御子柴くんの甘味と捜査 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 522
レビュー : 82
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122059603

作品紹介・あらすじ

長野県警から警視庁捜査共助課へ出向した御子柴刑事。甘党の上司や同僚からなにかしらスイーツを要求されるが、日々起こる事件は、ビターなものばかり。上田市の山中で不審死体が発見されると身元を探り(「哀愁のくるみ餅事件」)、軽井沢の教会で逃亡犯を待ち受ける(「不審なプリン事件」)。『プレゼント』に登場した御子柴くんが主役の、文庫オリジナル短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 長野県警から警視庁に出向している御子柴刑事。甘党の上司や同僚からなにかしらスイーツを要求されるけど、日々起きる事件はビターなものばかりで…

    また若竹ブームが来た(笑)短編集なので読みやすい。御子柴君を長野と呼ぶスイーツ好きの玉森が、葉村シリーズの富山店長みたいだった(^^;)でも、店長よりはまだいい人だけど。出てきたスイーツが気になってしまった。あと『静かな炎天』に出てきた角田港大先生の名前が出てきてビックリ。

  • 短編集でした。読み終わりに「流行りのスイーツ」ではなく、地元に密着した銘菓が食べたくなります。例えばひよことか、鳩サブレとか。作品中には出てきませんが笑 きっと御子柴くんはかなり優秀な刑事さんなはず。取り巻く人がイマイチだったり、甘味調達人としてしか見ていなかったりして埋もれてる気がします。それでも彼のような存在はとても貴重で読んでいて応援したくなるキャラでした。玉森さんは最後にかっこいい。安楽椅子探偵よろしく最後の最後に全部持ってく小林警部補も魅力的。続編読みたいですし、ドラマ化しても面白そうです♪

  • 「プレゼント」に登場した小林警部補と御子柴くんが活躍する短編ミステリ集。さまざまな甘味が絡んできて、いろいろと気になってしまいます。ユーモラスでほんわかした読み心地ではあるのだけれど、やはり若竹さんの作品なので。ちくりと辛辣な部分もあるのが魅力的。
    お気に入りは「忘れじの信州味噌ピッツァ事件」。奇想天外な事件なのに、どこかしらコミカル。そして「信州味噌ピッツァ」がものすごく気になる……。

  • 両親の出身が長野で毎年夏には帰省していたため、エセ長野県民を自称しています。好きな作家さんが思い入れのある場所を取り上げてくれる。こんな嬉しいことはございません。しかも葉山晶が初登場した初期の短編集「プレゼント」の脇役が主人公。懐かしさもこみあげてきます。
    事件そのものはやはり楽しくはありません。問題を抱えた身内を切り捨てる家族に、どこまでも利己的な理由で罪を重ねる人々。ニュースで聞いたら一言暴言を吐き捨てたくなるようなケースばかりです。そこを鋭いユーモアとパシリ体質の御子柴くんのキャラクターが和らげてくれる。徐々に仕事面でも人間的にも成長してるんですね。またグルメの噛ませ方がよいです。御子柴くん本人がそれほど甘いもの好きなわけではないので、食べ物の名前がたくさん出てくるけどくどい説明にならない。これくらいの方が興味わきます。
    本当の信州人には起こられるかもしれないけれど、長野の描写には「そうそう!」と頷き。いやそこは甘精堂でしょ!と拳を握り。知ってる場所が出てくると読書の楽しみ三割増。

  • 長野県警から、上野の警視庁捜査共助課へ出向中の御子柴将(みこしば すすむ)くん推定30代前半。
    共助課というのは、他県と東京がらみの事件(意外に多い)の捜査がうまくいくよう、お国から遣わされた橋渡し役、時代小説好きの同僚は「江戸お留守居役」と言うが、全くその通りだ。
    接待と贈答用菓子の使いどころが上手くないと務まらない。
    …というか、ちゃんとした警察ものミステリなんですが、恐るべき甘党の捜査一課主任の玉森や、長野県警にいる、御子柴の元相棒であり上司であった小林警部補など、個性的キャラとの絡みが実にコミカル。
    でも、御子柴くんの立場を考えるとちょっと同情、そして、おいしそうな銘菓の類が出てくるたびにウェブで検索してしまい、たびたび読書が中断してしまう…という連作短編集だ。
    御子柴くんはもともとは東京の出身だが、山岳遭難救助隊に入りたくて長野県警に入った。
    ある事故で膝を痛めてその夢はついえたが…
    無駄に引っ張ることなく、事件がらみで明かされてすっきり。

    『哀愁のくるみ餅事件』
    『根こそぎの酒饅頭事件』
    『不審なプリン事件』
    『忘れじの信州味噌ピッツァ事件』
    『謀略のあめせんべい事件』

  • 久しぶりの再読。
    『プレゼント』に登場した御子柴くんが主役。小林警部補と組んでいた時とは違い、警視庁と長野県警とを繋ぐ政治的な役割を担わされていて、そのためにあちこちからスイーツを手配させられて、本来の捜査以外のお仕事に振り回されている。
    それでも毎回登場するスイーツは美味しそう。
    最終的には元上司の小林警部補が探偵役となって御子柴君に真相を指南。小林警部補らしく謙虚にさりげなくではあるけれど、それで真相が明かされるのだからやっぱり小林警部補って名探偵。
    元々は小林警部補を主役をする作品を依頼されたそうだが、若い御子柴くんを主役にしてくれたおかげで彼のキャラクターも明らかになったし、これはこれで面白かった。
    最近シリーズ新作も出たようなので、そのうちに読んでみたい。

  •  『御子柴くんと遠距離バディ』の前作に当たる、シリーズ第1作である。第2作を先に読んだために、インパクトはやや弱いかもしれない。しかし、彼はやっぱり葉村晶と同じく、トラブルを吸い寄せ、頼まれると断れないのであった。

     東京出身にして、長野県警に入ったが、警視庁に出向中の御子柴くん。「甘味と捜査」だけに、全5編のタイトルに甘味が入っているが、事件そのものにはあまり関係ない。しかも、御子柴くん自身はほとんど味わえないという…。

     「哀愁のくるみ餅事件」。上田市で見つかった盗難車から発見された、死体の素性とは。支障がない程度に書くと、家族って難しいねえ。血が繋がっているからこそ、難しい。正直、気持ちはわかるし、正解があるなら教えてほしい。

     「根こそぎの酒饅頭事件」。一言で言ってしまえば、人間の飽くなき欲望か。ここまで巧妙ではないにしろ、現実にもこういう事件は聞く。どうして危険な橋を渡るのか。結局は、需要と供給、すなわち市場原理で成り立っている。

     「不審なプリン事件」。結婚式会場に現れたのは…。これもまた、家族の難しさかな。決して笑えない話だが、こんなネタを重く感じさせずに読ませるのは、若竹流ミステリならでは。そして、葉村晶的作品世界のおかげ。

     「忘れじの信州味噌ピッツァ事件」。こういう事例も実際に聞くが、ここまで警察を煙に巻いた例はあるまい。おそらく、天才ではなく単に天然なのだろう。こんな巨大疑惑を短編にしてしまう若竹さん、あなたってお人は…。

     最後はやや長い「謀略のあめせんべい事件」。失態を犯した御子柴くん。そのために、こんなに長引くとは。呆れるほどタフな奴だ。『相棒』を彷彿とさせる複雑な構図にも関わらず、この結末は、らしいというか何というか…。

     各編とも十分すぎるほど詰め込んでいるのだが、『御子柴くんと遠距離バディ』と比較すると、物足りなく感じてしまう。あなたがもし2作とも未読ならば、刊行順に読んだ方がよいだろう。御子柴くんの再登場はあるだろうか。

  • いろいろ出てくる名産スイーツに気をとられてだまされそうになるけれど、これはなかなかにビターなお話し揃い。

    「自薦Theどんでん返し2」に収録されていた「忘れじの信州味噌ピッツァ事件」がやはり面白く、一篇目の「哀愁のくるみ餅事件」もミステリ的なうまさが光る。最後の「謀略のあめせんべい事件」だけはすっきりしなくてちょっと不満。

  • 「プレゼント」の小林舜太郎警部補が登場する短編のなかで
    ちょこっと顔を覗かせていた後輩刑事御子柴くん。今度はその彼が
    主役となって事件捜査に挑むこちらも短編の連作集です。

    御子柴くんは、長野県警から警視庁捜査共助課へと出向になり
    任務を遂行していくのですが、仕事とは全く関係のない上司からの
    厚かましい要求にどうにも嫌とは言えず、嫌々ながらも結局
    なんでも受けてしまうという気のいい人というのか玉にキズというかで....。

    長野名産の甘味どころのお菓子がいろいろ♪
    本当にあるお菓子のようですね。
    巡り合ってみたいです。

    小林舜太郎警部補も
    安楽椅子探偵よろしく登場します。

    御子柴くんはこんなに人がいいところがありながら
    捜査ではぐいっと鋭く突っ込む一面も。

  • 長野県警から東京の警視庁へ出向した御子柴刑事。
    長野と東京の上司や同僚に地元スイーツをそれぞれ要求され、両者の調整のために四苦八苦しながら贈答に励む日々。
    東京と長野で起きた事件を、元上司の小林警部補に助けられながら解決していく。

    短編集『プレゼント』で登場した御子柴刑事が主人公で、小林警部補が脇役の短編ミステリ。

    取り組む事件は尊属殺人だったり恨みゆえの犯行だったりして結構ヘビーなのですが、出てくる長野銘菓がどれも美味しそうで、読みながらヨダレが出てきました。
    お菓子は事件に関係ないのですが、気分がほっこりするいいアクセントとなっています。

    御子柴刑事は最初は頼りない印象でしたが、出向で苦労しているせいかだんだん頼もしくなってきて成長度合が楽しめました。

    私も出向経験があるので、それぞれ出向先と出向元に気を使う大変さがよくわかります!
    御子柴刑事はすごく頑張っていると思うので、応援したいです。

    続編があったらまた読みたいと思います。

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著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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