アンダスタンド・メイビー (下) (中公文庫)

  • 中央公論新社 (2014年1月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784122058965

作品紹介・あらすじ

故郷でのおぞましい体験から逃れるように、黒江は憧れのカメラマンが住む東京へ向かった。師匠の家に住み込みながらアシスタントとして一歩を踏み出すが、不意によみがえる過去の記憶。それは、再び心を通わせはじめた初恋の相手・彌生との関係にも、暗い影を落とし出す-。

みんなの感想まとめ

テーマは、過去のトラウマと向き合いながら成長する主人公の姿です。物語は、黒江が憧れのカメラマンのアシスタントとして新たな一歩を踏み出す中で、過去の記憶に苦しむ様子を描いています。前半では、未熟さと真っ...

感想・レビュー・書評

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  • 上下合わせて力が落ちなかったですね。
    前半のほうがある意味では、未熟だけど真っ直ぐさがあって、好感持てたけど…
    十代半ばにありがちな流され方もしていました。

    下巻は二年半後。
    今は憧れの写真家の助手に見事なって、家事や現像など何くれとなく世話をし、がんばって働いている20前後の女性。
    もっとも、ほめられるのは料理だけ。
    個人で撮った写真は評価されず、写真の指導はそれほどして貰っているわけではない。

    おいおい、それはやめとけ、という所も。
    男性遍歴の成り行きには、それなりの意味が。
    過去の小さな出来事のようであったことも、本人もわからないでいたことを少しずつ確認していく…

    旅立つ方向性があり、過去のこともただ放り捨てていくのではないあたりが良かったです。
    事件性も含めて、広がりを持った作品でした。

  • 上巻に比べ、重さ控えめ。下巻は喪失と再生。黒江にとって彼が神様として崇める気持ちは私自身もよくわかる。恋愛をして付き合うという事が全てではなく、離れていても大切に思うという気持ちも大切だろう。宗教団体が絡むと人間と言うのはどうしてあんなにも破滅をしてしまうのか。黒江は彌生君という存在が居たから生きてこれたのだろう。そして、仁さんの存在も大きかった。『どうか私だけの神様になって。私を許して。』という言葉に込められた思いがグッとくる。超無糖な恋愛小説だが自分と重なる恋愛観で客観的に自分自身を見た気もする。

  • いやぁ。下巻も重い。
    彌生くんに対して身勝手すぎる。
    彼に「神様」を求めるのは酷だよなぁ。
    後半は黒江がどんどん歪になっていって、仕方ないよねそれだけしんどい思いしたものね、と思う気持ちとそれはないよーという反する気持ちで、読んでいて忙しい。
    救いは羽場先輩が幸せになっていたこと。

  • 「どうか私だけの神様になって」この言葉に集約されていると思った。

    男性側からは見えない女心の内面が見える。
    気づかされることも多々あったけど、なぜこの判断になるのか理解しがたいことも多々あった。

    どんどん読み進んで一気に読んだけど、主人公に感情移入できなかった。
    解説で村山由佳さんが書いているように、この小説はおそらく、読む人を選ぶと思う。

  • 荒んでいた環境から離れ、見守り支えてくれる人が残り、過去が分かり始めながら、段々色々なことに踏ん切りがつく流れが良くて、最後が心地良い。

  • 上巻は、主人公黒江の行動にハラハラさせられた。
    「その人に着いて行ってはダメ」、「どうしてそんな風に考えるの?」そう黒江に聞きたくなってばっかりだった。
    しかし、10代の私だったらこんな行動に出たかもと思う場面も多々あった。
    不器用だから、彌生くんに対しても伝えたいことを伝えられない。
    黒江本人は、彌生くんに伝えなくても、言葉にしなくても私の神様なんだから分かって、って思ってたのかもしれない。
    下巻で、出てくる、仁さんには私自身も読みながら救われた。
    黒江を突き放しはせず、でも、全面的に保護はしない。
    それでも、黒江が傷ついている時はそっとそばにいる。
    そんな黒江と仁さんの関係性がとても羨ましかった。

    「この小説は読み手を選ぶ」まさにその通りだ。
    黒江が脈絡のない行動に出るので、共感の差は読み手の経験にとても左右される小説だと思った。

  • どんなに理解して欲しても、決して男の人に言葉で伝えられないし、わかってもらえない事。それが書かれています。

    他の人が何を考えているのか、全然わからなくて、何を信じたらいいのかもわからなくて、でも、あれの間だけは、確実に自分が必要とされているのがわかるから、そして、嫌われるのが怖いから、余程無理じゃなければ、人形になっているしかないとか、決して、男の人には理解出来ない、と思います。

    でも、大した事じゃない、という事にしたいからするだけで、本当は、ただ一人の人に愛されて、とても大切にされたいだけなのにね。

    そのくせ、本当は、酷い事を言いたくなんて無いのに、大切な人を傷つけずにはいられなかったり。

    自分だけの神様が欲しかった、黒江と聖良が、すごくよくわかります。

  • こういう、救いのない本に私は救われる。
    どこかで絶望を抱えたまま生きてる人もいて、
    助けてほしいと思いつつも助けてもらえない
    私を許してくれる、私だけの神様が欲しい

  • 15才から20才までの藤枝黒江の物語。
    自分に無関心の母親との2人暮らし 黒江自身も同性の友達と壁を作り人間関係は希薄だ。
    思春期を迎え 歪んだ性的関係を繰り返す。
    そっちに行ったらダメだよと何度も思ったけど 嫌われたくない一心で すがるように 選んだ行き先は不幸のオンパレード。 でもそんな彼女の周りにも
    彼女を見捨てない人がいる。読んでいて 彼女の行動に憂うつになりましたが ほんの一筋の光のような写真家の存在が救いでした。 上下巻 4分の3くらい ツライですけど 最後まで読んでよかった

  • ナラタージュの時も感じたけど、私は島本理生さんの描き方が凄く好きです。アンダスタンド・メイビーは読む人を選ぶと言う人もいるけれど、そうかな?この人を理解できない人は本当に本が好きな人なのかな?と思うくらい。
    人間は完璧な人なんていない。とても素晴らしい作品に出会えたことに感謝します。

  • 上下巻合わせた感想。
    本作品は過去の自分自身の傷から自覚なしに目を背けてきたひとりの少女が現在の自己人格の形成過程と向き合って旅立つ作品。歪んだ愛を受けて育ってしまったから相手に対して真っ当で表面的な愛を求めてしまうのも仕方がないのかなと思った。主人公からしたら目に見える綺麗なモノが正しくて、それ以外は何もかもが信じられない。彼女は親から与えてもらうべき愛情が欠如しており、ずっと子供のまま肉体だけが大きくなっていってしまったのかな。
    つらいなぁ。もし自分が黒江の立場だったらおかしくなって死んでるな。いや黒江も実際死のうとしてたけど。
    浦賀の存在だけが彼女の心の支えで、逆もまた然り。お互いがお互いの存在によって救われる。本来親がなるべき心の支えを浦賀が担った事によって黒江は自身の過去と向き合うことができた。全てを壊してしまった黒江にもまだ浦賀という存在が残っていて、だからこそ彼女には彼との関係性を大事にして生きていってほしい。
    浦賀から彌生への手紙に痺れました。
    島本理生先生の作品をしばらく読み漁っているのですが、その中でも印象的な一冊。

  • 上巻を読んでみると続きが気になって、一気に読んでしまった。
    島本理生さんの作品はどれも複雑な少女や女性の気持ちが描かれている。今回もかなり繊細でくらい過去を持つ少女の生きていく必死さや孤独さ、そしてそれらを周囲の人に支えられていくことで乗り越えていく様子に、読みながらしんどくなるくらいのめり込んでいってしまった。

  • 彌生くんを受け入れない理由が明らかに・・・。

  • もっと早く読むべきだったと思い、読了後には今だから胸にささったとも思った。中学生、高校生時代の黒江はなんでそっち!?とドンドン危ない方へ進んでいく様に心配しました。正直感想を言うには、すごい重いテーマな作品で、それは受け入れたくないから自棄になるし、でもまとわりつく。どうやって向き合うのが良いのか分からない。
    神様というのはすごい共感しました。誰かに許してほしいという気持ちはあります。
    登場人物全員が色々な気持ちを抱えていることが伝わってきました。
    誰の立場にたって読むかで、感想がすごいわかれそうです。

  • 黒江、その選択はダメだよ!と、なんど声に出しそうになっただろう。読み飛ばしたくなるくらい痛々しい。
    主人公の少女・黒江の気持ちのありようも、物事のやり方も、出てくる言葉も、背伸びしようとしてつまずいたような危うさが常にある。幼さ・・・とでもいうのかな。偽成熟、という言葉が出てきたとき、ああその通りだな、と思った。(黒江をそういうふうに表現して書いてきたんだから当然だけど。)その危うさにハラハラしどおしだった。

    男女の間をとりもつのは気持ちなのか、行為なのか。必要にされたいと願うとき、求められたことを鵜呑みするのが正しいのか。救われる人がいるなら、どんな行為も許されるのか。
    いろいろな問題提起が含まれているように感じる。作者なりの答えが出ている問いもあれば、そうでないものもある。登場人物が皆、周りにいないような人ばかりだったので、登場人物よりも書き手の考えに寄り添いながら読んでいたような、と後から思った。

    仁さんと黒江の写真、どんなんだろうな。それを想像するのも、また読み味。

  • 下巻、後半からの巻き返しが目まぐるしい。
    ぼんやりとしていた部分を伏線回収している面もあれば、想像にお任せの箇所もあり。

    依存症気味な主人公だからこそ、周囲からの必要欲に敏感で、
    でもすぐに傷ついてしまう彼女を見守るのは、思ったより嫌じゃなかった。
    作者の表現力が凄まじいのだと思う。

  • 筑波に住む中学3年の母子家庭で育った黒江の二十歳になるまでの壮絶な人生。ある日書店で目にした写真集に心奪われ、カメラマンになるという夢を抱く。そんな中、東京からきた転校生の彌生に出会い…。読み進める度に心を切り裂かれるような事件が…。

  • もう一回読んだら結末変わらないかな と思いながら、下巻を何度も読みました。
    黒江さん、彌生くん、仁さん みんな幸せになってほしい。
    その後が読みたいです。

  • 上巻は本当に切なくて苦しくて、なんで?と思うところもたくさんあった。なんで、なんでそんなに不幸の匂いがする方にばかりいくの?と。
    下巻で黒江がなぜそんな生き方しかできないのかが明かされていきますが、ほとんどは上巻と同じような思いで読んでいました(笑)
    ただ、上巻(地元)と違うのは仁さんがいるということとやりたかったことに突き進んでいること。
    その2点が黒江を支えていたと思う。
    どんなにダメな方向に進んでも、見守り支えてくれる。
    ただそこにいてくれる、在るということ。
    現代の宗教の問題にも問いかけるような物語。
    正直上巻を読んでいる時は最後に泣かされるとは思っていませんでした。弥生くんはやっぱり神様だったかも。
    最後は切なくて苦しくてむず痒い想いを、明るく溶かしてくれました。

  • なんとなく書棚から手に取ったが、意外に面白い

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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