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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784122057715
みんなの感想まとめ
人間の本質や道徳について深く掘り下げた作品で、特に秋月悌次郎の教えや生き方が印象的です。彼は、自己を犠牲にすることや他人の権利を尊重する姿勢が、東洋の道徳法に根ざしていると語り、これが全体のために自己...
感想・レビュー・書評
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「しかし西洋の型の社会では、そんな人間(=秋月さん型の人)は大きな役を演ずることができましょうか?」
「その、人手を借りないでの、努力によってという意味かい?」
「そうであります」
「できない。そういう人には実務の能力が無いし、またある種の結合に対しての才能が無い」
「如何にも御尤もであります。それでそういう人達の善良というのはどういう点に存しているとお思いになりますか?」
「廉恥と忠君(正確には忠誠)と礼儀とにおいて-この上無しの克己において-利己的で無い事において-他人の権利の尊重において-自己を犠牲とするの迅速なる事において」
「それもまた真実であります。しかし西洋の生活で、そういう性質は成功を博するに十分なものでありますか」
「いやそうではない」
「ところが東洋の道徳法はそういう性質を修養しました。そしてその修養の結果は全体のために自己を抑えることでありました」
「そうだ」
(秋月の漢文の授業の生徒でもあり、五高法科主席で福岡県知事、神奈川県知事などを歴任した安河内とラフカディオ・ハーンの会話から。ハーンは、安河内に、初めて日本に来た時に秋月のような昔風な日本についてどう思ったか?と聞かれ、「僕はそういう人を神々しいとーカミサマだとー思った。そして僕は今新しい時代を見たから、そういう人達を一層神々しく思う」と答えている)
のち、秋月の五高での教え子の回想に、次のようなものがある。
「(秋月は)かつて会津若松城に籠城せる白虎隊切腹の絵図を展べられ、彼は我が友某の子なり、此れは知人某の甥なり、と16・7歳の若輩を一々指示かつ各個の性行をも詳述され、その勇武を称賛してあますところなく、言辞迫り、涕涙滂沱たり。余もまた頭を俯し、流涕膝をぬらしたるを知らざりき。」
「薩肥長のごとき、人物を出せるにすくなからず。薩に西郷吉之助あり、桐野半次郎あり、肥に島団右衛門あり、江藤新平あり、長に前原一誠あり、奥平監輔あり。皆一流の人物なり。しかも遂に失敗に畢(おわ)りしもの、これ志に従わずして情に従いたるによらずんばあらず。」
(72歳で五高を去った時の談話から)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
秋月悌次郎は晩年近くに熊本第五高(旧制高校のちの熊本大学)で教師をしていたそうで…。
これはすでに、他の本で読んでいたけど、小泉八雲と任期が重なっていた時期があり(この本で、さらに夏目漱石とも任期が重なっていたことを知った)小泉八雲から「(秋月先生は)神様のような人だ」と称されていたと…。
そのうち、小泉八雲の著書『東の国から』を読もうかな^^ -
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作者がこの作品を書く前は、秋月は降伏を指揮した者として会津でも人気がなかったそうだ。
秋月と交流のあった奥平謙輔論と半々の書籍。 -
秋月悌次郎は幕末の会津藩士。
若い時分より学業に秀で昌平黌の寮長も務めた。
(当時、会津藩士が昌平黌の寮長を務めたケースは他にもあり会津藩の教育水準の高さを示すもの)
当時の交友から薩長との人脈も築き、八月十八日の政変では会薩同盟を主導している。長崎等への遊学中に河井継之助とも交流があった。
然しながら、その後、会津藩士としては尊王派に傾き北海道に左遷されたり、会津戦争では降伏を取り仕切ったことから裏切り者に等しい取り扱いを受け、必ずしも政治の表舞台には立てていない。
一方、会津戦争敗戦直後には以前の人脈を生かし長州藩の奥平謙輔に山川健次郎等の若手旧会津藩士の庇護を頼んでいる。
後年は熊本五高で教鞭に立ち漢文及び倫理を教えており、熊本五高の「三先生」にラフカディオ・ハーン(小泉八雲)、夏目漱石と並び選ばれている。
小泉八雲は、秋月悌次郎の会津藩士としての熾烈な過去と、常に柔和で生徒の尊敬を集める人格を高く評価し「神様のような人」と評している。
秋月は薩長との人脈があり、その交渉を任されていたという意味で立場的に勝海舟と似通っているのだが、秋月自身は政治家というよりは知識人の器であったのかもしれない。 -
たっくさんの知らない人の名前が出てきてイメージが追いついていかない。
幕末に詳しい人なら面白いのかも、 -
大河ドラマ「八重の桜」でも会津藩士として登場、
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1985年に発表された作品が今文庫になるというのは、やはり大河ドラマ効果でしょうね、ありがたいことです(笑)。秋月悌次郎は幕末の会津藩の重臣だった人ですが、この本自体は史伝というよりは評伝という感じでしょうか。幕末時代の手腕よりも、晩年の熊本での教師時代に同僚だったラフカディオ・ハーン(小泉八雲)に「神のような人」と評された生き方のほうに重点が置かれていました。
秋月と交流が深かった長州藩士の奥平謙輔についての評伝も収録されていますが、表面的なことかもしれないけれど、戊辰戦争の時点で敗者だった会津藩の秋月が天寿を全うしたのに対し、勝者である長州藩の奥平のほうが萩の乱で叛逆者として非業の死を遂げるというのはなんとも対照的。個人的にはもうちょっと年表的に全体像を把握したかったので、史料としては若干物足りなかったかな。
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