小児がん外科医 - 君たちが教えてくれたこと (中公文庫 ま 45-1)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122058941

感想・レビュー・書評

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  • この本に出会えてよかったなと心から思えることは少ないと思うが、私の短い人生の中で間違いなく、そう思えた本のうちのひとつである。
    命に対する向き合い方、それは死に対する向き合い方と同義であるのかもしれないと思った。
    これを考えることをやめてしまうことは簡単である。まして自分や周りの人間など、身近に死や生が実感として存在していない場合、考えようと思うことすらないかもしれない。
    けれど、本書の中に出てくる私よりもずっと小さい子供たちと、その家族は、徹底的にこの試練、難関を突きつけられて、それを自分たちなりに乗り越えていこうとしなくてはならなかった。その苦悶する姿、そして自分達の答えを見つけた姿はかなり感慨深く思われ、読んでいる最中何度も目に涙が浮かんだ。
    そして、この家族と子供たちとともに、その一員となって一緒に苦しみ、一緒に考えて道を示し、一緒に幸せを共有する。そんな「小児がん外科医」という職業は本当に苛酷ながらも、素敵な職業であるなと思った。医師とはこうあるべきなのだろう。見習いたいと強く思った。
    筆者の意図からも、一人の読者としても、この本が世の中の様々な人々の手に渡り、読まれて継がれていくことを強く願う。

  • 人間の業に触れる仕事こそ、他の何によっても代替できない。

著者プロフィール

1961年、東京都生まれ。87年、千葉大学医学部を卒業し、小児外科医となる。
2006年より、「松永クリニック小児科・小児外科」院長。13年、『運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語』(小学館)で第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞。19年、『発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』で第8回日本医学ジャーナリスト協会賞・大賞を受賞。
著書に『小児がん外科医 君たちが教えてくれたこと』(中公文庫)、『呼吸器の子』(現代書館)、『いのちは輝く わが子の障害を受け入れるとき』(中央公論新社)、『小児科医が伝える オンリーワンの花を咲かせる子育て』(文藝春秋)、『発達障害 最初の一歩』(中央公論新社)などがある。 

「2020年 『どんじり医』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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