近代異妖篇 - 岡本綺堂読物集三 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122057814

作品紹介・あらすじ

名作「青蛙堂鬼談」の拾遺集ともいえる怪談・奇談集。武家屋敷の因縁ばなし、人をひとり殺してきたと告白する藝妓のはなし、影を踏まれるのが怖くて外にでられなくなった娘のはなしなど、江戸から大正期にかけてのふしぎな話をあつめた。附録として単行本未収載の短篇二篇を添える。

感想・レビュー・書評

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  • 『青蛙堂鬼談』の拾遺集。
    江戸の末頃から大正にかけての怪談奇談を青蛙堂に集った人たちが一人ずつ語ります。
    どの語り手も聞きやすい言葉で話すので不可思議な物語ですが読みやすく、当時の仮名遣いもそのままレトロモダンで良かったです。
    水草のいわれが女性に影響を与える『水鬼』、人を殺めながらも淡々とそれを語る女性が怖くて一番心に残りました。

  • 「青蛙堂鬼談」の拾遺集ともいえる怪談・奇談集。

    レトロな文体が雰囲気出しています。

    個人的に印象に残ったのは、「水鬼」「木曽の旅人」「離魂病」です。
    あと、「百物語」は、普通に考えればすごく怖い状況だと思うのですが、滑稽な感じにも取れてしまうのが、また味わい深く思いました。

  • 『青蛙堂鬼談』の捨遺集。大正10年~15年にいろんな雑誌、新聞へ発表した奇談を集めたもの。
    作品の舞台は、江戸~大正といろんな時代のモノが混在してますが、『聞き書き』の様式による端正な語り口ですいすい読ませる。作品によっては、舞台を現代に置き換えただけでそのまま最近の作品として成立するぐらい、モダンなホラーになってます。
    印象深いのは、綺堂の描くドッペルゲンガーものである『離魂病』(当時、この自分のそっくりさんに出会う系の怪談、流行ったんですかね? この時代のいろんな作家さんの作品でみかける……)、関東大震災と絡めた『指輪一つ』辺りかな。

  • 収録作品は、
    近代異妖篇: こま犬/異妖編/月の夜がたり/水鬼/馬来俳優の死/停車場の少女/木曽の旅人/影を踏まれた女/鐘ヶ淵/河鹿/父の怪談/指輪一つ/離魂病/百物語、
    附録: 雨夜の怪談/赤い杭。

  • 淀みない語り口で、相変わらず読みやすい。内容的には特別奇抜なものはなく、むしろどこかで聞いたような展開が多いのに、なぜか読みふけってしまう。

  • 名作「青蛙堂鬼談」の拾遺集ともいえる怪談・奇談集。武家屋敷の因縁ばなし、人をひとり殺してきたと告白する藝妓のはなし、影を踏まれるのが怖くて外にでられなくなった娘のはなしなど、江戸から大正期にかけてのふしぎな話をあつめた。附録として単行本未収載の短篇二篇を添える。

  • 青蛙堂綺譚の補遺短編集。
    2013/4月つに改めて刊行。やうやう、いふ、といった旧仮名遣いを残してくれていて、著者の書かれた頃の空気を感じます。

  • 「奇談が奇談ではない空間」

    小石川の青蛀堂で集まった人々によって語られた怪談・奇談の中から「わたし」の記憶に残っていたり、筆記したりしたものを集めた拾遺集。16編の話の舞台は江戸末期から明治、大正にまでわたり文字通り「近代の異妖」を集めた小品集となっている。

    ここに収められている話はいわゆる「怪談」ではない。

    それらは確かに不思議な話ではあるのだが
    「〇〇の恨み」とか「〇〇のタタリ」というような因縁やオチがあるわけではなく
    「起こったこと」がそのまま、しかも人から聞いた話として淡々とつづられる。

    ところが「そんなことがありましたとさ」風に唐突に終わったときの読者の投げ出され感が
    返ってザワリとした独特な余韻を残す。

    例えば「木曽の旅人」。
    木曽の山中の杣小屋に暮らす父子のもとに訪れた旅人。
    20代半ばらしき役人か商人風の男である。
    優しげで愛嬌もあり怪しげなところは微塵も感じられない「普通」の男。

    にもかかわらずめったに人見知りなどしないこの家の幼い息子が異様に怯え
    そこへ尋ねてきた猟師仲間の連れた犬は男に向かって吠え止まない。

    そこに読者は子供と犬のセンサーに触れた「何か」を感じるわけだが
    綺堂の関心はその「何か」よりもむしろ
    「奇しきもの」としての子供や犬だけが持つセンサーにあったりする。

    話によって江戸であったり明治であったりあるいは
    「銀行員が旗本屋敷を借りる」ような現実もあった、
    まだまだ時代が混在し交錯する空気もこの奇談の舞台として効果を上げている。

    幕末から明治、大正を奇談というひとくくりで描いて見せられたとき
    時代の相互に紛れた決して人の目には触れぬ異空間が存在することを発見する。
    そこでは何があっても実は不思議ではない。

  • 帯表
    「だって、あなた、人間ひとりを殺して平気でもゐられますまい。」
    名作「青蛙堂鬼談」の拾遺集ともいえる怪談・奇談集
    百物語形式の十四篇

  • 楽しみに待っていたシリーズの3冊目。『青蛙堂鬼談』の続編というか、同じときに聞いた話をまとめたという体裁です。相変わらず聞き書き形式になっていることもあり、この「語りっぱなし」感がやっぱり個人的にはとても好き。こんなことがあったけど原因はわからないんだよね~お化けかもしれないけど、勘違いかもしれないし、っていう、聞き手の解釈にゆだねっぱなしのところが逆に本当ぽくていいんだよなあ。

    江戸時代のエピソードが多かったですが、その時代だと、日常の中でふと起こる、ちょっとした不思議なことや怖いこと、そういう怪異は怪異として、当たり前・・・というほどではないにせよ、それはそれ、そういうこともある、としてナチュラルに受け入れられている空気なのが良いんですよね。作中でも言及されていますが、明治大正になると「文明開化」の「合理精神」で、ちょっとした怪異なら「神経症」と一笑に付されてしまうようになってゆき、妖怪も幽霊も近代化の波に飲まれていっちゃいますからねえ。怖い目には合いたくないけど、そういうのはちょっと寂しい。

    個人的にお気に入りだったのは「水鬼」。ある意味男女の怨恨殺人ドロドロ話でもあるんだけれど、それに「幽霊藻」という不気味な植物や水辺のエピソードが絡むだけで途端に幻想的な要素を孕んでくる。「停車場の少女」や「異妖編」の中の一編のように、死んだ友達の霊魂がその死を知らせにくる系の話にも弱いです。
    怖いんだけど、ちょっと切ない。

    ※収録
    「こま犬」「異妖編」「月の夜がたり」「水鬼」「馬来俳優の死」「停車場の少女」 「木曾の旅人」「影を踏まれた女」「鐘が淵」「河鹿」「父の怪談」「指環一つ」 「離魂病」「百物語」「雨夜の怪談」「赤い杭」

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著者プロフィール

岡本綺堂

一八七二年(明治五)東京生まれ。本名は敬二。元御家人で英国公使館書記の息子として育ち、「東京日日新聞」の見習記者となる。その後さまざまな新聞の劇評を書き、戯曲を執筆。大正時代に入り劇作と著作に専念するようになり、名実ともに新歌舞伎の作者として認められるようになる。一九一七年(大正六)より「文藝倶楽部」に連載を開始した「半七捕物帳」が、江戸情緒あふれる探偵物として大衆の人気を博した。代表作に戯曲『修禅寺物語』『鳥辺山心中』『番町皿屋敷』、小説『三浦老人昔話』『青蛙堂鬼談』『半七捕物帳』など多数。一九三九年(昭和十四)逝去。

「2019年 『玉藻の前』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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