わたしの献立日記 (中公文庫)

  • 中央公論新社 (2012年9月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784122056909

感想・レビュー・書評

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  • 大変失礼ながら女優としての沢村貞子さんをわたしは知らない
    黒柳徹子さんのエッセイ(オススメです!!)で愛する夫のために献立を考えていた、料理上手だったと記されていたから興味が湧き…

    明治生まれで戦前・戦後を生き抜き、女優として活躍された作者さまだけれど
    台所仕事にたつ作者さまは、季節を感じ、自分と夫の身体や好みを考える愛あふれる品の良い女性

    作中にある献立をみると
    気温やお天気まで記されているし、アプリなんて存在しない時代におやつに至るまで記されていて…あ〜なんて素敵な感性✨

    時代は違うけれど、物価高に嘆かれていて、遠い存在の方なのに、身近に感じてしまった

    素朴で愛らしい、安野光雅さんの表紙カバーも沢村貞子さんの人柄をあらわしている
    素敵

  • 初めの章より。
    「美味しいものとのめぐり逢いには、運がある。」
    このことを、口果報と言うそうです。
    丁寧な言葉でつづられていて、時折り沢村さんのチャーミングなところも感じとれて愉しいです。
    「毎日書くようになった献立日記の、本当の値打ちがわかったのは、二年あまり、たってからだ。」とあり、続けることの大切さが伝わってきます。
    旬の食材の参考にもなりますね。

    二十六年、大学ノートは通算三十六冊(「わたしの献立日記」は二十二年間)の日々の記録。
    解説は平松洋子さんです。

  • 愛してやまない1冊です。
    残業の帰り道、この1冊にどれ程心を癒されたことか。
    献立日記の名の通り、本書の大半は著者が26年間綴り続けた献立が載っています。26年ですよ。
    年数だけでなく、その中身も圧巻です。主食から副菜、汁物まで、忙しい女優業でありながらこんなにも丁寧にきちんと毎日を送っていた人がいたなんて、とただ驚くばかり。

    日々の暮らしを丁寧に扱う心意気が、ページを開く度にこちらにまで感じられて、それが忙しい日が続いてもなお「私も毎日を丁寧に過ごそう」と思い起こさせてくれたのです。

    さて、そもそも私が本書を手に取るきっかけをくれたのは、平松洋子さん。
    いわく、「献立日記は、沢村貞子にとって、自分の人生を全うするための心棒であった。それは、脇役女優として懸命に働き、たいせつにした夫婦の暮らしを守り通すための盾であったかもしれない。だからこそ、恬淡と綴られた献立日記はぴんと背筋を伸ばした気の張りを湛えている。それは、沢村貞子の生きかたそのものである」
    書かれているあとがきも、素敵です。

    本書に綴られているエッセイにはところどころ毒も混ざっていて、著者が聖人ではないことに安心します。
    読んでいて感じるのは、世間の目よりも何よりも、自分がよしとしたものを、自分の軸できちんと判断して最後まで大切にする姿勢です。
    献立を眺めるだけでもそれが感じられる。ため息がでそうなくらい、その生き様が凛々しくて。
    同時に季節に即した献立リストは、何を作るか迷った時のヒントになる。ずっと大事にしようと思います。

  • 昭和41年( 1966) から昭和63年( 1988) までの22年間に渡る大橋家(沢村家)のお惣菜が書き留めてある
    30冊にもなるそうだ

    沢村さんの人柄が伺えるエッセイや献立ひとくちメモも嬉しい

    1ページ目「食と生活」の一節が気に入った

    「食欲というのは、ほんとにすさまじいもの、と我ながら呆れるけれど・・・ちょっといじらしいところもあるような気がする。お金や権力の欲というのは、どこまでいっても限りがないけれど、食欲には、ほどというものがある。人それぞれ、自分に適当な量さえとれば、それで満足するところがいい。おいしいものでおなかがふくれれば、結構、しあわせな気分になり、まわりのだれかれにやさしい言葉の一つもかけたくなるからーしおらしい

    何と小気味よく明快で楽しい文章であろうか
    沢村さんの人となりそのもののような気がする
    どなたかのレビューで、書いたものはまず初めに夫の大橋さんに見せておられたとのことだが、きっとそれで文章も日に日に磨かれたのであろう

    毎日のお惣菜のバランスも素晴らしくメニューもバラエティに富んでいる
    ただただ感心しきり、ため息しか出ないが、家族に美味しいものを食べさせたいという思いは共通
    愛情だけは込めて作りたいものだ

    ずっと手元に置いておきたい一冊だ

  • 著者を知ったのは、某Eテレの番組をたまたま観たのがきっかけ。女優さんで忙しいのに随分マメな人だったんだなぁ。普通の日記じゃなくて、献立の日記って発想が面白くて手に取った。たまに「どうしてこの組み合わせになった!?」っていうのもあるけど、時代なのかな?
    日記の間にあるエピソードを読んでいて、台所の大切さ、食事を作る時間の大切さを感じた。今の世の中、食事にも「タイパ」を求める時代。そんな今の時代に必要な部分な気がする。著者は大変な時代を生きた人だから余計そう感じる。

  • ⬛︎何を食べて生きるか

    千葉県木更津市に「クルックフィールズ」という農場と食とアートが一体化した自然豊かな施設があります。宿泊した翌朝、誰もいない静寂に包まれた「地中図書館」という内部施設で、こちらの本を見かけて読みました。

    26年間コツコツと、自分のためだけに丁寧につけ続けた献立日記と、間に挟まる食や価値観の小話。
    沢村貞子さんは女優で不規則かつ多忙を極めていたと思うのですが、そんな中でも食事を作り続けたひたむきさをひしひしと感じ、すごいな…と思いました。

    「お金や権力はどこまでいっても限りがないけど、食欲は、ほどがあって、人それぞれ自分の適当な量さえとれば、それで満足するところがいい。おいしいものでおなかがふくれれば、結構、しあわせな気分になり、まわりの誰彼にやさしい言葉の一つもかけたくなるからーしおらしい。」
    冒頭の一文で、心を掴まれました。

    「いま、食べたいと思うものを、自分に丁度いいだけー〜気どらず、構えず、ゆっくり、楽しみながら食べること。なんとも、月並みだけど、どうやら、それが私たち昔人間にとって、最高のぜいたくーそう思っている。」

    きっと、目まぐるしい生活の中で少しの心の豊かさというか、毎日「しあわせ」と思えるように日々の食事にこだわっていたのかな、と。

    昭和ですが、献立は今見ても遜色ないぐらい美味しそうなメニューが並びます。
    牛肉のバター焼き、栗ご飯、舌びらめのムニエル…

    当時はちょっと贅沢な食材もあったかもしれない。でも、沢村さんは食事以外の贅沢品に興味はなく、一本芯が通っています。
    「ぜいたくなものを食べて気が引けた時は、まあいいでしょう、ダイヤの指輪一つ買ったと思えば…と自分に言い訳する。おかげて、いつも気軽に美味しいものが食べられる。」
    このエピソードはクスッと笑ってしまいました。いい考えです。

    前日に、採れたて新鮮で味の濃い野菜や、柔らかく旨味がたっぷりのお肉など、からだが喜ぶ、いのちを感じる食事を頂いたからか、なおのこと心にじんわりと沁みる本でした。
    食べるものにこだわるということは、一過性ではない幸せを感じられて、人生の豊かさに直結するなあと、日々食べるものについて改めて考えるきっかけとなりました。

    余談ですが、話中で食材の高騰についても触れられていて。
    「庶民にとって何より大切なのは、毎日の暮らしである。住むところと食べるもの、まともに働く人たちがせめて、それだけは確保できるようにーこの国の偉い人たちに是非お願いしたい。」
    戦争を経験している沢村さんだからこそ、説得力をより感じるとともに、現代でも庶民が感じていることは変わらないのだなと…。昨今の物価高、米をはじめ様々な食物の不足など、むしろ当時より状況は悪化しているのでは、、と感じざるを得ません。

  • 日々の食事で大切にしている事、美味しく食べる工夫など、料理をする人にとって共感できるところが多々あった。献立のページも面白かったが、エッセイももう少し読みたいと思いました。筆者の他の作品も探してみようと思う。

  • 俳優という忙しい日々の中で、とても丁寧な暮らしをされていたのだと思った。毎日は無理だとしても、できるだけちゃんと手作りしたものを食べようと思う。

  • 本屋さんで表紙にひきつけられたのと、「往年の名女優さんにはエッセイ巧者が多い」という自分の経験で買った1冊。

    女優・沢村貞子さんが生前つけられていた「献立日記」。大学ノートをカレンダー形式に四角く区切り、20年以上も毎日ほぼ途切れなく、その日に召し上がったものを書きとめていった数は、30冊にものぼるという。ページレイアウトもその形式を踏襲しており、メニューに詰まって思わず「えー、今日は…」と日にちを探してみたりする。女優さんの食卓というには質素で、オーソドックスなメニューだけど、貧相ではない。レシピが記されていなくても、主菜と副菜の組み合わせが、調理スキルの乏しい私にはとても参考になる。そして、自分の料理の素っ頓狂な組み合わせに、少し苦笑もしてしまう。

    献立日記の間にはさまれた、お料理に関するエッセイも淡々としていながら品があり、巧みだけれどあざとさをまったく感じないし、「口果報」「厨芥」など、現代では日常から消えてしまった言葉が素敵。個人的には、『捨てる』や『ものの値段』の、時の流れを感じて「どうしたものかしらねえ」とつぶやきながらも、きりりと台所仕事を切り回す姿が見えてくるようなエッセイが好み。

    沢村さんの献立日記については、『とんぼの本』シリーズからも出版されているので、ビジュアルが分かるぶん、そちらでもよかったかな…と思ったけど、シンプルで素敵なエッセイでした。

  • ほぼ、日々の献立が書いてある。
    小話が少し。
    丁寧な日々の献立。のり、とかかまぼことか、あぁそれだけでも一品か。むしろ品が良い感じがするなとか、この料理はどんな料理だろう。とか、作ってみようかな、とか。
    昭和の時代はこういうのを多く食べていたんだなとか、天気や、気温・・
    几帳面に綴られる確かな情報?で、想像が掻き立てられます。
    健康的な献立。
    時代(それとも沢村貞子さんのお宅だけ?)の空気感が感じられるのがいい。
    料理が出てくる本と、昭和が好きな私(平成生まれ)にぴったりでした。
    今で言う丁寧な暮らし、昔の人は自然にしていたのかな。

  • 食べることは生きること、
    そのことを強く実感する本。

    あとがきも含めて、とても沁みた。

  • 素朴で愛らしい、安野光雅さんの表紙に吸い寄せられて手に取ったこの文庫本。
    中には、26年間もの間続くことになる献立日記をつけるようになったいきさつと、少しのエッセイとともに、毎日の献立が紹介されています。

    メニューというよりも、献立、という言葉が似合います。
    仕事の時間も不規則で、忙しい女優さんが、家庭料理にこだわって日々の暮らしを考えていた様子をうかがい知ることができて興味深かったのと、変化に欠ける我が食卓の「相談役」となっていただける気がして、購入して帰りました。

    自分自身、昼間は仕事をしていて、「料理をつくること」よりも大きな悩みは「食材の買い出し」がままならないこと。
    沢村さんは、どんなに忙しくても、仕事が大変でも、女優業は体が資本だから、絶対に適当なものは食べない、と決めておられたそうです。でも、買い出しだけはどうしようもない。
    そこで、昼間、家にきてくれるお手伝いさんに、「今日の夕食はこの献立にするので、お買い物をどうぞよろしく」と伝えるために、日々の献立を大学ノートにつけ始めたそうです。

    中に登場するのは三食の献立で、レシピはありません。レシピ本はさまざまあれど、毎日毎日の献立の提案をしてもらえるなんて、なんとありがたい。ご近所さんと立ち話で「お宅、夕べなにを召し上がったの?」と情報交換するような感覚で読んでます。

    この「献立を考えること」が、わたしにとっては日々頭を悩ますところで、メインは決まっても付け合せをどうするか、とか、小鉢には何をつけようかな・・・という、「組み合わせ」がなかなか浮かんでこなくて、いつも決まりきったメニューになってしまうのが情けないところだったのです。

    今回、沢村さんの献立の考え方の秘訣を読んで、「そうかあ~」と急に視界が開けたような気持ちがしました。
    ちょっとはおそうざい上手になれるかしら!

    日付付きの献立日記は、そのままの形での掲載なので、季節ごとにいちばん美味しい素材を使った料理(しかも家庭料理で素朴にできる難易度で)が紹介されているのも、ありがたいです。
    ついでに言うと、年号もついているので、この年にこういう料理が流行っていたのかな~なんて、当時の各家庭の食卓の様子を想像したりするのも、またたのしいのです。

  • 本当は、朝日新聞の書評で紹介されていた、同じ著者の「わたしの台所」を読みたかったのだけど、図書館では貸出中だったため、とりあえずこの本を借りてみた。
    最初の、「お金や権力の欲というのは、どこまでいってもかぎりがないけれど、食欲には、ほどというものがある。人それぞれ、自分に適当な量さえとれば、それで満足するところがいい」という表現からなんか好きになってしまい、最後まで楽しく読んだ。
    台所仕事、あとかたづけも含め、丁寧に取り組む暮らしをしたいなぁと、すこし背筋がしゃんとなる気がする。

  • 女優の沢村貞子さんのお献立日記
    みんな悩む毎日の献立にはピッタリの本
    他のレシピ本にはカラー写真がたくさん載っているけどこの文庫版は日々の献立とエッセイのみ
    写真やレシピが無くても献立を見れば大体の調理法はわかるし献立組み立てを参考にしたかったのでこちらを
    (絵が無くても他人の日記というのは楽しいもので高山なおみさんのごはん日記なども愛読してる

  • 衣食住に関することがどんどん便利に手軽になっていく時代だからこそ手間暇かけて、それすら楽しんで自分のこだわりを確立できたらいいなとこの本を読んで思った。

    本の中に出てきた梅酢がとても美味しそうだった

  • 新潮文庫版で読みました。人の家の本当の毎日の献立なんて、実際はなかなか見ることができないものだけど、飾らない性格の沢村貞子さんだからこそ、また、毎日のお料理を大事にされていてそのままでも素晴らしい献立たちだからこそ、読んでいるだけで楽しかったです。料理が苦手だけど、いつかこんな風に食事と向き合えたらいいなーと思い、最近刊行された飯島奈美さんが再現されたレシピ集も買いたくなっています。

  • このエッセイを元にしたNHKの番組で見ていた際、母が「随分と質の良い牛肉使ってるな~」と言っていたのを覚えている。実際の彼女は、どんなお肉を使っていたんでしょうね。
    バターを『バタ』と書いているのが、実に古式ゆかしい。亡くなる数年前まで、献立日記を書いていたのに驚き。食べることと生きることは、繋がっているのだなと改めて思いました。

    レシピ少な目。食事にまつわるエッセイが中心だが、女優業についても事細かに書かれている。

  • ごはんを大切にする、季節を大切にする、そんな気持ちが生まれた作品。気が向いた時にパラパラとめくって大切に読み続けたい。

  • 恥ずかしながら、洗い物がめちゃくちゃ嫌いなので、「汚したものはきれいにかたづけておかないと、次の日、素敵なご馳走がつくれないでしょ、」をキッチンに貼っておこうと思った。
    ここまで手をかけた料理はできないけど、ちゃんと自分でつくって食べる、を上手にできるようにしていきたい。

  • 食の大切さ。食卓の大切さがしみじみ感じる一冊。
    「住むところはこぎれいなら結構。着るものはこざっぱりしていれば、それで満足。(中略)いわばごく普通のつつましい暮らしをしている。ただ─食物だけは、多少ぜいたくをさせてもらっている。」

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著者プロフィール

1908年(明治41年)東京・浅草生まれ。俳優・エッセイスト。本名大橋貞子。日本女子大学在学中に新築地劇団に参加。前衛演劇運動に加わって投獄を経験する。34年、日活太秦現代劇部に入社、映画俳優としてデビュー。小津安二郎監督作品をはじめとした映画、舞台、テレビで名脇役として活躍した。生涯で出演した映画は100本以上。78年には、半生をとりあげたNHK連続テレビ小説「おていちゃん」が放送された。89年に俳優を引退。文筆にも長け、77年『私の浅草』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。ほか『貝のうた』『わたしの台所』『わたしの献立日記』など著書多数。96年(平成8年)没。

「2023年 『沢村貞子の献立 料理・飯島奈美3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

沢村貞子の作品

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