女王陛下のブルーリボン - 英国勲章外交史 (中公文庫 き 39-1)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122058927

作品紹介・あらすじ

六七〇年に及ぶ歴史をもち、「ブルーリボン」と愛称されるガーター勲章。ヴィクトリア女王時代には、世界中の王侯の垂涎の的となり、明治以降の日本の歴代天皇にも授与されてきた、イギリス最高の名誉である。その成立から、国力の増大とともに価値を高め、大国間外交の切り札となるまでの知られざる歴史。

感想・レビュー・書評

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  • 以前買って積読になっていたものを、このたび蔵出し的に読んだ。

    イギリス最高の栄誉・ガーター勲章をめぐる外交史のエッセンスをまとめた本。宴の席のとあるふるまいに由来をもつという勲章の授与は、国内・国外問わず、政治的にならざるを得ない。

    中世から近世にかけてのガーター勲章をめぐる動きは、ちょっと原始的な慣習にも思える、若干の適当さ漂わせていて面白い。それが時代を経て、イギリスの関わる世界がヨーロッパ外にも広がって行くにつれ、そのいささか矛盾をはらんだ慣例と国際社会に、どのように折り合いをつけていくかのルールが細かくなっていく。歴代国王によってその運用にはばらつきがあるのだけれど、非キリスト教徒や女性への授与は明らかに避けていた時期があるのがあからさま、あるいは透けて見えたり。ガーター勲章を授与された者が戦争でイギリスの敵味方、特に敵となった場合の扱いが露骨だなあとは思ったけど、そこはイギリスの都合であって、私が口を挟むものではないので、「ほええ、なるほどなるほど」ということで。

    時代が下るほど資料が多く残っているので、緻密に追えるのはありがたいが、ちょっと疲れるかもしれない。それでも、イギリスおよびヨーロッパ、非ヨーロッパ世界との関わりを1冊でさくっと読めるし、外交史巻末の「外国君主のガーター勲章受章者一覧表」「近現代イギリス歴代君主が授与された外国からの勲章一覧」はお得じゃないかと思う。

  • 女王陛下のブルーリボン ガーター勲章とイギリス外交
    君塚直隆 著者
    NTT出版㈱ 発行
    2004年6月20日 初版第一刷発行
    ISBN4-7571-4073-8

    君塚直隆
    1967年東京生まれ。神奈川県立外語短期大学助教授。上智大学大学院史学専攻博士後期課程修了。博士(史学)。専攻:近現代イギリス政治外交史。
    『パクス・ブリタニカのイギリス外交』(有斐閣)、『女王陛下の影法師』(筑摩書房)、『ヴィクトリア女王』(中公新書)、『女王陛下の外交戦略』(講談社)などがある。

    はじめに
    第1章 「ブルーリボン」の誕生
    1.ガーター勲章とは
    2.中世・近世のブルーリボン外交

    第2章 ヴィクトリア女王のガーター外交 帝国拡大のなかで
    1.大英帝国の女王への道
    2.謹厳にして老獪 女王のブルーリボン外交
    3.異教徒への叙勲とスター・オブ・インディア勲章の制定

    第3章 エドワード七世と東方の君主たち 柔軟性を示したブルーリボン外交
    1.宮廷騒動となったシャーへの「ブルーリボン」
    2.ミカドと「ブルーリボン」 日英同盟と日露戦争
    3.涙をのんだチュラーロンコーン大王

    第4章 ジョージ五世の苦悩 いとこたちの戦争と日英同盟の消滅
    1.第一次世界大戦とカイザーのバナー撤去
    2.ヒロヒトへの「ブルーリボン」

    第5章 ジョージ六世とベネルクスの君主たち
    1.オランダ女王の「ブルーリボン」
    2.ベルギー国王のバナーのゆくえ

    第6章 現代に息づくガーター外交 エリザベス2世とガーター勲章
    1.リリベットの「ブルーリボン」
    2.復活したヒロヒトのバナー

    補論 貴族の国の勲章制度
    1.ジェントリとは
    2.ガーター以外の勲章
    3.消えてしまった勲章


    おわりに
    近現代イギリス君主が授与された外国からの勲章一覧
    外国君主のガーター勲章受章者一覧
    索引


    「はじめに」の後、「補論」から読み始める。

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著者プロフィール

君塚 直隆(きみづか・なおたか):1967年、東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒業。英国オックスフォード大学セント・アントニーズ・コレッジ留学。上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程修了。博士(史学)。専攻はイギリス政治外交史、ヨーロッパ国際政治史。現在、関東学院大学国際文化学部教授。著書に『ヴィクトリア女王』『立憲君主制の現在』『ヨーロッパ近代史』『エリザベス女王』『女王陛下の影法師』『貴族とは何か』など多数。

「2024年 『君主制とはなんだろうか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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