幸せの条件 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 138
  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122061538

作品紹介・あらすじ

恋も仕事も中途半端、片山製作所勤務の「役立たずOL」梢恵に、ある日まさかの社命が下された-単身長野に赴き、新燃料・バイオエタノール用のコメを作れる農家を探してこい。行く先々で断られ、なりゆきで農業見習いを始めた24歳に勝算はあるか!?働くこと、生きることの意味を問う、『ジウ』シリーズ著者による新境地。

感想・レビュー・書評

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  • 著者が、リサイクルライフに興味を持ったのが、この作品を書く動機だとか。
    さらに、3.11の震災と原発事故が、著者の背中を押したそうだ。
    減反、高齢化、待ったなしの農業問題に焦点を当て、その魅力(もちろん過酷な条件は都会に比べるべくもないが)や必要性を描いた一方で、食料自給率についての政府のまやかしを、登場人物に批判させている。
    そして、福島第一原発は、東京電力の施設であり、関東の人がその恩恵を享受しているのに、被害を受け農地を奪われたのは東北の人々だと、訴える。

    「農業小説」ともいえるこの系譜には、テレビドラマにもなった『限界集落株式会社』(黒田伸一著)や、主人公の青年が、米つくりに出会い成長していく『生きるぼくら』(原田マハ著)などがある。
    題名とも関連するが、いずれも都会で自らの立場を見出せない者たちが、農村で生きる意味を見つけるサクセスストーリー。
    「あなたが会社に必要とされていないのではなく、あなたにこの会社が必要ではないのだ。あなたのいるべき場所は他にあるはずだ。」―登場人物の言葉。
    もっと、広く読まれるべき作品の一つといえよう。

  • 再読で一気読み。やはり、面白い。農業を舞台にここまで微笑ましかったり、泣けたり、社会問題を考えられたり。農業の知識、取材がしっかりなされているから、時事の原発まで取り込み、見事な取り込みかた。仕事をする、必要とされるのではなく、自分自身で見極めることが大事。自分はこうやっていきていくんだを見つけられる、そしたら死ぬ気で守り抜くのが大事。ハッとした。登場人物が良い、チームで声を出して、集中していく気持ちよさ、ご飯の美味しさ、忙しさと爽快さ。恋愛要素もほとんど爽やかなのに、惹き付けられる名著。

  • 誉田さんの、ミステリー以外の本は
    実は初めて読みました

    最高だった!

    農家にバイオエタノールの機械売るために
    見習いに出る女子の物語

    農業やりたくなる
    っていうかこんなあったかい家族に出会いたくなる
    素敵

  • ふーむ。ホントに 誉田哲也の本だろうか
    と思いながら 読み進めていった。
    環境問題。そして、バイオエタノール。
    楡周平のゼフィラムをよんだところだったので、
    問題意識は つながった。

    オコメを バイオエタノールにする という。
    食糧を バイオエタノールにするというところに
    かなりの抵抗感がありながらも
    主人公が 徐々に成長していく姿が なんとも言えない良さがある。
    ひょっとしたら、なんにも取り柄がなく、目的もなく
    彼にも捨てられる存在だった 主人公 梢恵が 
    存在をみとめられるようになっていくことで、
    自分の居場所を探す。

    何よりも 福島と言う事件が 一回り大きくする。
    コメだけでなく、炭水化物すべてが、バイオエタノールになるのだ。
    コメを狙うのでなく 竹だったら ちょっとつまらなくなるのか。

    ふーむ。
    爽やかな中にも なぜか 気になる一抹の不安。
    物語と現実のギャップに 何かが違うんだよねと思いながら
    物語にしている 誉田哲也の鮮やかさ。

  • 「周りが食いっぱぐれても、俺たちは食いっぱぐれねえ」

    農家さんは、生きるための「食」にもっとも近く、農家さんたちのお陰。手塩にかけて一年中忙しいということがテンポ良い展開からも分かるし、有り難く食事しよう、と思える。

    でも、後継者問題…。農家さんはあくまで、食べるための作物を作っている。

    自給自足、やってみたいと思いながらも大変さを想像し、私は有り難くスーパーで買わせて頂こうと思う。

  • 読みやすい。

    ミスチル桜井くんの、何かのインタビューに共感して
    自分なりに、仕事を愛し、すると愛される、と肉にした記憶がある。
    そこらへんの思い新たにしてくれる感じが、とても良い

  • サスペンス、ハードボイルド以外でも、という一冊ですね。
    ほっこり、でも問題意識もあって、いつもの作風とは大きく違ってこれがこれでいいかな、と思います。
    青春成長小説ですね。

  • 誉田さんの描く女子はいつも魅力的ですね。私は武士道ジェネレーションに出てくる女子の皆さんのファンですけど、彼女たちを連想しました。男子なのに何故こう書けるのでしょうか?一度、女子の声も聞いてみたい(笑)。 他の登場人物もまたイイ!君江さん、朝子ちゃんも魅力的ですねー。 とは言いつつ、考えさせるテーマもあって。最後の社長の片山社長のセリフにもジーン。 穂高村、モデルがあるそうですが、行ってみたくなりました。

  • 2018.4.30読了
    ☆5

    大好きな作品がまた一つ増えた。

    仕事も恋愛もイマイチなOL梢恵が農業と出会い、成長していくお話。

    とてもテンポが良く、まるでドラマを見ているかのようにリアルにイメージしながら読めた。

    ずっと軽いタッチのまま進んでいくのかと思いきや、途中東日本大震災が起こり、梢恵や「あぐもぐ」の人たちも大きな影響を受ける。
    震災の描写は当時の状況を思い起こさせ、目をそらしたくなる部分もあったが、それも作者からの「決して忘れてはいけない」というメッセージだったのだろう。

    また、農業やバイオエタノールについても梢恵と一緒に学んでいる気持ちになり、とても勉強になった。
    食料自給率がカロリーベースで計算されており、カロリーの低い野菜がカウントされていないとは知らなかった。
    食料自給率だけを見て低すぎると騒ぎ立てることが、いかに無意味かということが分かった。

    読後感も良く、みんなにオススメしたくなる作品だった。

  • 誉田哲也 著「幸せの条件」、2012.8刊行、2015.8文庫化、450頁の大作です。瀬野梢恵、24歳が未知の分野、農業を体験しながら、バイオ燃料を作るというテーマですが、梢恵を取り巻く人間模様、そして「3.11」の大震災・津波・原発事故がからみあい、読者に様々な思いを掻き立ててまいります。農業や燃料の自給自足、地産地消、過疎、環境問題、雇用問題、仕事への取り組み方、生きがいなど、現在日本が抱えている諸問題とその解決の重要性を読者に提示した作品と思います!

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著者プロフィール

誉田 哲也(ほんだ てつや)
1969年、東京都生まれの小説家。学習院中・高等科を経て学習院大学経済学部経営学科卒業。卒業後にミュージシャンを目指していたが、椎名林檎の存在で断念。格闘技ライターを経て作家活動に入る。
2002年、『妖(あやかし)の華』でムー伝奇ノベル大賞優秀賞を獲得しデビュー。2003年『アクセス』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。
代表作は、映画化もされた『武士道シックスティーン』に始まる「武士道」シリーズ。姫川玲子シリーズの『ストロベリーナイト』はドラマ化・映画化された。ほか、『ジウ』シリーズ、魚住久江シリーズ『ドルチェ』『ドンナ ビアンカ』や、『ケモノの城』『プラージュ』などがある。

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