食味風々録 (中公文庫 あ 13-6)

著者 :
  • 中央公論新社
3.16
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122061569

作品紹介・あらすじ

生涯最初のチーズの味、向田邦子との美味談義、海軍時代の仲間との旨いものの縁、文士たち贔屓の老舗の鰻、食堂車の思い出…、記憶の中の多彩な料理と交友を綴る、自叙伝的食随筆。巻末に、阿川佐和子との父娘対談「父さんはきっとおいしい」を収録。第五三回読売文学賞(随筆・紀行賞)受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 阿川弘之のエッセイ集『食味風々録(しょくみぶうぶうろく)』を読みました。
    阿川弘之の作品は先月に読んだ『阿川弘之座談集 言葉と礼節』以来ですね。

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    生まれて初めて食べたチーズ、向田邦子との美味談義、海軍時代の食事話など、多彩な料理と交友を綴る、自叙伝的食随筆。
    〈巻末対談〉阿川佐和子
    〈解説〉奥本大三郎
    ------

    2001年(平成13年)に刊行された作品……第53回読売文学賞(随筆・紀行賞)受賞作です。

     ■光の味・カレーの味
     ■ひじきの二度めし
     ■牛の尾のシチュー
     ■ビール雑話
     ■チーズの思い出
     ■鰻
     ■船の食事
     ■まむし紀行
     ■サンドイッチ
     ■ハワイの美味
     ■かいぐん
     ■弁当恋しや
     ■土筆づくし
     ■ブルネイ料理
     ■鯛の潮汁
     ■鮎
     ■卵料理さまざま
     ■茸
     ■福沢諭吉と鰹節
     ■ビフテキとカツレツ
     ■物くるる友
     ■鮨とキャビアの物語
     ■味の素
     ■蟹狂乱
     ■食堂車の思ひ出
     ■甘味談義
     ■置土産
     ■対談 父さんはきっとおいしい(阿川弘之×阿川佐和子)
     ■解説 奥本大三郎

    食べ物の記憶は、これほどまでに思い出を鮮やかに甦らせるものだろうか……生まれて初めて食べたチーズの記憶、向田邦子と美味について語り合ったひととき、志賀直哉、斎藤茂吉など文士と鰻の話、敗戦をともに生き延びた海軍仲間の食事話など、いずれも人々の忘れがたい横顔を伝えるエピソードが心地よい、、、

    同時に、食を媒介とした極上の自叙伝としても堪能できる……巻末に、阿川佐和子との父娘対談「父さんはきっとおいしい」を収録、読売文学賞受賞。

    食にまつわるエピソードを綴った興味深いエッセイ集です……阿川弘之の食べ物に対する美的感覚や拘りが、向田邦子や志賀直哉、斎藤茂吉等との思い出とともに語られており、食べ物を通じて人々の様々な顔を知ることができましたね、、、

    カレーにシチュー、ビール、チーズ、鰻、カツレツ、鮨、甘味 等々、おいしそうなものばかりが紹介されているので、読みながら食欲をそそられました……親子の温かな交流が感じられる阿川佐和子との対談も印象的でした。

  • かなり昔から知っていた「ひじきの二度飯」の出典が知りたくて読みました

  • 長旅にはぴったりの軽め、かつ、面白いエッセイ。
    まぁこれだけ金があればおいしいものを食べられるんでしょうが、それでもフランス料理はおいしそうとは思えないですけど。

  • 尾道旅行のお供に選んでみたら、ご本人は広島市出身、尾道にゆかりの深い志賀直哉の最後のお弟子さんでもあるそうで。尾道の料亭でのお話も載っていて、偶然とはいえなんてドンピシャな本を選んだと自賛しました。
    阿川佐和子さんの食へのこだわりをみるとお父様の阿川弘之さんも相当なものだと思われますし、こんなタイトルのエッセイをお書きとなれば、さぞや美味しいものの話が出てくるに違いないと期待も高まります。残念ながら時代的にも経済的にも隔たりがありすぎて、このエッセイに出てくるものはほとんど食べたことがないのですがそれでも想像力をかき立てられ、お酒の銘柄や飲み方なんかはまんま参考にさせていただきました。また各分野で名をなした方々との交流も興味深く、画家の梅原龍三郎夫妻とのパリでの食事は不首尾に終わったようですが羨ましくて思わず声を上げそうになりましたし、向田邦子さんとのたった一度の対談も実際の記事をリアルタイムで読んでみたかったと悔しくなりました。巻末の阿川佐和子さんとの対談も掛け合いが面白く、「子供に人権はない」と仰ったという逸話からは想像もできないほど親しみやすい父親像が垣間見えます。
    美味しいものを食べるのに手間を惜しんではいけない、それはまさにその通りだと感じつつも、何かと理由をつけて暴飲暴食に走ってしまう我が身にはきつい一言も出てきます。日々、満腹になるよりも気持ちが満たされる食事をとりたいものだと思います。そのためには仕事もいないといけないし、何より自分の料理の腕を上げねば。あの阿川氏だって美味しいもののためにお台所に立ったんですから。

  • 作家阿川弘之の食に関するエッセイ集。小説としては海軍をテーマにした作品が多く、私にとっては硬い、右派というイメージがあった。しかし娘・阿川佐和子のエッセイに登場する「父」としての阿川弘之は時にワンマン、時に強権、時に子供のようにわがままと昭和の父親を彷彿とさせる。そんな作家のエッセイとは?と興味を持ち、このエッセイを読んだ。
    阿川佐和子のエッセイでもその美食家ぶりが垣間見られるが、このエッセイはその食に関する知識の広さ、おいしいものに対する追求心を披露している。またユーモアを交え、クスリとさせられる文章で読みやすい。だからといって崩れた文章ではなく、常に美しく正しい日本語を心がけていた作家だけにこのエッセイの文章もリズミカルで日本語の美しさを大切にしている。
    阿川弘之は志賀直哉の最後の弟子といわれ、このエッセイにも私にとっては文学史上の作家、志賀直哉自身が登場、また自身は「第三の新人」といわれた作家グループ(遠藤周作、吉行淳之介)のひとり、開高健、北杜夫など私が学生時代によく読んでいた作家たちとの交流も書かれていることが興味深く、また阿川弘之を含めほとんどの作家が鬼籍に入っていることに時代を感じさせられた。

  • 阿川先生の作品は読んだ事がありませんでした。でも、今日このエッセイを経験し阿川作品これから読みますよ。
    巻末の娘、佐和子さんとの対談も素敵です。

  • 図書館で。
    なんて言うのかこういうの読んでいると未婚女性が増えたのってなんかわかるなぁと思ったり。家にずっといて口うるさくて料理にうるさいダンナとかホント勘弁。奥さん大変だったろうなぁ。
    作中、阿川氏も料理を作られるのですか?というイヤミを頂戴したという辺りに笑ってしまいました。そうそう。これだけ手順とかうるさく書くなら自分で作るのかって思っちゃうよねぇ。

    でもいくら美味しいからと言って人様の分に手を付けたり、同じ料理を2皿も3皿もたいらげるのはあまり感じ良くないなぁと思いました。男性は好きと思ったものだけを腹いっぱい詰め込むのが好きなのかなぁ?女性はどちらかというと色々なものをちょっとづつ味わいたいって人が多い気がする。まあ人によるとはおもいますが。

    アクの強い野菜をゴマ油で炒めて醤油をかけ、そうめんのおかずにするってのは一度やってみたいな~ 茗荷をその薬味にしても美味しそう、なんて思いました。

  • 阿川さんの本が読んでみたくて、とりあえず読みやすそうなエッセイから入ってみる。海軍時代のことなども予想以上に書かれていて興味深かった。

  • 素敵だった

  • 20151002 手術で入院中の時間を過ごすために買った。病院のご飯との対比もあり参考になった。退院したらと考えていたがもともとの味覚はそんなには変わらないという事。これからも参考に読み返したい本だ。

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著者プロフィール

阿川弘之
一九二〇年(大正九)広島市に生まれる。四二年(昭和一七)九月、東京帝国大学文学部国文科を繰り上げ卒業。兵科予備学生として海軍に入隊し、海軍大尉として中国の漢口にて終戦を迎えた。四六年復員。小説家、評論家。主な作品に『春の城』(読売文学賞)、『雲の墓標』、『山本五十六』(新潮社文学賞)、『米内光政』、『井上成美』(日本文学大賞)、『志賀直哉』(毎日出版文化賞、野間文芸賞)、『食味風々録』(読売文学賞)、『南蛮阿房列車』など。九五年(平成七)『高松宮日記』(全八巻)の編纂校訂に携わる。七八年、第三五回日本芸術院賞恩賜賞受賞。九三年、文化功労者に顕彰される。九九年、文化勲章受章。二〇〇七年、菊池寛賞受賞。日本芸術院会員。二〇一五年(平成二七)没。

「2023年 『海軍こぼれ話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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