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Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784122059696
作品紹介・あらすじ
赤線地帯の疲労が心と身体に降り積もり、街から抜け出せなくなる繊細な神経の女たち。「赤線の娼婦」を描いた全十篇に自作に関するエッセイを加えた決定版。
みんなの感想まとめ
テーマは、戦後日本の娼婦を描いた短編小説集であり、吉行淳之介の独自の視点と表現が際立っています。作品は、当時の女性の扱いや社会的背景を反映しつつ、愛情や理解を持って娼婦たちの生活を掘り下げています。特...
感想・レビュー・書評
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ネットで調べてもなかなか出てこないこの時代の日本のことが知りたくて読む。わかっていたはずなのに、やっぱり私は現代的な感覚が捨てられないのか、度々女性の扱い・捉え方に嫌悪感を抱いてしまった。そうは言っても、吉行淳之介氏は好きな娼婦の方がいたんだろうなということはわかるけども。愛も感じるけども。まあ、そもそもの目的はそこそこ達成。
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1951(昭和26)年から1964(昭和39)年に書かれた、吉行淳之介の「娼婦」を巡る作品を集めた短編小説集。
このところ永井荷風を読みまくって、花柳小説を得意とした荷風が『墨東奇譚』(1937)で玉の井の私娼を、戦後の幾つかの短編では街娼となった若い女性たちを生き生きと描いたのを振り返って、そう言えば戦後の作家で娼婦ものをよく書いた作家がいた。と吉行淳之介を思い出した。高校生時代に新潮文庫の吉行作品を3冊くらい読んだが、もちろん当時は娼婦なんてものに私は縁が無く、理解できなかったのではないだろうか。本書に含まれる「原色の街」など幾つかは既読のはずだがほとんど記憶に無い。
吉行淳之介は自分を、そして自らの小説を鍛えるために娼家に通ったらしい。そこで娼婦たちを観察し、会話の中で掘り下げ、総合的に理解しようと努めたもののようだ。
「原色の街」は昭和26年の第1稿が収録されているが、この頃は荷風の作品も幾つか出た頃合いである。荷風とはやはり、全然違う。その違いが面白い。
吉行淳之介の小説は、ラディゲのような心理小説(三島由紀夫がやたらと猿真似していたアレ)の書き方に近いが、いわゆる心理なるものに加えて、女性の身体感覚や性感が同時に詳細に描き込まれる。そこはもちろん「推理」して書いたのだろう。女性から見て妥当な描写たり得ているかどうかは分からない。しかし、もっと後年になると、山田詠美さんなど沢山の女性作家たちが、赤裸々な性描写を打ち出すようになったので、この時点から振り返って判断されることになるだろう。
通読してみると、しばしば抽象的・観念的にもなりがちな内面描写が気になり、そこはやはり荷風とは全く異なる時代の、文学としての新たな冒険の方向性を示しているのかもしれないが、最終的に結実するポエジーとして、文学芸術にとってはもう少し精華が足りないような気がした。
果敢に道を切り開いたという意味で、吉行淳之介の小説世界は歴史的には価値があるのだろう、とは理解する。 -
芥川賞作家吉行淳之介の娼婦小説10作品が収められている。吉行淳之介は、NHKの連続テレビ小説「あぐり」の主人公、吉行あぐりの息子としても知られている。
写実的ともまた違うのだが、なんともいえない文学的な表現で、こんこんと訴えかけてくる。しかも舞台は今はなき「赤線地帯」、もう感じることのできない文化、歴史、雰囲気が伺える。古典ではないが、現代的な軽いエンタメからは遠く離れた良質な文学を読んでいる気分にさせてくれる。心の機微を表現する語彙力がものすごく、読めない漢字もあった。
芥川賞受賞作の「驟雨」に加え、冒頭の「原色の街」が特に良い。 -
赤線地帯が無くなる以前に書いた作品集。ある脱出では客と娼婦の結婚が描かれ、髭がファッションではなくだらしなさと思われてた時代もわかる。何より娼婦が足を洗ってもまた赤線地帯に戻る力学を観察し描いていたのは面白い。
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赤線の娼婦に纏わる10編。やはり娼婦を描くときは身の裡から湧き上がるような何かがないと胡散臭く感じてしまう。どれもあくまで観察者視点だなあとしみじみ嫌な感じがしたものの、「手毬」と「香水瓶」だけは素晴らしかった。
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