探偵夜話 - 岡本綺堂読物集四 (中公文庫 お 78-4 岡本綺堂読物集 4)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122058569

作品紹介・あらすじ

死んだ筈の将校が生き返った話、山窩の娘の抱いた哀切な秘密、駆け落ち相手を残して変死した男の本当の死因、空き家に出入りする娘は本当に毒婦か、娘義太夫の美貌の太夫に毒を盛ったのは誰、など、探偵趣味の横溢する奇譚を集めた好調第四集。附録として単行本未収載の短篇二篇を添える。

感想・レビュー・書評

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  • 一見怪奇な事件に思えるけれど、それなりの理屈を付ければきちんと解決のできる、しかしやはり奇妙な読み心地の物語を集めた短篇集。どれもが奇妙で不気味で、そして魅力的です。
    お気に入りは「椰子の実」。シンガポールで起こった奇妙な事件の物語。ミステリとして考えられそうだけれどまったくもってどういうことなのか、と思いきや、真相がわかってみると案外と単純で納得なんだよなあ。しかしただただ不運というか、やりきれない哀切さも印象的です。
    「有喜世新聞の話」も面白いなあ。入り組んだ男女の関係から発生してしまった事件の真相。それははっきりと解き明かされないままに終わるものの、だからこそ印象的な気がしました。
    「剣魚」「蛔虫」も面白いのだけれど……タイトルで真相がわかっちゃうのは微妙かな(苦笑)。

  • 青蛙堂鬼談が青蛙堂探偵談に! …というわけで、百物語の形式で次々と参加者が体験した不思議な物語とその謎解きが語られるという、探偵趣味に溢れる一冊。
    怪異と探偵モノの両方の素養に溢れた綺堂ならではの面白さを堪能しました。

  • 怪奇譚を語る会を開催する青蛙堂の主人が今度は探偵ものを語る会を開催。そこで語られた数々の物語。
    探偵ものと言っても名探偵や大捕り物が繰り広げられるわけではなく、参加者の身近に起こった少し不思議な事件と謎解きでした。
    巻末に断りのある通り『山窩』の書かれ方が酷いと思いました。他の著者の本で山窩の人々の不遇な扱いを知ってはいましたが当時本当にこのように扱われていたのだと改めて知ることになりました。
    色々と語られた話よりもこちらの方が印象強くなってしまいましたが『蛔虫』の死因が一番怖かったです。絶対に体験したくない…。

  • “探偵趣味の横溢する奇譚”集。

    印象に残ったのは「山の秘密」「狸尼」。

    共に、ゾクリとさせつつ、謎と悲しみの余韻が残る話だと思いました。

  • 物好きな青蛙堂の主人が(多分以前は怪談を集めた。)、今度は探偵物語を持ち寄る会を開催する、という体。いろいろな素人さんが、物語っていく…。時代は明治で、まだ江戸が近かった時。不思議なことが身近にありながら、論理的に考えることもあるから、怪談と推理の境みたいでおもしろかった。

  • 収録作品は、
    探偵夜話: 火薬庫/剣魚/医師の家/椰子の実/山の秘密/蛔虫/有喜世新聞の話/娘義太夫/穴/狸尼/狸の皮/百年前の黒手組、
    附録: 女教師/密漁。

  • いわゆる探偵小説を念頭に読んでいくと、事件の解決に力を貸すいわゆるホームズみたいな、金田一耕助みたいなキャラクターがいるわけでもないので、ちょっと(というか、かなり)ものたりない気もするが、今までの怪奇譚を「語る」という形式は、一話完結で、馴れるとおもしろさも感じられた。探偵小説と怪奇譚のミックスされた探偵小説に至る過渡期といったらおもしろくないか、それでも、完結された、ひとつの世界があると思う。

  • やっぱり、岡本さんの短編は魅力的です。
    この巻には、単行本未収録の短篇2作が付録でついてます。まさか、新作(私にとってはですが)が読めるとは思わなかったので、興奮しました。

  • 帯表
    「わたくしが探偵談に興味を持ち始めましたのも、つまりは怪談から誘ひ出されたやうな次第であります。」
    探偵趣味の横溢する奇譚を集めた好評第四弾

  • 青蛙堂シリーズも4冊目。今回は魑魅魍魎の跋扈する怪奇譚ではなく、探偵小説の趣きのある物語集。つまり犯人が、妖怪変化ではなく人間であった事件ですね。とはいえ、狐だの狸だの、やはり少しは人間ではないものも登場します。個人的にはそんな狸とお地蔵様が登場する「狸尼」がとても面白かった。

    ※収録作品
    「火薬庫」「剣魚」「医師の家」「椰子の実」「山の秘密」「蛔虫」「有喜世新聞の話」「娘義太夫」「穴」「狸尼」「狸の皮」「百年前の黒手組」「女教師」「密漁」

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著者プロフィール

(おかもと・きどう)1872~1939
東京生まれ。幼少時から父に漢詩を、叔父に英語を学ぶ。中学卒業後、新聞、雑誌の記者として働きながら戯曲の執筆を始め、1902年、岡鬼太郎と合作した『金鯱噂高浪(こがねのしゃちほこうわさのたかなみ)』が初の上演作品となる。1911年、二代目市川左團次のために書いた『修禅寺物語』が出世作となり、以降、『鳥辺山心中』、『番町皿屋敷』など左團次のために七十数篇の戯曲を執筆する。1917年、捕物帳の嚆矢となる「半七捕物帳」を発表、1937年まで68作を書き継ぐ人気シリーズとなる。怪談にも造詣が深く、連作集『三浦老人昔話』、『青蛙堂鬼談』などは、類型を脱した新時代の怪談として評価も高い。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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