六本指のゴルトベルク (中公文庫)

  • 中央公論新社
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レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122056817

感想・レビュー・書評

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  • ドビュッシーの研究家、ピアニスト、執筆者の著者が音楽に関わる小説などを紹介しながら、音楽について論じていく。明け透けに語り、音楽の本質を主張している著者のトーンが魅力的。ジッド「田園交響楽」、ロマンロラン「ジャン・クリストフ」トルストイ「クロイツェル・そなた」中山可穂「ケッヘル」、高樹のぶ子「ナポリ魔の風」、島田雅彦「ドンナアンナ」、こうなると当然村上春樹も「海辺のカフカ」が取り上げられる。「ケッヘル」はモーツアルトに魅せられた人の数字に拘り過ぎる偏愛ぶりが楽しい。626番の飛行機には絶対に乗らない。レクイエムの番号なので縁起が悪い!ジャズとクラシックのピアニストの喜びと苦しみの対比、「バッハ」(BACHの4音)のモチーフによるリスト、Rコルサコフの作曲がある!愉快な話だ。東京芸大のガダニーニ・偽ヴァイオリン事件のことも詳しい。ある日のポリーニのピアノが甘い響きだったので違和感があった裏話とか、そもそもポリーニは「彼がショパンを弾くということは、涙にくもる眼ざしを空に向け、私的な嘆きの歌をうたうことではない」とのドイツ評論家カイザーの引用が言い得て妙で納得した。

  • 新書文庫

  • 音楽を語る小説の紹介であるが、今ひとつぴんと来なかった。

  • 241115

  • 小説に出てくる音楽エピソード(ピアノ中心)についてのエッセイ。
    読書案内としても楽しいし、音楽案内としても楽しくて、お得な一冊ですね。
    ただ、よく知らない人が読んだら、ピアノ弾きはみんな変人に見えてしまうかもしれないので要注意です。(^^;
    ま、ホントに変人ばかりなのかもしれませんけどね。(^^;

  • 芸術家の芸術家たる所以にいい意味で圧倒されました。
    ピアニストが、私達?一般人の感覚とはいかにかけ離れれた世界感の中で生きていることか。
    それは、あなたの隣に座っているピアニストの見ている景色が眼の前の街並ではなく、宇宙其の物という位の隔たりなのです。
    異邦人を読むような、不可思議を味わいたい方は是非読んでみて下さい。

  • ピアノを弾くものとしての「あるある」が散りばめられたエッセイだった。ミスタッチを許さない日本人の話がすごく頷ける。私の大好きなル・サージュはミスタッチが比較的多いけど、音楽的なミスタッチだからいいんだよね。音楽的で音色が素晴らしいもの。ああなりたいけど、やっぱり、気にしちゃう。あとは、舞台に上がって、1つミスすると、これでもう完璧な演奏はできないのだからと、緊張が解けてリラックスできるってのも分かる気がした笑 文学と音楽を絡めたエッセイだけど、あまり文学の方は気にしませんでした。

  • 絵と同じで、音楽についても、絵を描いたり楽器を演奏したりしたことのある人にしかわからないことがある。
    実際に創作したことのない批評家の書く文章が、創作する側から見たらものすごく白ける内容に思えたりするのは、たぶんそこで多かれ少なかれ断絶があるのだろう(批評家の文章も、その点で意義はあるのだろうけれど、しかし絶対に埋められない溝がある)。
    青柳さんは自身ピアニストでありながら、その自在な言語表現を駆使して、音楽を創造、演奏する側と、聴く側との橋渡しをしてくれている。
    その媒介として、彼女は音楽を題材としたフィクションを毎回取り上げる。
    ピアノを演奏したことのない人が読めばつまらなさそうな小説も、音楽家が読めばかくも面白く身につまされるものになる。そのギャップを知ることができるエッセイ。ところどころで驚かされた。

  • まさかエルロイがでてくるとは思わなかった。クラシックっつうと刑事や探偵というよりスパイな気もするけど、やっぱり古典か純文学のがしっくりする。「ピアニスト」はやっぱり原作よんどいたほうがいい気がしてきた(今更)。あとは「田園交響楽」と「ある人生の音楽」あたりが読みたくなった。

  •  本に出てくるクラッシック(ちょっとジャズもあるけど)をピアニストの観点から読み説くエッセイ。
     タイトルの「六本指のゴルドベルク」は、トマス・ハリスの「羊たちの沈黙」のレクター博士のことから。

     青柳氏は、音楽家である自分と、文筆家である自分が、常に両立してるだなぁって思って読んだ。
     「もの書きピアニストはお尻が痛い」では、両者の間をいったりきたりしてる感じがあったんだけど、このエッセイは完全に混在している。
     エッセイストとして、稀有な方なのだろうと感服いたしました。

     にしても、タイトルで読みましたね、思われるものがちょいちょいあって、微笑ましいというか同病相哀れむというか…。
     「大いなる聴衆」とか「ピアノ・ソナタ」とか、まぁ本の中にでてくる音楽のエッセイなんだから、音楽がでてこないと話にはならないんだろうけど、それでもやっぱり多い気がする。も、これは職業病かもしれんね。字が並んでても音楽関係の文字だけが、太文字になってるみたいに目にはいってくる。そんな感じかもしれない。

     あと、青柳氏のお人柄が…。
     生真面目で、素直で、前向きで、ってまぁそれだけなんてことはないのだろうけど、マイナスを表に出さない上品さが素敵だなと思います。

     うん、知的で上品、上質。そんなエッセイ。

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