告白的読書論 (中公文庫 い 119-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 71
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122057548

作品紹介・あらすじ

人はなぜ本を読むのか。時を忘れて読みふけった思い出や、長大な作品を意地になって読み通した経験は誰にでもあるだろう。まったく歯が立たない本、価値観や存在を揺さぶられるような危険な書物も、読書体験には欠かせない。著者が成長していく時代、書物は、まばゆい、あるいは妖しい光を放っていた。書物への感謝に満ちた、赤裸な読書体験記。

感想・レビュー・書評

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  • "本書は著者の読書体験を赤裸々につづったエッセイ。うらやましいと私は思った。私も若かりし頃に同様の読書体験をしていたら違った人生を歩んでいたのではないかな?
    今からでも遅くはない。今度の夏休みにトルストイに挑戦してみようと思っている。"

  • 告白的でもなんでもなく、一昔前の一般的な読書傾向。

  • 本屋でたまたま見かけた買った文庫本。忙しい時期だったにも関わらずかなり早く読み終えた。有名小説や詩集と芳醇な出会い体験を描いている。

  • 著者の小学生~高校生時代の読書体験記。
    読書の楽しさが詰まっている素晴らしい一冊。

  • フランス文学者が自分の中高学生時代の読書遍歴を中心に読書についてを語る。語り口が適度に軽く題名の物々しさとは逆に読みやすい。ある程度の読書家であれば当然とうなずけることが多く、感じてはいたが言葉にできずにいた部分をきちんと言葉にしていて唸らせられる。「自分を崩す読書」などの読書の様々な効用には非常に共感できた。小説や思想哲学の本だけではなく、戯曲や詩を取り上げている。詩についての部分が、短いが良質な鑑賞入門になっている。個人的に気になっていた詩人ばかりでてくる変な偶然に驚いた。ぜひ読書家に一読を願う良書。

  • わからなかった本については正直にわからなかったと告白しているところがほかの読書論にはあまりみうけられないと思う。

  • 読書には原則も方法論もない。読みたい本を読みたいときに読み大洋に読めばよい。本を読むことは、自分を取り巻いている世界と関わりを持つことである。
    文系の人間からすれば本は物としての存在そのものに意味があるのであり、そこに書かれていることは決してただの情報ではない。
    わからないことをわかろうとするからこそ、人間は成長するもおのだしわかりたいという欲望があったからこそ人類は進歩してきた。

  • 著者の読書暦
    後半になるほど耳おりが増えた。
    読書と身体感覚は確かにそのとうりと思った。

  • 「わかる」というのは、自分の外部にある知識なり思想なりを咀嚼して体内に摂取し、自己の一部をなす構成要素として同化するなけでなく、それをみずからの意志でいつでも自由に活用できるようにすることである。

    栄養分が百パーセント吸収される書物などそもそも存在しないのであってある程度消化しきれない部分が残るからこそ、人は時間をおいて同じ本を読んでみようと思うのだし、関連する別の本を求めて読書を続けていくのである。

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著者プロフィール

1951年生まれ。中部大学教授・東京大学名誉教授。専門はフランス文学、フランス思想。15年から19年春まで東京大学理事・副学長をつとめる。91年、ブルデュー『ディスタンクシオン』(藤原書店)の翻訳により渋沢・クローデル賞、01年『ロートレアモン全集』(筑摩書房)で日本翻訳出版文化賞・日仏翻訳文学賞、09年『ロートレアモン 越境と創造』(筑摩書房)で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。著書に『フランス的思考』(中公新書)、『時代を「写した」男ナダール 1820-1910』(藤原書店)、共著に『大人になるためのリベラルアーツ(正・続)』(東京大学出版会)などがある。

「2020年 『危機に立つ東大』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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