煌夜祭 (中公文庫 た 85-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 1962
感想 : 134
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122057951

作品紹介・あらすじ

生物も住めぬ死の海に浮かぶ十八諸島。"語り部"たちが島々を巡り集めた物語を語り明かすため、年に一度、冬至の晩に開かれる煌夜祭。今年もまた、"語り部"が語り始める。人を喰らう恐ろしくも美しい魔物の物語を。夜が更けるにつれ、物語は秘められた闇へ…。第2回C・NOVELS大賞受賞作に書き下ろし短篇「遍歴」を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 読み始めた時にはこれ程深い物語だとは思ってもいなかった。

    語り部が話すお話は18の島々がある世界であった切なかったり恐ろしかったりする物語。
    世界観は独特で、その設定がまた面白い。
    島から島への移動手段や島主という役職、魔物の存在、語り部の役目。
    作り込まれていてその世界に引き込まれる。

    感情的な言葉は使われず淡々とした物語はまさに伝承を聞いているような気持ちになる。
    一つ一つのお話は短くて読みやすい。
    ただ、登場人物が覚えきれなくなるので、誰がどんな事をした人なのかメモを取りながら読んだら良かったなぁと思った。
    でももう一回も読み直すと違った見方で読めるからそれもいいかも。

    読了は色々な感情がごちゃ混ぜになったけれど、読んでよかった。
    すごく面白かった。

  • 異国の童話のような魅力に惹き込まれる。
    さらに、一話一話に散りばめられたパズル(伏線)のピースをはめていくと、衝撃と興奮、切なさと感動が浮かび上がりました。

  • 今日が冬至とかぜんぜん意識してなかったけど、偶然にも先ほど読み終わった。現実に戻らなくてはと、職場最寄りの駅のホームで少し時間を過ごしたわ。
    まだ整理できていないけど、何度も読み返すと思う。悲しくて美しくて、大きな流れでは救いもあって。凄いお話だった。

  • 冬至の晩に繰り広げられる煌夜祭。ここで語り部が語るは、18の島々を巡る物語。
    人を喰う魔物と人間の物語が繰り広げられる。物語は恐ろしくもいとおしい魔物の、苦しく切ないものばかり。
    語り部の紡ぐ物語1話1話が童話のように幻想的であり現実的であり、美しく残酷で心惹きつけられる。魔物と人間の交わらないけれど、交わろうとする運命に切なさがますます募る。しかし、切ないばかりではなくほのかなあたたかさも感じる。
    それぞれの物語が語られるごとに、この世界の欠片が少しずつ集まり、全体像が明らかになっていく。

    美しく気高いファンタジー。魅力に溢れた世界に誘われ、読み返すごとに感じる気持ちも変化する。何度も読み返したい大切な1冊になった。

  • すごく好きな雰囲気に包まれたファンタジーだった。もちろん雰囲気だけでなく、物語もとても好き。
    残酷で、切なくて、やるせない、でも優しさと救いが感じられて、読み終えてもしばらくこの世界に浸っていたくなる。魔物とひとと、語り部。表と裏だけではない様々な面を感じさせてくれる物語だった。

    5年ほど前に買った文庫本を今読むという…(積みすぎ)この作家さんのレーエンデ国物語も(気になってたけどなお一層)読みたくなった。読もう。

  • ただただ惹き込まれた。

    登場人物がコロコロ変わる…気がするけれどそうではなく…時代も語りも流れていくようで、そうではなく…たぶん、相関図とか書きながら読んだ方がよくわかるんだろうけれど、読むのを中断させられるのはとてもイヤなくらい面白かった。

    実際、じっくり相関図書いて読んでみるのも楽しいと思う。

  • ファンタジー小説で、しかも、この厚さでこんなにも濃縮された物語が繰り広げられるなんて、正直予想外でした!
    個人的にファンタジーというと、やはり…
    「その世界に没入できるか?」
    「何か心に残ること、言葉、考え方等があるのか」
    が評価基準になるのですが、もうオールクリアでした。
    人間の愚かさ、醜さもあれば、人間の優しさ、愛なんかも描かれていて、その対比に心を揺り動かされるのです。
    「なんで人間って…」何度思ったことでしょう。
    何度恥ずかしく思ったでしょう…。
    その世界の住人になったくらい、没入してしまいます。
    なんとなく選んだ『煌夜祭』でしたが、何度も読み返したくなるほど大満足です!

  • 登場人物がなかなか覚えられなかったが、何となくで読めました。

  • 人の子として生まれるも、日の光を嫌い、年に一度、冬至の日に、人を喰らうという衝動が抑えられなくなる、魔物の存在。

    けれど、語り部たちの物語を聞いていると、その衝動を忘れ、人を襲わずに朝を迎えられる。
    そうした逸話から、冬至の日に開催される「煌夜祭」。

    とても綺麗な始まり方だ。

    魔物で在ることの苦しみ。
    食べることは、愛すること。
    うん、なんかどこかで聞いたことがあるような。

    十八の島と、島同士が円環によって繋がる構造や、語り部たちが語る物語と現実の重なり方など、構成が上手くて面白い。
    ただ、一点、名前が分かりにくすぎて整理出来ない……。

  • 面白かった!
    もう一回最初から読みたいと、読み終えすぐに思わせる。
    読んでる最中もぐいぐい本の世界へ引っ張られた。
    なんかお伽話を聴いてる気分だった。
    ファンタジーなんだけど、哲学的だ。

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著者プロフィール

2006年、『煌夜祭』で第2回C・NOVELS大賞を受賞しデビュー。著書に「〈本の姫〉は謳う」、「血と霧」シリーズなど。

「2023年 『レーエンデ国物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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