キリスト教入門 (中公文庫 や 54-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122056237

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  • 内村鑑三に師事し、戦後東大総長を務めた矢内原忠雄氏の、無教会主義の立場からのキリスト教入門。

  • (01.20.2016)

  • 矢内原忠雄の名前は、キリスト教界においてよく出てくるのだが、内村鑑三の弟子だった事と、東大総長だったという事以外何も知らないので、一度は彼の著作を読んでみたいと思っていた。

    学生にキリスト教について分かりやすく説明するという意図を持った講義録。自分がキリスト教家庭環境で育ったためか、特に目新しいこともなかった。時代背景からか、無教会派の影響からか、最近それ程言われることのない、日本独自のキリスト教観についても述べている箇所に、著者のエネルギーを感じる。

  • Amazon、¥612.

  • 新渡戸稲造の「武士道」(原著は英語)の和訳もしている矢内原忠夫による入門書。
    「キリスト教入門」とうたう書物によくありがちな、聖書のエピソードやキリスト教文化がちりばめられたものとは全く違う。まず、人間が空想(理想のことだろう)するところと現実の違いから入り、人は何によりたのむべきかと述べ、宗教とははたして迷信なのか、と疑問を投げかける。そして「宗教を信じるとはどういうことか」「キリスト教信仰とは何か」「如何にしてキリスト教を学ぶか」などについて初心者向けに噛み砕いて説明していく。信仰とは、数多くの宗教を比較検討した上で「選ぶ」ものではなく、宗教によって「選ばれる」ものだと述べ、そこには神の恩恵があるという。
    「キリスト者は、みずから道徳的に清い聖人だから、キリストを信じているのではない。キリストを信じなければ、どうにも立って行けない罪人であることをみずから知っていればこそ、信仰の生活に入っているのである。」とは、キリスト教信仰の本質であろう。
    昭和前期の学者であるためやや硬い文章ではあるものの、論旨はしっかりしていて明快。他の教派に比べて無教会主義のメリットを述べている部分もあるが、ほとんど本旨には影響はない。真面目な入門者にお勧めしたい一冊である。

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著者プロフィール

矢内原忠雄

一八九三(明治二六)年、愛媛県生まれ。旧制一高時代に、内村鑑三の聖書研究会に入会、同校長の新渡戸稲造の影響を受ける。一九一七(大正六)年、東京帝国大学法学部卒業。一九二〇(大正九)年、同経済学部助教授に就任。一九三七(昭和一二)年、「中央公論」で日中戦争を批判する「国家の理想」を発表し、全文削除の処分を受けたことを契機に辞任。一九三八(昭和一三)年、伝道用雑誌「嘉信」を発行。戦後に復職し、一九五一(昭和二六)年、戦後二代目の総長(新生東京大学としては初代)となり、六年間務める。総長就任の翌年に警察手帳を奪った学生が学内で逮捕されるというポポロ事件が起こり、大学の自治を主張するとともに学生運動の暴力主義を諫めた。代表作に『植民及び植民政策』『帝国主義下の台湾』,『南洋群島の研究』『キリスト教入門』『マルクス主義とキリスト教』 『矢内原忠雄全集』 (全二九巻)。一九六一(昭和三六)年没。

「2019年 『イエス伝 マルコ伝による』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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