- 中央公論新社 (2012年8月23日発売)
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感想 : 19件
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784122056817
みんなの感想まとめ
音楽と文学の交差点を探求するエッセイ集は、著者の音楽的視点から多様な作品を深く掘り下げています。クラシック音楽に触発された各章では、トマス・ハリスの『羊たちの沈黙』や村上春樹の『海辺のカフカ』など、幅...
感想・レビュー・書評
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2009年刊。もとは「図書」連載(2006.7-08.11)。
しょっぱなから強烈。トマス・ハリスの『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクター博士が登場(ひぇー!)。彼は多指症、左手の指が6本あった(中指が2本)。囚人だった時、差し入れにグレン・グールドの弾くバッハの『ゴルトベルク変奏曲』のカセットを頼んだという。このカセット、グールドの55年録音盤なのか、それとも81年の再録音盤なのか。こうして始まる第1章、タイトルは「打鍵のエクスタシー」(グールドのことだ)。書名は、レクターにあやかり『六本指のゴルトベルク』。
クラシック音楽が登場する小説をめぐるエッセイ、30章。ミステリが多いが、小川洋子、村上春樹、島田雅彦、高樹のぶ子などもある。もちろん、バルザック、ロマン・ロラン、デュラス、ジッドといったフランスものも。
ジッドの章はもちろん『田園交響楽』。ベートーヴェンの話で盛り上がるのかと思いきや、まさかのヘレン・ケラー、サリヴァン、グラハム・ベル。もう少しさかのぼって、ローラ・ブリッジマン、ディケンズまで。ほんと、よく調べている。(そういえば、祖父の青柳瑞穂の専門はジッドだった。)
本日6月4日、本書読了。なんと、著者の誕生日ではないか。6月4日は天安門事件の日でもあった。第24章「天安門事件とフランス革命」にそうある。この章で扱われているのは、ギィ・スカルペッタの『サド・ゴヤ・モーツァルト』。この3人が1789年7月14日(革命勃発の日)になにをしていたかという小説。この章では、ケストナーの物語だと、6月4日が「5月35日」というトリビアも紹介している。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
音楽を題材にした小説について、ピアニストでありドビュッシーの研究でも知られる著者が音楽的な観点から論じる軽妙なエッセイ集。もっとも、お好きなのはドビュッシーよりも、一つ一つの素材を無駄なく徹底的に使い切るベートーヴェンとのことだが……。
読んでいて早速私に刺さったのが中山可穂の「ケッヘル」で、モーツァルティアンの偏執的な性格をこうやって描いた小説があったのかと面白く思った。確かにある作曲家に傾倒するクラシックマニアは、世の中のあらゆる数字について、その作曲家の作品番号に置き換える癖がついている。ベートーヴェン好きならベートーヴェンの作品番号、リストならリストの作品番号(サール番号)に。もろ題材がクラシックであるだけに、書評というよりもあらすじの紹介になっているが、さすがに一般向けに説明が丁寧になされているのは著者の面目躍如だ。
私にとって新たなジャンルを拓いてくれた一冊であった。 -
青柳いづみこ(1950年~)氏は、東京芸大音楽学部卒、国立マルセイユ音楽院卒(首席卒業)、東京芸大大学院博士課程修了のピアニスト。安川加壽子、ピエール・バルビゼに師事。文化庁芸術祭賞受賞。大阪音楽大学教授。エッセイストとしても活躍し、『青柳瑞穂の生涯』で日本エッセイストクラブ賞(2001年)、『六本指のゴルトベルグ』で講談社エッセイ賞(2009年)を受賞。
私は、ノンフィクションやエッセイを好んで読み、今般、過去に評判になった本で未読のもの(各種のノンフィクション賞やエッセイ賞の受賞作を含む)を、新古書店でまとめて入手して読んでおり、本書はその中の一冊である。
本書は、岩波書店の月刊PR誌「図書」(2006年7月号~2008年11月号)に連載された、古今東西の純文学やミステリーの中から、音楽や音楽家を扱った作品を取り上げ、音楽との関わりを主軸に読み解いたエッセイ29篇(+1篇)をまとめて、全体を加筆したもので、2009年に出版、2012年に文庫化された。
本書で取り上げられた文学作品は、トマス・ハリス『羊たちの沈黙』、村上春樹『海辺のカフカ』、ロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』、アンドレ・ジッド『田園交響楽』、ジョン・フランクリン・バーディン『悪魔に食われろ青尾蠅』、永井するみ『大いなる聴衆』、中山可穂『ケッヘル』、S・J・ローザン『ピアノ・ソナタ』、アンジェラ・カーター『血染めの部屋』等であるが、ノンフィクション中心の読書をする私としては、登場する文学作品をほとんど知らず、また、音楽もポピュラー音楽以外は殆ど聞かないため、出てくるクラシック音楽がわからず、残念ながら、最初の5篇を読んだところで、ページをめくる手が止まってしまった。
裏を返せば、著者は、あと書きで、「描かれる音楽作品も演奏家も真に迫っていて、音楽畑の人間が読んでも違和感がないどころか、かえって自分たちの世界の問題を再認識され(ママ)、教えられることが多々である。せっかくこれだけ的確にとらえているのだから、その“ツボにはまった感”を、音楽人以外の方々にも是非味わっていただきたいと思ったのである。」と書いているくらいなので、登場する作品を知っている向きには、さぞかし味わい深いエッセイなのだろうとは思う。
(2022年12月) -
芸術家の芸術家たる所以にいい意味で圧倒されました。
ピアニストが、私達?一般人の感覚とはいかにかけ離れれた世界感の中で生きていることか。
それは、あなたの隣に座っているピアニストの見ている景色が眼の前の街並ではなく、宇宙其の物という位の隔たりなのです。
異邦人を読むような、不可思議を味わいたい方は是非読んでみて下さい。 -
ピアノを弾くものとしての「あるある」が散りばめられたエッセイだった。ミスタッチを許さない日本人の話がすごく頷ける。私の大好きなル・サージュはミスタッチが比較的多いけど、音楽的なミスタッチだからいいんだよね。音楽的で音色が素晴らしいもの。ああなりたいけど、やっぱり、気にしちゃう。あとは、舞台に上がって、1つミスすると、これでもう完璧な演奏はできないのだからと、緊張が解けてリラックスできるってのも分かる気がした笑 文学と音楽を絡めたエッセイだけど、あまり文学の方は気にしませんでした。
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ふむ
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ドビュッシーの研究家、ピアニスト、執筆者の著者が音楽に関わる小説などを紹介しながら、音楽について論じていく。明け透けに語り、音楽の本質を主張している著者のトーンが魅力的。ジッド「田園交響楽」、ロマンロラン「ジャン・クリストフ」トルストイ「クロイツェル・そなた」中山可穂「ケッヘル」、高樹のぶ子「ナポリ魔の風」、島田雅彦「ドンナアンナ」、こうなると当然村上春樹も「海辺のカフカ」が取り上げられる。「ケッヘル」はモーツアルトに魅せられた人の数字に拘り過ぎる偏愛ぶりが楽しい。626番の飛行機には絶対に乗らない。レクイエムの番号なので縁起が悪い!ジャズとクラシックのピアニストの喜びと苦しみの対比、「バッハ」(BACHの4音)のモチーフによるリスト、Rコルサコフの作曲がある!愉快な話だ。東京芸大のガダニーニ・偽ヴァイオリン事件のことも詳しい。ある日のポリーニのピアノが甘い響きだったので違和感があった裏話とか、そもそもポリーニは「彼がショパンを弾くということは、涙にくもる眼ざしを空に向け、私的な嘆きの歌をうたうことではない」とのドイツ評論家カイザーの引用が言い得て妙で納得した。
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新書文庫
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音楽を語る小説の紹介であるが、今ひとつぴんと来なかった。
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241115
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小説に出てくる音楽エピソード(ピアノ中心)についてのエッセイ。
読書案内としても楽しいし、音楽案内としても楽しくて、お得な一冊ですね。
ただ、よく知らない人が読んだら、ピアノ弾きはみんな変人に見えてしまうかもしれないので要注意です。(^^;
ま、ホントに変人ばかりなのかもしれませんけどね。(^^; -
絵と同じで、音楽についても、絵を描いたり楽器を演奏したりしたことのある人にしかわからないことがある。
実際に創作したことのない批評家の書く文章が、創作する側から見たらものすごく白ける内容に思えたりするのは、たぶんそこで多かれ少なかれ断絶があるのだろう(批評家の文章も、その点で意義はあるのだろうけれど、しかし絶対に埋められない溝がある)。
青柳さんは自身ピアニストでありながら、その自在な言語表現を駆使して、音楽を創造、演奏する側と、聴く側との橋渡しをしてくれている。
その媒介として、彼女は音楽を題材としたフィクションを毎回取り上げる。
ピアノを演奏したことのない人が読めばつまらなさそうな小説も、音楽家が読めばかくも面白く身につまされるものになる。そのギャップを知ることができるエッセイ。ところどころで驚かされた。 -
本に出てくるクラッシック(ちょっとジャズもあるけど)をピアニストの観点から読み説くエッセイ。
タイトルの「六本指のゴルドベルク」は、トマス・ハリスの「羊たちの沈黙」のレクター博士のことから。
青柳氏は、音楽家である自分と、文筆家である自分が、常に両立してるだなぁって思って読んだ。
「もの書きピアニストはお尻が痛い」では、両者の間をいったりきたりしてる感じがあったんだけど、このエッセイは完全に混在している。
エッセイストとして、稀有な方なのだろうと感服いたしました。
にしても、タイトルで読みましたね、思われるものがちょいちょいあって、微笑ましいというか同病相哀れむというか…。
「大いなる聴衆」とか「ピアノ・ソナタ」とか、まぁ本の中にでてくる音楽のエッセイなんだから、音楽がでてこないと話にはならないんだろうけど、それでもやっぱり多い気がする。も、これは職業病かもしれんね。字が並んでても音楽関係の文字だけが、太文字になってるみたいに目にはいってくる。そんな感じかもしれない。
あと、青柳氏のお人柄が…。
生真面目で、素直で、前向きで、ってまぁそれだけなんてことはないのだろうけど、マイナスを表に出さない上品さが素敵だなと思います。
うん、知的で上品、上質。そんなエッセイ。 -
もともとミステリはあまり読まないので、しらない作品ばかりだったけれど、音楽家が登場する小説、音楽が重要なキーとなる小説って意外とあるものなのだとおもった。
クラシックとジャズの違い、ピアニストでもある著者のようなその道の人が読むとよくわかる音楽家気質のことなど、発見が多かった。こどもを音楽の道に進めたいなんて気軽に思っちゃいけない気がした。
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著者プロフィール
青柳いづみこの作品
