青蛙堂鬼談 - 岡本綺堂読物集二 (中公文庫 お 78-2 岡本綺堂読物集 2)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122057104

作品紹介・あらすじ

夜ごと人間の血を舐る一本足の美女、蝦蟇に祈祷をするうら若き妻、井戸の底にひそむ美少年、そして夜店で買った目隠しされた猿の面をめぐる怪異-。ひとところに集められた男女が披露する百物語形式の怪談十二篇に、附録として単行本未収載の短篇二篇を添える。

感想・レビュー・書評

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  • 一言でいうと、やはり、「語りの妙」。
    題名にもなっている「青蛙堂」の由来が中国の志怪小説によるという。それがまた、単なる翻案ではなく、オリジナリティにあふれ、とてもおもしろい。読んでいると、ついつい先が読みたくなる。
    印象に残ったのは「一本足の女」「笛塚」「龍馬の池」。
    綺堂の作る小説は、(元々の話)→作品(語り手による語りの構造、内容)→上演劇(の台本)というサイクルの中にあり、まさに「談」なのだ!

  • 古典的な怪談たる怪談。
    派手さはないが、妖しい雰囲気と語り口の品の良さが心地良い。
    ただ、折角百物語調の導入をつけているのだから、何か全体でのオチが欲しかった。

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18357

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BB10620807

  • 中国の伝奇を読んでいるような感覚だった。さらっとして読みやすいし凄く怖いということもないので野次馬系怖がりとしてはとても助かった。訳も理由も分からないけど興味を引く話っていうのは結構へぇ〜って感じで聞き入ってしまう。

  • 蟹の話が好きかな
    全部雰囲気が良すぎ

    附録の「小夜の中山夜啼石」は京都の幽霊子育飴みたい

  • 古き良き怪談。
    そうそう、こういうのが良いんだよ。綺麗事で終わらせない、不思議は不思議と割り切って読むと、一つ一つの作品の余韻が感じられる。

  • 著者曰く「怪談に理窟を附会するのは禁物」だそうだが、
    私にはそれが合わなかった。

    その中で、「一本足の女」は好みだった。
    正しさや倫理では抑えきれない、人の心の淫靡な揺らぎがよい。

  •  岡本綺堂は初めて読んだ。1925(大正14)年から連載され、後に追補されて1932(昭和7)年に単行本として刊行されたもの。百物語形式で、12名の語り手が順に怪談・奇談を語っていく。
     この中公文庫版、「雰囲気を伝えるべく」あえて歴史的仮名遣いを採用しているので「さういふわけで」のような表記になっている。旧漢字は使っていないので、岩波文庫の復刻ものよりもずっと読みやすく、問題なかった。若い人はちょっと「引く」かもしれないが。
     よどみなく流れてゆくような文体が良く出来ている。適度に描写し、物語を進めてゆくので、引き込まれて読まされる。なかなか見事な芸ではないかと思う。
     話の中身は、ホラー(恐怖)とまでは行かない怪談が多く、中には単に奇談というだけでダークさの面では大人しい結末もいくつかあった。しかし、総じて面白いものだったと思う。解説によると岡本綺堂は中国の古い怪談集などにも通暁しており、本作の話もそこから題材を取って再構成したものも多いようだ。こうした趣味の傾向が、本作のカラーを彩っていると思われる。

  • 青蛙堂に招かれた客が語る怪異譚。
    登場する男女の語り言葉の旧さや品の良さが話の内容をただ怖いだけのものにしておらず深みを出していました。
    何の因果もなく祟られる『猿の眼』は異質で本当に怖かったです。

  • ひっそりとした恐怖と不可思議が存分に感じられる怪談集。恐ろしい因縁のあるもの、その逆にはっきりとした因縁のわからないもの、いろいろありますが。どれにもぐぐっと惹き込まれます。
    お気に入りは「清水の井」。怖くもあるけれど、ひどく幻想的でなんとも美しく思えた物語でもありました。
    一番恐ろしく思えたのは「猿の眼」。これははっきりとした因縁の物語がわからないだけになお恐ろしいです。何が起こっていたのか結局わからないところも、また。

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著者プロフィール

(おかもと・きどう)1872~1939
東京生まれ。幼少時から父に漢詩を、叔父に英語を学ぶ。中学卒業後、新聞、雑誌の記者として働きながら戯曲の執筆を始め、1902年、岡鬼太郎と合作した『金鯱噂高浪(こがねのしゃちほこうわさのたかなみ)』が初の上演作品となる。1911年、二代目市川左團次のために書いた『修禅寺物語』が出世作となり、以降、『鳥辺山心中』、『番町皿屋敷』など左團次のために七十数篇の戯曲を執筆する。1917年、捕物帳の嚆矢となる「半七捕物帳」を発表、1937年まで68作を書き継ぐ人気シリーズとなる。怪談にも造詣が深く、連作集『三浦老人昔話』、『青蛙堂鬼談』などは、類型を脱した新時代の怪談として評価も高い。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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