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Amazon.co.jp ・本 (560ページ) / ISBN・EAN: 9784122059771
みんなの感想まとめ
激動の時代における一人の指導者の視点が描かれた回顧録であり、戦争の推移や占領政策に関する洞察が豊富に含まれています。著者は、アメリカ側から見た戦争の実態や、戦争を統率する将軍としてのメンタリティを繊細...
感想・レビュー・書評
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マ元帥の回顧録。あわよくば大統領を狙っていたわけで、ガリア戦記のような自己喧伝を兼ねた書ではあるが、著者がカエサルでないので明晰性に欠ける。「史上例を見ない」というフレーズを連発し、やたらに自分の評判を気にして新聞記事を引用している。特にフィリピンで煮え湯を飲まされた山下奉文と本間雅晴の裁判記録は、本人もデリケートな問題だと感じたのか「勝者によってこれほど公正な裁判がなされたことはかつてなかった」などと連呼してはいるが、畢竟私怨で抹殺したに過ぎない。そうは言っても激動の時代の当事者の記録なので、それなり以上に興味深い。文民統制すら失った日本人よりよほど有能。
「日本で起こったことは、憲法上の変革や経済的復興だけでなく、同時に精神的復興でもあった」という下りがなかなか荒唐無稽な考察で面白い。現人神が君臨する大日本帝國の集団無責任体制などアメリカ人に理解出来る筈もなく、「古代スパルタに近い」などとも評されている(12歳のこどもとは言ってない)。当の日本人がよくわからないのだから仕方ない。
「第一次大戦でレインボー師団を率いてドイツのライン川の西岸で軍事占領に従事した際、私は軍事占領の基本的な弱点とみられるものを現場で目撃した。その弱点とは、(中略)権力という病気が次第に占領軍部隊に染み込み、占領することはある種の人種的優越を示すものであるかのような有害な錯覚が兵士たちの間に生まれるにつれ、占領軍自体も次第に堕落してしまうことなどであった。」とか言ってて、その反省を踏まえてたから自分たちは同じ轍を踏まなかったと言ってんだけど、なら例えば大森区中村病院の集団強姦殺人はなぜ起きたんですかねぇ、不思議ですねぇ。 -
この本は幾つかの点で非常に興味深い。
1、アメリカ側から見た戦争の推移
大本営発表は日本人にとってトラウマみたいなものだが、それに信憑性を持たせる程度にはアメリカも脅威に感じていたろうことが特に前半で分かる。
幾らかの真実があれば、うかつな推論を人間はするものだ。
2、世界規模の戦争を統率する将軍のメンタリティ
意外なほどにセンチメンタルなところがあったり、他者の評価を気にしているところなど、デリケートな感じを受ける。
それはマッカーサー個人が繊細、というよりも戦争という過大な負荷がマッカーサーにそうさせていると考えるほうがしっくりくる。多数の人命を扱うことが、個人の資格においてできるのは異常なことなのだ。
おそらくこの回顧録を書かなくてはいけなかったのもそのような事情だろう。
3、日本占領の流れ
多種多様な勢力が占領政策に関わった。マッカーサー個人も当惑しながらも精一杯職務を全うしようとした。もはや今ある日本は誰かの責任へと帰されるものでもない。 -
敗戦国であり、被爆国であり、民主主義化した日本。
占領は侵略であり、洗脳でもあるといった捉え方で、
戦後の70年を生きてきた人だっていることだろう。
回顧録に詳細に書き込まれたマッカーサーの記録の、
すべてが事実で、どれもが本心かどうかは証明不能。
それでも彼の思想と事実とが一致するところは多い。
歴史を解釈するのに一点主義を用いることはできず、
またしてもならないものだが、もっとも中心にあり、
多くのことに関与した彼の手記は一読銘記に値する。
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