草原の風(上) (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 177
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122058392

作品紹介・あらすじ

父の死により、叔父に引き取られ、使用人とともに田で働く劉秀。高祖・劉邦の子孫でありながら、鮮明な未来を描くことができぬ日々を過ごしていたが…。三国時代よりさかのぼること二百年。古代中国の精華・後漢王朝を打ち立てた光武帝・劉秀の若き日々を、中国歴史小説の巨匠が鮮やかに描きだす。

感想・レビュー・書評

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  • 中国後漢王朝を興した劉秀の一代記です。
    前漢を興した高祖の血を引くとはいえ傍流で、幼い頃より親戚に預けられ、使用人と供に田で働いてきた劉秀の人柄に惹かれます。周りの人達にも好感が持てます。読んでてすごく面白い。
    上巻では留学時代を経て王莽の圧政に立ち上がるところまでが描かれています。続きが楽しみです。
    宮城谷さんの本は分かりやすくて良いなあ。

  • やはり宮城谷さんの本はおもしろい。

    後漢王朝の祖・光武帝(劉秀)の物語。
    困窮のため、子供の頃、一人だけ叔父の家に預けられたコンプレックスもありながら、土や光、天候に親しみ、農業の天才とまで言われて、清澄さを失わない劉秀はとても魅力的な主人公。
    多くの人に愛され、のちには期待されるようになるけど、本人はそんな周りの評価に戸惑い、いろいろな人との出会いを自分の糧にしていくまでが、上巻。
    次巻からはいよいよ現皇帝を倒す反乱を起こすが、なるべく劉秀はこのままで進んでほしい。
    中下巻も楽しみ♪

  • 稼穡(農業)に精通せる青年・劉秀(後の後漢初代皇帝・光武帝)の魅力あるは、それ清廉にてあり続けたるが故なり。我が身もかくありたし。稼穡、運送、蜂蜜が製造販売など、様々なる商売全てに成功せり。これも憧れの的なり。土の香り多き劉文叔は、介子推が透明感を持つばかりか、重耳が如き輔弼する名もなき人々を活かす好漢たるが、後の凋落激しき後漢が初代皇帝とは、え思ほえず、大いなる皮肉なり。第一巻は赤眉の乱から王莽の新王朝倒壊に向かはむとす。

  • 赤い龍よ、いつまで草原で臥せているつもりか

    龍は水を飲みに地上におりてくるときがある。龍に従って雲もおりてくるので、雨がふるといわれる。その龍が天に昇るためには、風が起ち、雲が動かなければならない。

    風雲が、臥せている龍には、必要だ。

  • 後漢王朝の創始、光武帝・劉秀の生涯。
    上巻は常安での留学などの若き日々の劉秀が描かれています。
    慕われ尊敬される劉秀の器の大きさ、徳の深さに引き込まれました。
    高祖・劉邦の末裔でありながら、田圃で汗する日々。現場主義という言葉は少ししっくりこないけれど、汗をかき、工夫を怠らず、和を尊ぶ姿勢を当たり前のように貫ける人柄が魅力です。
    中下巻が楽しみ。

  • 上巻は劉秀の人柄を書こうとされてて面白かったが、中、下と進むにつれていつものように主人公が超人的に聖人君子にように描かれていてちょっとがっかりした。上巻が面白かっただけに残念。小説中の描写からも、劉秀は聖人君子ではなく他の天下人のように周りの意見をよく聴くことの出来る人だったのではないかと思う。小説中にも進言をいれる箇所が何箇所もあり、それが劉秀の美徳と思うのだが、そのすぐあとに進言をした臣下ではなく劉秀を褒める描写が多くあり違和感を感じた。ただ以前よりストーリーがテンポよくその点は良かった。

  • 後漢の皇帝となる若き劉秀は飛び抜けた才能があるわけではなく、人望があったことが大きかったように思う。中、下巻へ進むと面白くなることを期待。

  • 後漢の初代皇帝 光武帝の話だ。劉秀あざなは文叔という。劉秀の頃、漢の帝室は退廃し、漢の皇帝の外戚の族から台頭した王莽の世であった。2百十余年つづいた漢王朝はこの男によって余命を絶たれた。新という王朝名は、王莽が新野に領地をもっているためにつけられた。略奪王朝である新王朝は紀元後九年に誕生したのだ。王莽の伯母が漢の元帝の皇后であり、その伯母は弟の子である王莽を信用して引き立てたという。王莽は、劉氏を危険な族とみなし、些細なことを理由に劉氏一族の覆滅を図っていった。劉秀もその一族の中のひとりであったが、嫡流にいたわけでなく、いわば住み込みの身のような者であり、幼い頃は、他の裕福な族に養子にやられていたぐらいだった。

    劉秀が世間に知られるようになるのは、養子先の主である劉良が劉秀を見込んで、長安に留学に出したときからである。世に知られ、世を知ることで、劉秀は成長していく。劉秀はとりわけ勉強(中国では儒教だが)が出来たわけではく、長安での留学中に見込まれて官の道に推薦されたわけではないが、人を魅了するもって生まれた才により、名が知れることが一番の財産になった。

    本書を読んでも、劉秀の智のきらめきが冴え渡るような箇所も無く、軍略の才が見えるような箇所もそんなにない。なぜ、劉秀のような人物が皇帝になれたのか、少し分かりにくい。結局、劉秀の取り巻きに優れた人物が多くいて、その人物を遣うことが非常に上手だった、そして、機を見ることに長けていた、といったことになるのではと推量する。

  • 物足りない。王莽は「王位簒奪者」であり、「天下の大悪党」、という従来の定説を繰り返すだけなのが、いちばん物足りない。王莽は、勉強不足であったにせよ、またやり方が稚拙であったにせよ、いにしえのテクストを読み・読み換え、理想を現実に合わせようとしたのではなく、現実を理想に合わせようとした評価すべき革命家である。少なくとも、九品官人法をはじめ、この後の中国史がたどった制度的・儀礼的な軌跡の多くを、新の革命が先取りしていたことは疑いようのない事実である。
    また、劉秀が天下を取ったのは、彼の人相がすぐれていたため、という作者の予定調和的な歴史観にも、宮城谷の作風であるとはいっても、若干食傷する。

  • 10年~50年頃の後漢時代の中国。三国志の約200年前。劉邦の子孫で劉秀という人物が、後漢王朝の光武帝となるまでを描いた作品。劉氏一族の一人とは言っても田舎出身の田畑を耕していた平凡な男であったが、叔父や親戚やまたその周りの人達から人格や秘められた偉才をかわれ、その期待を裏切らずに王朝を築いていく。仁徳、威徳は人を集め助けていくものなのだと納得させられる。従僕の伋が思い出を語る部分は涙必至。

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著者プロフィール

宮城谷 昌光(みやぎたに まさみつ)
1945年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。1991年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞、1994年『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年『楽毅』で司馬遼太郎賞、2001年『子産』で吉川英治文学賞、2004年菊池寛賞をそれぞれ受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。
2006年、紫綬褒章受章。2016年、第57回毎日芸術賞受賞、及び旭日小綬章受章。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『呉越春秋 湖底の城』など多数。また『風は山河より』など日本の歴史に題材をとった作品もある。

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