは比較的読みやすいが、研究者向けの論文であるⅡは、唐代から宋代についての基本的な知識があることを前提に書かれており、引用される漢文も基本的に書き下し文と原文だけで意訳は書かれていないので、教科書レベルの知識しかない読者には必ずしも読みやすいものではない。しかし、卒業論文として書かれた「三司使の成立について―唐宋の変革と使職」をはじめ、いずれも高水準の論文であると思う。特に、同論文中の唐代~宋代に使職に任ぜられた人々の家柄と仕官の状態を一覧表にして分析するという手法は優れたものだと感じた。
    Ⅰで取り上げられている、五代十国の時代に五王朝八姓十一人の皇帝に宰相などとして重用された馮道という人物に興味を覚えた。馮道は、後世になると無節操・不忠の代表と見なされたが、本人は「国に忠であった」と書き残し、一般民衆からは慕われていたという。ある意味プラグマティックといえる馮道の生き方に好感を覚えた。

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